メキシコやブラジルでEコマースが急成長。AIテックの動向を追う

ラテンアメリカでEコマース市場が急速に成長している。市場が拡大するなかで今後の企業成長の鍵を握るのは、顧客ごとのカスタマイズになるだろう。現地発の2つのスタートアップはAIを活用してオンラインビジネスの販促をサポートしている。
EC ディープラーニング ビッグデータ

Contxto –クレジットカードのVisaの報告によると、2020年第一四半期でラテンアメリカでは1,300万人もの人々が初めてオンライン決済を行った。またBI(business intelligence)スタートアップのApptopiaによると、ショッピングアプリの5月のダウンロード数は前年同月比で43%増加したという。新型コロナウイルスの大流行は明らかにユーザー(主にブラジルやメキシコ)をデジタル領域に駆り立てている。

これまでに前例がないほどEコマースが成長しているなかで、今後の売り上げの成否を左右するものは何だろうか?その主な要素のひとつが、適切な人に適切なコンテンツを提供するカスタマイズである。しかしオンライン顧客を把握して記録をつけるほど大勢のマーケッターを抱えている企業はない。そこでAIや機械学習が差別化を図ることができる。中南米の2つのスタートアップ、SpreaadVTEXはEコマース事業におけるAIソリューションを開発し、実現させている。

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メキシコで広がるSpreaadの利用

例えばサービスをローンチしたばかりのメキシコのSpreaadは、オンライン事業を手がける企業に顧客フォローアップのAIテックを提供している。顧客ごとのプロフィールや興味・関心に応じて、アルゴリズムが特定のユーザーに向けたマーケティングキャンペーンを実施して事業をサポートしている。

またEコーマスの他の企業と同じく、新型コロナウイルスの拡大はSpreaadの経営を良い方向に変えていった。

Spreaadの共同創業者のJosé Sánchez氏はContxtoに「私たちのサービスを利用する新規顧客は130%増加した」と述べた。「小売業の売り上げは現在増加しており、コンバージョン率は25日から18日に短縮された。これは買い物客が購入の意思決定にかける時間が短くなり、従来よりも早く購入を決めていることを意味している」

オンライン上での行動が増加すると、Spreaadのアルゴリズムが顧客についてより多くのことを学び、よりよいビジネスキャンペーンの整理や収集ができるようなる。現在はメキシコでのみサービスを展開しているが、Sánchez氏はコロンビアやチリ、アルゼンチンでも年内中に徐々に拡大していきたいと言及している。

ブラジルではVTEXがAIの強みをもたらした

一方ブラジルのVTEXは、プラットフォーム上でオンラインショップを構築する小売業者にAIテックの提供を希望している。なかでも特に提示しているのが、ウェブサイト上で消費者が検索するであろう商品を予測する機械学習のツールである。

VTEXのインテリジェント検索では、顧客が打ち込んだ通りに検索結果が表示される」と自社ブログ内で説明している。

「消費者が新しい検索バーで検索をしている間、AIが搭載された私たちのアルゴリズムがオートコンプリート機能で入力操作の軽減を図り、スペルチェックを実施し、類義語を伝えて用語や商品の提案も行う。私たちの販売計画ツールを通じて、同じ場所で即座にすべてのことが設定できる」

このように自動化とカスタマイズが一体となったサービスとなっている。

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翻訳元:https://www.contxto.com/en/mexico/ai-mexico-brazil-e-commerce/

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
土橋美沙 / Misa Dobashi
Contents Writer
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