盛り上がりを見せるブラジルのEC市場

ラテンアメリカのEC市場を牽引するブラジル。その急速な成長の様子と理由を詳しく探りつつ、今後のブラジル市場への参入において重要になってくる点についても考えていく。
EC

Contxto - 世界中でEコマース市場は年々拡大しているようだ。ラテンアメリカでは、ブラジルがリードしている。よく調べてみると、この地域のオンライン小売売上高の3分の1以上をブラジルが占めていることがわかる。そして、世界で最も急速に成長しているオンライン市場の一つでもある。

ラテンアメリカの現状

ラテンアメリカでは、特にコネクティビティの改善とモバイルデバイスの流入により、Eコマースが花開き続けており、世界で最も急速に成長しているEC地域の一つでもある。しかし全体としては、ラテンアメリカはまだオンラインショッピングプラットフォームを完全に導入しきれていない。

eMarketerの調査によると、2018年、Eコマースは小売業のたった4.2%を占める程度だ。しかしその数は今年中に35%に成長すると推定されている。この数字の多くは、主にブラジルの最近の市場成長に関係しており、かなり規模の大きなものでもある。

ラテンアメリカ最大の経済大国

ブラジルはラテンアメリカ最大の経済大国であり、世界最大の人口と領土を持つ国の一つであることに加え、事実上のEコマースのリーダーでもある。

ラテンアメリカのEコマースの42%がブラジルに属している。さらに2018年末には、5,800万人のEC利用者が約532億レアル(約127億米ドル)を消費したとのことだ。これは、オンラインショッピング受け入れ最中の地域にしては大金と言えるだろう。

5,800万人の消費者全員が、2018年に少なくとも一度はバーチャル店舗で何らかを購入した。ブラジルのオンライン小売市場は、2019年に約1,680万米ドルを生み出すとも言われている。

これらの数字から、発展途上国にどれほどEコマースビジネスの機会が眠っているかを見て取ることができる。その急速な成長と人気のおかげで、オンライン小売店はブラジルでさらに大きく成長することが期待されている。

なぜこれほど成長したのか?

PagBrasilの報告書 Digital in 2019 Report によると、まず、同国のインターネット普及率は2019年に70%に達しており、これは、1億4,900万人以上の住民がインターネットにアクセスしていることを意味する。さらに、同国は世界で最もモバイルインターネットの利用率が高い国のトップ3に入っている。

ブラジルのEコマースにおいて、携帯電話とソーシャルメディアは非常に重要な役割を果たしている。というのも、この2つのツールが人々がオンライン小売ショッピングにアクセスするための主要なチャネルとなっているからだ。

したがって、あらゆる事業者が、Eコマースをビジネスモデルに組み込むことを真剣に検討すべき時期だと言える。オンライン取引のほぼ半分は携帯電話で行われている。付け加えると、ブラジルは世界第6位のスマートフォン市場も誇る。

ブラジルのEコマース市場

クロスボーダーか、それともドメスティックか?

EコマースファウンデーションEコマースレポート:ブラジル2018 によると、ブラジル人はオンラインで買い物をする際、グローバルカンパニーよりも地元の小売店での買い物を好む。

おそらくこれは、国境を越えたビジネスがブラジルで直面する課題に起因している。配達時間、税金、セキュリティの欠如、為替レートなどが、人々が地元の小売店を好む傾向を持つ理由の一部である。

セグメントと店舗

Eコマースのトップ事業区分は家電製品だ。ブラジルの市場総額の42%を占めており、次いで旅行が29.2%、家庭用品が6%となっている。

購入プロセスとしては、マルチブランドのプラットフォームが最も訪問者数が多い。次点としては、MercadoLivre.brやEtsyのようなオンラインマーケットプレイスがブラジルでよく利用されている。次いで、Targetのようなオンライン量販店が3位にランクインしており、モノブランドショップ、ブティック、会員制ショッピングクラブがそれに続いている。

ECリーダーとしての「Mercadolivre」

MercadoLivre」は、ブラジルで最も多くの人々が利用するEコマースプラットフォームである。上位10位として、CNova、B2W Digital、Buscapé、Google Shopping、Magazine Luiza、Walmart、Alibaba、Amazon、Netshoesが続く。

ブラジルのEコマース市場への参入

ここで、成長を続けるブラジルのEC市場のエコシステムへの参入を考える際に考慮すべき点をいくつか挙げたい。

ブラジルの人々は選択肢を多く持っていることを心に留めておく必要がある。EC利用者の60%がクレジットカードを好んでいるが、同時に、Paypalのような他の支払い方法もまた高く評価されている。

さらにEコマースのプラットフォームは、あらゆるモバイルデバイスで利用可能でなければならない。Eコマースの急速な成長に伴い、これは小売業者が真剣に検討すべき事項となっている。

ウェブサイトをモバイルフレンドリーにしたり、アプリを作成したりすることで、顧客にソーシャルメディアを介して購入する機会を与えるだけでなく、大きく他社との差別化を図ることもできる。

ブラジル人は地元の小売店を好む傾向があることを忘れないでほしい。この障壁に耐えられるよう、ポルトガル語でのウェブサイト開設も検討すべきだ。同様に、カスタマーサービスも母国語であることが望ましい。現地の流通業者やメーカーとのパートナーシップの可能性を探ることも重要だ。

ブラジルには、他のスペイン語圏のラテンアメリカとの大きな違いがある。しかし、市場をよく理解し、現地の知識を持っていれば、Eコマースへの優れた参入と競争力に繋がるだろう。

翻訳元:The thriving Brazilian e-commerce market

https://www.contxto.com/en/technology/the-thriving-brazilian-e-commerce-market/

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
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