Sep 23, 2020
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飲食業界とコロナ:感染も手数料も心配無用なフードデリバリーの事例

ラテンアメリカでは、飲食業におけるラストワンマイルの配送サービスに関連するスタートアップが次々と誕生している。彼らのサービスは今後、業界の悪しき慣習を改善する大きな鍵になるかもしれない。今回は注目の4つのスタートアップを紹介する。
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Contxto –新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、世界各国の飲食業界は大きな打撃を受けている。そこで重要な役割を担っているのが、ラストワンマイルのデリバリーサービスである。ラテンアメリカの多くのレストランは、高額な手数料を支払うことなく、顧客に食事を届けられる様々な便利なサービスを活用している。

デリバリーサービスの開発を手がける企業や団体には、下記のようなものがある。

・もともとは技術力を強みにしていたアプリを提供していたが、地域コミュニティを支援するためにサービスを切り替えた企業

・飲食店経営者に新たなビジネスを始めるチャンスを与えようとしている慈善団体・持続可能なスタートアップになりたいと考えているコミュニティ・アライアンス

Contxtoはこれまで、レストラン向けの斬新なラストマイルデリバリーのソリューションを数多く取り上げてきた。今回はその中で最も特徴的な4つのサービスを紹介したい。

1.コスタリカの「Panza」

当初は観光産業に焦点を当てていた3人の起業家チームは、コスタリカのシェフをサポートするための団体とアプリを開発した。「Panza」という非営利団体は、パンデミックの影響で勤め先のレストランを失った人や、ビジネスを始めるためのリソースを持っていない人たちのためのサポートを提供している。

彼らは、食事を購入するユーザーとつながるためのプラットフォームやマーケットをユーザーに提供し、彼らに起業家になるための働きかけを行っている。

彼らさのサービスの根幹にあるのは、地元のコミュニティを直接サポートしたいという熱意である。素晴らしい料理を作ることに対して情熱を抱いているが、ビジネスを始めるのに必要なリソースを持っていない人たちは多く存在している。

「Panza」は教育や技術(金融・法律指導)、さらには可能な限りの財源を提供することで、こうした飲食業界に携わる人々をサポートしているのである。

「Panza」のビジネスモデル

アプリのUIに関していうと、「Panza」はユーザーから肯定的な反応を得ている。しかし、彼らはアプリがまだ未完成であることを強調しているのも事実である。

しかしこのベータ版のテストを経て、「Panza」のサービスにおいて最も興味深いと思われるのは、供給側の市場を積極的に刺激していることである。彼らは一時的に非営利団体を立ち上げ、人的資本やその他の資本の多くを、最終的には顧客基盤となりえるようなレストランの立ち上げをサポートするために投入している。

これは、結果が出るまでに非常に時間がかかるプロセスとも言えるだろう。さらに「Panza」は、食事の販売にあたって、特許を取得したりガイドラインに従ったりするために各自治体とも協力している。すべての料理人は、ライセンスを取得する前に3ヶ月間の試用期間を過ごす必要がある。

料理人がライセンスを取得すると、「Panza」はアプリ内のプロフィールに特定のシンボルを追加して広報活動も行う。

「Panza」の財務モデル

「Panza」の経営陣は、自社のことを「アイボールファースト」の会社だと考えている。これはスタートアップの世界ではよく使われる概念で、最初は収益ではなく、成長に焦点を当てるという意味である。

しかしこのモデルが実現できているのは、現在「Panza」は経費を全くかけず、マーケティングやオペレーション、開発を進めているからである。つまり、3人の共同創業者が全員無報酬で働いている。

その後ビジネスが軌道に乗り始めたら、このモデルはどのように変化するのだろうか?

「Panza」は今後、配送と支払い処理サービスの機能を搭載し、手数料を徴収する予定である。一部の機能は無料で使用できるほか、有料モデルの展開も検討している。共同設立者は、必ずいつかは生計を立てなければならない。だが現時点では、彼らは自分たちが作れる最高の製品に仕上げることを最優先にしている。

しかし「Panza」には、今後克服しなければならない2つの課題があると言えるだろう。

一つ目の課題は、収益を創出するためには機会費用が発生する点である。創業者は事務手続きなどにおいて会計士や弁護士などを雇い始めなければならず、コストが今後かさんでいくだろう。

二つ目の課題は、間接費が発生することである。私はこの点を最も懸念している。最初は小さく感じるかもしれないが、間接費が増えてくると、経営全体の足を引っ張る原因になりえる。

2.チリの「Justo」

「Justo」はウェブサイトや電子決済システムの構築のほか、マーケティングサービスやオンデマンド配信をレストランに提供するスタートアップである。

彼らは顧客のデータを自社に溜め込まないようなシステムを構築している。「Justo」は米国のアクセラレーターの「Y Combinator」の卒業生でもある。

「Justo」のオペレーションモデル

「Justo」はラストワンマイルサービスにおいて、うまくスケーリングを果たした。チリで誕生した「Justo」は現在、メキシコでもサービスを展開している。事業開始から1年目で500%の成長を達成した。

既存のデリバリーサービスの「Rappi」や「UberEats」と比較すると、「Justo」は異なる対象をメインの顧客としている。前者は料理の最終消費者を主な顧客としているのに対し、Justoはレストランを主な顧客としている。

チリでは当初220社を超える飲食会社が「Justo」のサービスを利用していたが、現在では5000社ほどがサービスを導入している。「Justo」はチリ国内で、すでに市場の15%シェアを獲得している。

「Justo」の財務モデル

「Justo」は物流サービス自体を提供しているわけではない。むしろ、ウェブサイトや電子決済システムの構築、そしてマーケティングサービスやオンデマンド配信をレストランに提供することが、メインの事業である。

Contxtoのこれまでの取材を振り返ってみると、「Justo」には今後、困難な課題が待ち受けていると言えるだろう。eコーマースを手がける「Rappi」のような企業は、自社ブランドと提携先のレストランとの公平性のバランスをうまく保てていなかった。

このように、企業は成長すればするほど、スケールアップと外部とのすり合わせに悩む場面がでてけるう。もちろん、メキシコで青果物の販売を手がける「Orchata」のように、同様の課題をテクノロジーの力で乗り越える企業もある。

3. メキシコの「Colectivo Tlacuache」

「Colectivo Tlacuache」は、もともとは小売業向けに設計されたプラットフォーム「Plataforma」を開発していた。

しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響をうけ、「Plataforma」は外食産業向けのバージョンに進化を遂げた。当初「Colectivo Tlacuache」は、共同創業者のシェフの友人やお気に入りのレストランに対して、あくまでチャリティーのような位置づけの取り組みとして開始されました。

しかしすぐに、フードデリバリー業界が抱える課題を解決するようなサービスとして広まっていった。

「Colectivo Tlacuache」のオペレーションモデル

ラストマイル配送が問屋制の家内工業だとしたら、「Colectivo Tlacuache」もそれに該当するかもしれない。彼らはパンデミックに対応するための特殊部隊として、レストラン経営者の友人たちの倒産を防ぐため、プラットフォームの「Plataforma」を迅速に展開した。

「Colectivo Tlacuache」は当初アプリを提供していなかったため、代わりに食べ物を簡単に注文できるウェブサイトを立ち上げた。物流会社を手配せずに、スタッフを自宅で待機させた。彼らは規模の拡大を考えていなかったが、まずはメキシコシティの高級レストランの仕出しサービスを始めた。「Colectivo Tlacuache」の成功の秘訣は、最初から非常に良い勢いを持っていた点にある。

「Colectivo Tlacuache」の財務モデル

「Colectivo Tlacuache」のプラットフォームは、究極のベータ版のテストと言えるだろう。彼らが立てた計画によると、これまでに得たノウハウと資本を、プラットフォームに投下する予定である。

最初は小売店をターゲットとして開発されてきたプラットフォームが、新たな分野で花を開こうとしている。ここから、真のスケーリングが始まるのだろう。

4.メキシコの「remotekitchen」

メキシコシティ出身の「remotekitchen」のソリューションは、レストランのサプライチェーンを完全にデジタル化し、オーナーと顧客の両方のプロセスを容易にするためのサービスである。

同社は飲食店向けに固定価格のSaas型ソリューションを提供している。このサービスを活用することで、飲食店はコストを拡大することなく注文数を増やせるという。

関連記事:メキシコのフードテック企業が目指す持続可能なソリューションとは

「remotekitchen」の財務モデル

ある意味、「remotekitchen」は先述した「Panza」と「Colectivo Tlacuache」のモデルを融合させたものとも言えるだろう。実際、後者の共同創業者は、彼らが注目しているソリューションとして「remotekitchen」の名前を挙げている。

「Colectivo Tlacuache」のように、「remotekitchen」はレストランにウェブサイトや注文プラットフォームのようなデジタルインフラを提供し、販促物も提供している。そして「Panza」のように、まずは無料でサービスを試すことができる。

「remotekitchen」のウェブサイトを見ると、ラストマイル配達のバックパックを背負った配達員の写真が掲載されている。しかし、よく見ると、彼はレンタルした「Mobike」に乗り、バックパックのようなものを使用していることがわかるだろう。「remotekitchen」は自社でバイクなどの資材を調達はしていないのである。

このビジネスモデルは、ソーシャルメディア主導のソリューションと少し似ているのかもしれない。例えば「Facebook」がアルゴリズムを変更するたびに、スタートアップの統計は意味をなさにケースもある。ラストマイルを実際には行わない「ラストマイルシステム」が、今後の鍵を握るのかもしれない。

スタートアップが、業界の慣習を大きく変える

上記で紹介した4つの異なるサービスは、すべて新型コロナウイルス感染症の影響によるロックダウン期間に誕生した。パンデミックの前には、ラテンアメリカの独立系レストランの90%以上がオンラインに対応していなかったという。

少しつづ浸透し始めていたデリバリーサービスを手がける「Rappi」や 「UberEats」、 「SinDelantal」や 「Domicilios.com」などのなかには、サービスの手数料が20~30%かかることもあり、気軽に利用できない点も課題となっていた。

「Rappi」は8月、メキシコの全国商工会議所(カニラック)と提携したことを発表したばかりである。今後企業は「Rappi」が請求した料金の20%まで払い戻しを受けられるようになると言うが、もちろんいくつかの条件も付いている。法律的な観点からみても、ラストワンマイルmのデリバリーを手がける大手の企業は、社会や政府から、悪質とも言える商習慣の改善を促されている。

Eコマースを手がける「Loggi」は2019年12月、社員の正規雇用を開始し、コロンビアの「Tu Orden」は2020年9月末までに、1000人の宅配業者の給与計算を見直すと発表した。今回紹介したようなスタートアップは、ラストワンマイル配送を手がける大手企業のこれまでのサービス改善を促すかもしれない。

ラストワンマイル配送のソリューションにおける技術的な面においては、多くの場合、アプリのアップグレードや微調整に焦点が当てられてきた。しかし「Rappi」のような大手企業は、ドローンやロボット配送のような、より目に見えるハードウェアソリューションに未来があると考えていた。しかし現在のトレンドをみると、配達自体は大きな関心事とはならないかもしれない。

翻訳元:https://contxto.com/en/the-exclusive/last-mile-delivery-restaurants/

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