中国政府がライバル各国を打ち破り、1500億ドル以上の国家的なAI産業を構築したいと考えていることをご存知だろうか。
同国の野心は、テクノロジーの分野ではますます高くなっている。2017年にAlphaGoが「囲碁」で韓国の人気教師や世界最高の棋士Ke Jie氏を倒したことを皮切りに、中国政府は人工知能(AI)を重要開発技術の1つとして捉えるようになった。この2つの出来事をきっかけに、同分野の資金やプロジェクトの新たな流れが始まった。
現在では、国家レベルの目標とするだけでなく、中国はこの分野を国際的にリードすることも計画している。昨年、中国政府は「2030年までに中国をAIの世界的リーダーにする」という開発計画を策定した。強力なライバルである米国を追い抜くために、多額の資金を確保する必要がある。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大により世界各国にとって難しい年となったが、中国が上記の目標を達成するための投資を止めたわけではない。
科学技術副大臣の李孟氏は、2020年までに中国のAI研究技術と施設が他の先進国に匹敵し、生産額は220億ドルに達すると予測している。2030年には更なる躍進が期待されており、中国はついに「世界のイノベーションの中心」となり、その生産額は1470億ドルに達するという。
この計画は、中国が急速に成長している分野をリードしていきたいという思いの表れである。第1位の座を確保する意図で、企業、政府、軍事部門が人工知能の分野で先頭に躍り出るための投資を行う。
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AIの第一人者であり、「Google Brain」プロジェクトの創設者でもあるAndrew Ng氏は「中国のAIと世界のAIの両方に本当に役立つだろう」と、中国政府の取り組みを高く評価している。
中国は、農業や医療から製造業まで、社会のほぼすべての分野にAIを導入する計画を立てている。また、この成長産業と協調することで安全保障や国家監視を強化したいと考えている。アジア各国は、AI誘導ミサイル、AI追跡カメラ、AIインターネット検閲、さらには犯罪予測まで実装することを計画している。
The New York Timesによると、中国の各省はロボットやAIの発展を目的に、地元企業を奨励するための補助金という形ですでに数百万ドルを投じているという。さらに、この新計画からは、シリコンバレーでAI研究センターを運営し、今年すでに中国に新しい研究所を開設すると発表しているBaiduのような民間企業を誘致する計画だ。
近年、中国がヘルスケア業界におけるAI応用の明確なリーダーとして浮上したことを垣間見てきた。中国は病院だけでなく、日常生活にもAIヘルスケアツールを取り入れ始めている。
このように昨今の中国の動きには目を見張るものがある。
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未曾有の年となった本年は人類に対して多くの課題をつきつけてきたが、一方でテクノロジーとAIがすべての人にとって大きな財産であるということを我々は認識できたのではないだろうか。
中国の発展が人類の発展につながることは間違いないと言えるだろう。
翻訳元:Will China lead the Artificial Intelligence game by 2030?