今話題のOKRとは?:メルカリやGoogleも導入する注目の目標設定

最近、多くの企業が目標管理ツールとして導入を検討しているObjective & Key Results(OKR)。その効果と、導入方法について解説する。
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「我々は経験から学ぶのではない...経験を反映することから学ぶのだ」

Measure What Mattersの著者、John Doerr氏はこう言う。

もしあなたが創業者、CXO、人事リーダー、またはベンチャー企業のパートナーであれば、Objectives & Key Results (OKRs)というフレームワークを聞いたことがあるだろう。

そして、OKRがあなたの組織内に導入された際の成長効果を想像し、心が躍った経験があるのではないだろうか。

しかしこのように、想像をする所まではたどり着く一方で、どのようにして始めるべきか?が分からず、頭を悩ませている人も多い。

OKRはビジネスを急成長させるための魔法のフレームワークではあるものの、適切な運用には組織・メンバーがOKRに対する理解を深める必要がある。

今回は、組織内のOKR理解度を深め、実際に導入するための心得を解説する。

1. OKRとは

OKRは、組織を前進させるための戦略実行フレームワークである。OKRは、チームに変化や成長を促し、イノベーションをどのように推進するかを強制的に考えさせる。OKRはその名の通り、「Objecive(目標)」と「Key Results(成果指標)」で構成される。

Objective(目標)とは「何を達成したいか」を明確にする定性的な記述である。この記述は抽象度が高く、ビジネス価値や顧客への提供価値を保有する。

一方、Key Results(成果指標)とは「成功をどのように測定するか」を定義する定量的な記述である。指標は測定可能であり、組織や個人に背伸びを強いる「ストレッチ指標」である必要がある。

関連記事:なぜOKRが重要なのか

OKRのポイントは、アウトプットや成果に軸を置いていることである。

OKRは90日間で設定され、短期サイクルでの成果指標の振り返りを通じて、組織に対して成果を軸としたアジャイル力の醸成を促す。

以下はOKRの一例である。

  • Objective(目標):収入を加速させるため、心躍るような販売戦略を実行する

  • Key Results 1(成果指標1):CVRを15%から30%に引き上げる

  • Key Results 2(成果指標2):コールバック時間を1時間から10分に短縮

  • Key Results 3(成果指標3):企業からの顧客提案を月4件から10件に増やす

2. OKRの実行体制を構築するには

事前準備

OKRの実行体制を考える前に「あなたの会社がOKRの導入準備が出来ているか?どのような結果を導きたいのか?」を自問自答して欲しい。OKRはあくまで戦略実行フレームワークであり、会社のミッション、ビジョン、戦略なくして機能しない。

旗を掲げる

OKRは強力なリーダーシップから始まる。実行体制を構築するにはCEO自らが旗を掲げて大号令を掛けなければならない。その際重要になるのが、組織・人員に「なぜ(Why?)」を説くことである。

OKRがどのようなフレームワークで、何が出来て何が出来ないのか、なぜ導入意思が芽生えたのかを説明し、実装の支持を得る必要がある。場合によっては、OKRの専門家を呼んで啓蒙活動を行うことも必要になるだろう。

全社OKRから始まる

OKRは「全社レベルのOKR」から始まる。

全社レベルのOKRを会社のミッション、ビジョン、戦略に紐づけることでフレームワークの実行体制を盤石にできる。

あなたがOKRを推進する創業者やCEOなのであれば、部門リーダー層を招いて、全社OKRの構築に巻き込む必要がある。そして全てのミーティングでOKR言語を使用し、組織内の誰しもが自発的にOKRを駆動するまで、啓蒙活動を継続する必要がある。

パイロットチーム

パイロットチームの選び方は組織によって様々である。企業の場合は、CXOや部門リーダー層、あるいはイノベーションプロジェクトを推進するグループなどが考えられる。

スタートアップの場合、急成長プロジェクトを牽引するプロジェクトチームが的確かもしれない。パイロットチームの成功事例は、他チームへの展開への大きな足掛かりとなる。

アンカーの役割

チームが困難な状況に陥った際に逃げ出すことなく乗り切るためには、適切なアンカーが必要である。明確に定義されたチェックリストを用意して、OKR導入のアンカーの役割となるキーパーソンが必要に応じてタガを締められる環境を整備しておく必要がある。

OKRソフトウェア

チームの規模が20以上になると、勢いを維持するためにはOKRソフトウェアが必要になる可能性がある。OKRソフトウェアは、チームがリアルタイムでインサイトを確認し、リスクのあるKR(成果指標)にフラグを立て、進捗状況を共同で管理し、高品質なOKRを作成するための指針となる。

OKRマネジメントを推進させた実績があるFitbotsによると、チェックインミーティングの開催は、OKR導入の成功の秘訣であるという。チェックインミーティングは、チームごとに毎週実施されるべきである。

全社レベルのOKRに対する進捗状況をダッシュボードで確認しながら、リーダーシップチームは進捗を軌道に戻すための制約条件を見直しやリセットを図る。これを短期サイクルでひたすら繰り返すことで、企業文化の観点から何が機能して、何が機能しないのかを把握していく必要がある。

翻訳元:OKR is a startup lifesaver. Here is how to craft them

表題画像:Photo by Ante Hamersmit on Unsplash (改変して使用)‍

記事パートナー
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執筆者
松尾知明 / Tomoaki Matsuo
中小企業診断士 / Web Writer
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