マレーシアが世界のサイバーセキュリティのハブになりつつある理由

2021年7月に発表された最新のレポートでは、国連機関である国際電気通信連合(ITU)が発表した今年の指標において、マレーシアは194カ国中8位に入った。
サイバーセキュリティ

「グローバル・サイバーセキュリティ・インデックス」によると、マレーシアは2014年以来、サイバーセキュリティに関してトップ10に入るとされてきた。

この2021年7月に発表された最新のレポートでは、国連機関である国際電気通信連合(ITU)が発表した今年の指標において、マレーシアは194カ国中8位に入った。

多くの人の考えとは裏腹に、このアジアの国は、サイバーセキュリティ問題への継続的な取り組みと強固な国家戦略に支えられた政策基盤により、かなり長い間サイバーセキュリティにおける影のリーダーであり続けているのだ。

重要な国家情報インフラ

(出典:国際電気通信連合)

マレーシアの最初のサイバーセキュリティ政策は少なくとも15年前にさかのぼる。この時、情報共有のためのポータルや国のサイバーセキュリティの危機に対処する調整・指揮センター、定期的な脅威レベルの評価など、今日においても重要な国家情報インフラが生まれた。

この国のモデルの最も魅力的な点の1つは、X-Mayaである。X-Mayaは、国の準備態勢とセキュリティインシデントに対処する能力をテストするために毎年行われる訓練のことだ。

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これは必ずしもアジアの国に限ったことではないが、継続的な評価と訓練の実施はサイバーセキュリティ界隈におけるリーダーとしての地位を継続的に向上させる能力を示している。

パワーランキング8位のマレーシアは、ITUが採用している5つのカテゴリーのうち3つのカテゴリーでトップスコアを獲得している。

  • セキュリティと犯罪に対処するための法的枠組み。

  • 研究開発、教育、訓練に基づくキャパシティ対策。

  • 国際的なパートナーシップと情報共有。

しかし完璧なシステムは存在せず、技術的な分野、特に内部の衛生関連の習熟度に関してはまだ不足している部分があると言えるだろう。

ハーバード・ケネディ・スクールのベルファー・センターのアナリストによると、防衛戦術に関しては、日本は比較的恵まれている。

言い換えれば、良い攻撃のためには強力な防御が必要だ。敵対的なインフラの破壊や無力化に関するマレーシアの能力は、ロシアや米国などの国と比較して満足できるものではない。政府や国家の資産やシステムの防衛に関しては、中国やシンガポールなどの国がリードしていると言えるだろう。

マイクロソフトは2021年5月、政府や国家機関の政策立案者を束ねるため「アジア太平洋公共部門サイバーセキュリティ・エグゼクティブ・カウンシル」の発足を発表した。

米国のソフトウェアベンダーによると、その目的は、これらの組織間でより良いコミュニケーションを確立し、タイムリーかつオープンな方法で脅威情報や技術の交換を行うなど、ベストプラクティスの共有を促進することにあるという。

エグゼクティブ・カウンシルの発足に伴い、シンガポール、インドネシア、韓国、マレーシア、タイ、ブルネイ、フィリピンから15名の政策担当者が参加した。

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政策立案者を参加させることの意義は、事実上四半期ごとに会合を開き、サイバー脅威やサイバーセキュリティ製品に関する情報を継続的に共有する機会を設けることにある。

CPO Magazineでも紹介されているように、アジア太平洋地域の国々の情報を集約することは、ギャップを埋め、政策とプロジェクションのバランスをとるために非常に重要なのだ。

中東の多くの国と比較して、マレーシアは非常に強力な立場にあるが、とはいえまだやるべきことはたくさんある。

IISSのサイバー・宇宙・未来の紛争担当シニアフェローであるGreg Austin氏は「さらなる政策として外交に投資する必要があります。Tier 3 の国は、この分野で助けてくれる強国の支援を得ずに、サイバー空間で安全を確保することはできません」と述べた。


翻訳元:https://e27.co/why-malaysia-is-quickly-becoming-a-cybersecurity-hub-for-the-rest-of-the-world-20210705/

表題画像:Photo by CHUTTERSNAP on Unsplash (改変して使用)

記事パートナー
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執筆者
滝口凜太郎 / Rintaro TAKIGUCHI
Researcher&Writer
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