Aug 12, 2020
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地方でITビジネスを行うメリット:フィリピン発レポート

ITやテックカンパニーの多くが首都圏に拠点を構える中、地方でビジネスを展開する独自のメリットがある。今回はフィリピンの事例を通じて、具体的なポイントを探る。
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アジア太平洋地域において、テック企業が地方に事業拠点やサービス拠点を構えることは珍しい。それはフィリピンでも同様であり、地方では農業や鉱業、漁業、繊維製造といった伝統的な産業が営まれている。

フィリピン人の多くが依然として保守的な考えを抱いており、テクノロジーに対しても不信感があるケースがあるため、一部の州ではテック企業の参入が難しいという指摘もある。

しかし多くの地域ではテクノロジーにふれる機会が十分ではなく、テクノロジー自体にそもそも馴染みがない。だからこそ、未開拓の地方でサービスを展開し、自社製品やサービスをアピールする重要性や需要がある。

フィリピンでマニラ首都圏から離れた地方に進出している数少ないテック企業の一つが、プロフェッショナルサービス企業の「アクセンチュア」である。同社はマニラやビジネス都市のマカティ、学園都市のケソンやセブ島にオフィスを構えるほか、首都圏から遠く離れたイロコス・ノルテにも3階建てのビルを構えている。

同社はイロコス・ノルテにオフィスを開設した理由を、インフラ設備や近隣の国際空港へのアクセスの良さ、経済特区として受けられる恩恵、そして幅広い人材の宝庫である点を挙げた。

フィリピンでの地方への進出を果たしたもう一つのテック企業は、オンデマンドサービスを提供する「MyKuya」である。基本的に同社のアプリでは、ユーザーが「Kuya」や「Ate」(フィリピン語でお兄さんやお姉さんの意)と呼ばれるパーソナルアシスタントを予約すると、彼らが食料品の購入や荷物の受け取り、請求書の支払いなどの用事をサポートしてくれるサービスを展開している。

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「MyKuya」は人々のために役立つ有意義なサービスを提供し、2022年までにフィリピンで100万人の新規雇用を創出するというミッションを掲げている。そしてマニラ首都圏と南北ルソンの各都市で、フランチャイズプログラムを展開している。

同社は人材派遣会社や中小企業、非営利団体などに技術プラットフォームを提供しており、スタッフの業務の効率化を進めるだけでなく、業務やビジネスの成長も目指している。また新型コロナウイルス感染症の影響をうけて職を失った人々に対して新たな職を提供している点においても、世間から注目を集めている。

1.テクノロジーが地方の様々な格差を是正する鍵になる

地方の多くの組織がテクノロジーを活用し、迅速なシステム化を導入すると、より多くのフィリピン人がデジタルの世界にふれ、日常生活で恩恵を受けられるだろう。

すでにテクノロジーが世界中の多くの人々の生活を向上させてきたことは言うまでもない。フィリピンがデジタルシステムの可能性を感じ、現状のシステムから移行するのは、時間の問題だろう。

フィリピンの多くの地域でテクノロジーが導入されていない理由の一つとして挙げられるのは、科学技術の専門家が不足している点である。科学技術省の報告書によると、多くの科学技術の専門家が首都圏やその近辺に集中しているという。

STEM専門家の不足は、フィリピンの経済的・教育的な課題にも深く根ざしている。予算不足や教育の質の低さ、若者の中途退学率の高さなど、フィリピンの教育制度には未だに多くの課題がある。また、フィリピン人の間にも社会的な格差が依然として存在している。地方の公立学校の授業料は無料だが、様々な理由で子供を学校に通わせられない人もいる。

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とはいえ、国の発展が不可能なわけではない。先述した「MyKuya」や「アクセンチュア」のように、テック企業が地方に進出してサービスを提供すれば、政府の技術革新にも拍車がかかり、フィリピンの若者にも STEM コースを受講する機会を与えられるだろう。

その結果、国の教育部門も現状のシステムを改善し、地方の人々がSTEM科目を学ぶ機会を得られるようになる。

2.地方の優秀な人材の採用が、離職率の低下につながる

教育の問題以外にも、テック企業は地方に進出することで得られる大きなメリットがある。ITサービス管理会社「TaskUs」のCEOであるBryce Maddock氏は、大都市以外の地域に進出することで、一般的に企業は従業員の離職率を軽減できるという。

またフィリピンの首都圏では慢性的な交通渋滞が課題になっているが、地方では交通量が少ないため、従業員の通勤時間の節約にもつながる。さらに、多くの企業は都市部での事業展開に重点を置いているため、地方では人材の獲得競争がおこりにくい。

フィリピンは世界最大の労働力輸出国としても知られている。国内に雇用が少ないため、多くの労働者が海外に職を求めて渡航するためである。しかし企業が地方に拠点を設置して新たに雇用を生み出すことで、優秀なフィリピン人専門家の「頭脳流出」を止めることができる。

オーストラリアを拠点とするアウトソーシング会社の「DBA Advisory」のフィリピン法人である「DBA Global Shared Services」は、フィリピンの地方の人材を活かしながら、事業を拡大してきた。同社は、スービックやクラーク、ターラックといった首都圏から離れた場所にあるオフィスで、200名以上の従業員を採用している。

「DBA」の社長兼CEOであるDarlow Parazo氏は「なぜ首都圏以外の地域に進出したのか」という質問に対して、「地方にいるフィリピン人は会計や法律、ITのスキルが高く、弊社の重要な資産になり得ると判断したためである」と答えた。

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地方の優秀な人材の雇用を進めながらサービスを拡大したことで、様々な分野の多職種・多業種の専門家と連携できるようになったという。

テック企業が地方に進出するのに、今ほど最適な時期はないだろう。フィリピンは文化や歴史、天然資源に恵まれているが、世界やテクノロジーの変化に追いつくことが求められている。

翻訳元:https://e27.co/why-is-it-important-for-tech-companies-to-expand-outside-metro-cities-in-the-philippines-20200728/

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