【教育・テクノロジー・リモート】コロナ禍でEdTechが投資家の注目を集めている理由

新型コロナウイルスによる感染拡大リスクを受け、各国の教育機関が一次閉鎖に追い込まれている。そのような中、注目され始めているEdTech分野とはどのようなものなのだろうか。
教育 研究機関 VC/CVC コミュニケーション

世界各国の政府は、新型コロナウイルスによる感染拡大リスクを受け、教育機関を一時閉鎖している。これにより188カ国の15億人の学生が影響を受けている。教育機関がこれほどまでの混乱に陥ったのは第二次世界大戦以来のことである。

現在、世界中には初等・中等・高等教育けに幅広い学習ツールを提供する様々なEdTech企業が存在しており、今後の成長が見込まれている。

学校や大学がリモート学習を促進するためのデジタルツールやサービスをこれほど緊急に必要とした事例はない。実際、EdTechスタートアップには良い流れが続いており、今年の3月に投資家がEdTechに資金を注ぎ込んだことで、いくつかのスタートアップが評価額10億米ドルの大台を突破した。

Udemyは50百万ドルを調達し時価総額を2億米ドルまで押し上げ、ApplyBoardは5月に71百万ドルを調達、Quizletも5月に30百万ドルを調達し、時価総額10億ドルまで成長させた。

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Barclaysは、教育者のテクノロジーへの支出は年間12%増加すると予測している。しかし、下記の理由から依然としてEdTech製品の大規模採用は課題となっている。

  • 世界のわずか59%がインターネットにアクセス可能

  • 世界的にPCを利用している世帯は49%

  • 政府は教育部門よりも医療部門を優先

  • 政府の支援がない中、学校は人的リソースの確保が困難

  • オンライン授業を実施するための訓練を受けたスタッフの不足

投資家は、教育機関ではなく消費者に直接ツールやサービスを販売する企業(DTC)に意図的に焦点を当ててきた。最も投資を集めたDTCのEdTech分野は、Online Tutor(オンライン家庭教師)、Digital Aides Apps (学習アプリ)、Edutainment(教育系エンターテインメント)の3分野である。

米国、中国、インドのオンライン家庭教師系スタートアップは、投資家から大きな関心を集めている。例えば、Cheggは1億3200万ドルの収益を叩き出し、2020年第1四半期には株価が30%上昇した。インドで2番目に評価されたスタートアップのByjuはMary Meeker's Bond Capitalから1億ドルを調達。オーストラリア、韓国、サウジアラビアなどの国々では、2020年第1四半期にEdTech企業向けに大規模な資金調達ラウンドが実施された。

また、生徒や保護者が直接利用することを目的としたツールやサービスへの関心と投資が増加している。Google Classroom、Seesaw、ClassdojoなどのDigital Aides Appsが上記サービスに相当する。Khan Academyのようなサイトはトラフィックが3倍増え、ユーザーはパンデミック前の2倍の金額を支払っている。

また、ユーザーは「娯楽源としての学習」にも目を向け始めており、このEdutainmentビジネスと言われる分野においても投資が集まりだしている。

DTC EdTech分野の見通しは、確かに有望である。しかし、この分野に参入する投資家は、規制、資金調達サイクル、競争などの継続的なリスクにも留意する必要がある。最終的にこの分野で生き残れるのはユーザー視点を持った企業である。コストを削減し、質の高い教育を提供し、インパクトの高い方法を見つけることが、EdTech市場の成長と成熟に伴う長期的な勝者を決定することになるだろう。

翻訳元:Why edutech is becoming an investor favourite this season

記事パートナー
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執筆者
松尾知明 / Tomoaki Matsuo
中小企業診断士 / Web Writer
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