2020年、女性のテック領域への進出が必要な理由とは?

STEM業界における女性の割合の低さ、そしてそのジェンダーギャップのデメリットとなぜ女性のテック領域への進出が必要なのかについてまとめる。
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所謂STEM業界において女性の割合が低いことは周知の事実であり、技術職のうち女性が占める割合はわずか20%に過ぎない。これは、科学技術分野での大きなジェンダーギャップを示しており、女性のみならず、業界や人類全体にも悪影響を与えている。

ここでは、女性のテック領域への進出が必要な理由を一つずつ見ていく。

多様性こそがイノベーションの温床

何十年にもわたって行われてきた研究によって、チームが多様であればあるほど、大きな結果が生まれることが示されてきた。もし、同じような頭脳を持ったメンバーが同じように訓練を受け、同じように問題に取り組んでいるのであれば、そこからイノベーションは生まれない。

多様なメンバーを採用することで、異なる思考方法や戦略を採用することを意味し、それらの異なる頭脳はお互いに枠にとらわれない思考に繋がる。性別、セクシャリティ、経歴、民族などの異なる個人が一堂に会することで、創造的な思考が開花するようなダイナミックな雰囲気が生まれる。

男女間の賃金格差の削減

女性の給料が低いのはハイテク業界だけではない。マーサーによる英国の男女賃金格差に関する調査によると、すべての産業で男性の賃金は女性よりも18%高いが、ハイテク分野では男性の賃金が女性よりも25%高くなっている。より多くの女性がこの分野に参入し、指導的役割を担うようになれば、同一賃金でより透明性の高い環境を作ることができる。

多様性から生まれる収益

女性はイノベーションを推進するだけでなく、収益も推進する。世界の22,000社を調査したピーターソン国際経済研究所の調査によると、性別の多様性が高い企業の方が収益性が高いとされている。この研究では、女性の割合が30%の企業は、性別の多様性がほとんどない企業と比較して、収益性が15%増加したことが示されている。

収益の増加は利益の増加を意味するだけでなく、テクノロジーの分野では、すべての人に利益をもたらす研究開発のための資金の増加をも意味する。

人材不足の解消

特定の技術分野では、資格を持った人材の不足が深刻で、企業は採用に苦心している。実際、ロバート・ウォルターズの調査によると、英国だけでも「テクノロジー分野の雇用者の70%以上がスキル不足を経験している」とのことだ。人材不足は企業や業界だけでなく、経済全体に悪影響を与え、技術開発のスピードを遅らせる。

これらの技術不足は、特定の分野の学を修めた卒業生が不足していることに起因する。PWCによる「Women in Tech」の報告書によると、テクノロジーにおけるジェンダーギャップは学校や高等教育から始まることが明確に示されている。

この調査では、2,000人のAレベルの学生と大学生を対象にインタビューを行ったところ、男性の33%が技術系のキャリアを提案されたのに対し、女性はわずか16%に留まった。また、大学でSTEM科目を選択した学生は男性が52%であったのに対し、女性はわずか30%であった。

研究レベルでより多くの女性を誘致することが、人材不足が顕著なこれらの分野において、より多くの卒業生とスキルのある労働者の獲得に繋がる。

女性による女性のためのテクノロジー

技術産業は主に人々のニーズのために存在している産業であり、女性がその産業の中心に存在していなければ、女性のニーズは反映されない。これを純粋にビジネスの観点から見た場合、テック産業は明らかにチャンスを逃していると言える。

女性は世界人口のほぼ50%を占めており、また欧米諸国の大部分では、通常、家計の支出をコントロールしているのは女性だ。つまり、消費者市場のこの主要な部分が、テック産業ではほとんど無視されているということである。技術研究や開発をリードする女性が増えれば、女性特有のニーズを満たす機会が増え、結果として巨大な経済力に繋がる。

未来の世代のために

STEM分野における女性の増加と多様性を高めるための最も重要な理由の一つは、将来の世代に積極的なロールモデルを提供することである。女子学生や社会的に疎外されている人々に、技術産業でのキャリアを追求するよう促し、奨励すべきである。

実際、これを推し進めるイニシアチブは数多く存在している。例えば、Coding Girlsは、若い女性に手を差し伸べ、技術的な役割を担うことが実現可能で魅力的なキャリアの選択肢の一つであることを積極的に示している。また、長年男性優位であった業界における固定観念の打破にも役立っている。

強みのための多様性

より多くの多様性は、テック産業に付加価値を与え、強化し、社会をより良くするためのイノベーションを推進する。より多くの女性がテック業界の仲間入りをするためには、すでに大きなウェーブを生み出している女性たちの存在をより多くの人に知ってもらう必要がある。テクノロジー業界をリードする女性たちの名言はこちらから。

翻訳元:Women in Tech: Why do we need more women in tech in 2020?

https://www.womentech.net/blog/why-do-we-need-more-women-tech-2020

記事パートナー
スタートアップ・テックシーンにおけるジェンダー・ダイバーシティを推進するコミュニティ
執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
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