【注目はベトナム?】シンガポール発VCがコロナ禍でも積極投資する理由
新型コロナウイルスがアジア太平洋経済に悪影響を与える中、シンガポールを拠点にVCを運営するQualgroは投資意欲を保っている。同社幹部へのインタビューをもとに、東南アジアVC市場の動向やQualgro社の今後の展望について解説する。
Nov 22 2020 IN Translation
Southeast Asia VC AI

AI(人工知能)マーケット2016-2022レポートによると、アジア太平洋地域におけるAIの採用は、2016年から2022年の間に47%近く成長すると予測されている。別の調査では、アジア太平洋地域のビッグデータ市場は、2019年から2027年の間に年間平均成長率21.42%で成長すると予想されている。

昨今、あらゆる分野で破壊的イノベーションが起こっている。AIとビッグデータの普及により、消費者はオンライン・ショッピングからネットバンキング、ライド・シェアリング、ヘルスケア・コンサルテーションに至るまで、極めてパーソナライズされたSaaSソリューションにアクセスできるようになってきた。アジア太平洋地域のSaaS市場が2018年から2023年の5年間で年平均成長率34.28%で成長すると予測されているのも頷ける。

世界中が技術の波に乗り、アジア太平洋地域が「イノベーションのハブ」として台頭してきた一方、2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、スタートアップにとって現実を直視せざるを得ない難しい年となる。

これはVCにとっても同様である。あらゆる業界で真に将来性のあるビジネスを実現するためには、イノベーションを核としたスタートアップをリードするファウンダーを見抜き、万全のサポート体制を提供する必要がある。

Qualgro

Qualgroはシンガポールを拠点とするVCである。主にデータ、SaaS、AI分野のB2B企業に投資し、地域的または世界的な成長を目指す優秀な起業家を支援している。Qualgroは東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドに投資しており、主にシリーズAとシリーズBを中心に投資を行っている。

Qualgroはコロナ禍においても積極的に投資を行っており、今年も同地域で4件の投資案件をまとめた。また、昨年はアンカー投資家として1億2500万米ドルでWavecellを米国の上場企業に買収させ、重要なExitを成功させた。これはシンガポールVC協会にとっても重要な事例であり「Exit of the Year 2019」に選ばれた。

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先日、e27はQualgroのMinh Vu Hong氏のインタビューを行った。以降では、同氏へのインタビュー内容を基にアジア太平洋地域における新たな業界動向、Qulagroのビジョンと今後の計画について解説する。

Vu Hong氏は東南アジアの市況やQualgroのビジョンに関して、以下のように述べている。

「東南アジアでは、B2Bデータ、AI、SaaSを駆使する企業が規模を拡大している。また、中小企業のデジタル化の進展や地域全体の大企業が増加している。Qualgroは米国、中国、ヨーロッパの企業に対抗できるような世界的な企業の創出を目指している創業者を支援したいと考えている。」

Qualgroは、起業家精神、ビジネス洞察力、投資の専門知識、テクノロジーに関する深い知識、コンサルティングの経験などを独自に組み合わせて、創業者がB2Bビジネスや海外進出を展開するサポートを提供可能だという。

ベトナム市場

コロナ禍においてデジタルの活用が加速する中、教育やヘルスケアなどの分野が変革に迫られている。最近の資金調達ラウンドで存在感を示しているのは、この傾向を捉えているスタートアップである。例えばベトナムでは、オンライン教育、テストバンク、デジヘルス、ドラッグデリバリーなどの分野で、ここ半年間に数十社の企業が大きな牽引力を発揮している。

「すべての企業がそれぞれの市場に対して同じ角度やアプローチを持っているわけではないので、この勢いがどのくらい続くかが大きな問題であり、他の企業を犠牲にしてでも勝者として浮上しなければならない企業もあるだろう。」

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また、Qualgroは現在、ベトナムへの投資にも注力している。

「ベトナムのエコシステムは歴史的にB2Cスタートアップが中心だったが、B2Bデータ、AI、SaaSの質の高い企業やファウンダーが増えてきており、国内だけでなく海外でのスケールアップにも驚くほどのチャンスがあることが分かってきた。また、ベトナムでは、熟練のソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、データエンジニアを擁するタレントプールがあり、国の競争力の源泉を担っている。」

スタートアップとの信頼関係

Vu Hong氏曰く、最近の大きな課題は「出張ができないこと」であると述べる。

「現地で創業者やそのチームと一緒に時間を過ごすことができないため、創業者と投資家の双方にもう少し "飛躍的な信頼関係 "が必要になる。」

VCの競争力の源泉は、日常的に新しい人とつながりながら強固なネットワークを維持し、地域のテック系スタートアップエコシステムに関連する信頼できる情報にアクセスすることである。

出張が制限され、こういった情報にアクセスできない埋め合わせとして、最近e27 Proメンバーシップに加入することを決断した。

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e27 Proメンバーシップでは、スタートアップからのインバウンドリクエスト、ウェビナー、ブランドプロモーションなどが展開できる。東南アジアにおけるQualgroの高い投資意欲を支える基盤として活用されている。

あらゆる業界でデジタル化が進む中、Qualgroの革新的なビジョンによって東南アジアスタートアップの発展が推進されることに期待したい。

翻訳元:Why COVID-19 isn't slowing down this VC from helping businesses scale

記事パートナー
e27
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Author
松尾知明
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