外資が力を強めるシンガポールEC市場の現状

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、シンガポールでECプラットフォームが盛り上がりを示している。シンガポールのトップ4ECプラットフォームの製品73点の価格の比較調査結果を基に、今後の同国EC動向について考察する。
EC マーケティング

新型コロナウイルスの発生により多くのシンガポール人がオンラインショッピングに切り替える中、多くのECサイトで顧客数の増加が見られるようになった。

オンラインショッピングは人件費や賃借料などの固定費がかからないことから、価格を安く抑えられるという独自のメリットがある。

 

しかし、すべてのECサイトが同程度のお得感を顧客に提供しているのだろうか?

今回それを知るために、シンガポール最大のECプラットフォーム4社の製品73点の価格の比較調査を実施した。

調査対象はシンガポールのトップ4 ECプラットフォーム

  • Amazon

  • Qoo10

  • Shopee

  • Lazada

この調査に含まれる製品は、4つのサイト全てで入手可能な商品に限定した。

 

 

調査結果

  • Qoo10は電子機器、ゲーム・玩具、健康、書籍・雑誌のカテゴリーで最安値を記録した

  • Amazonは日用品や食品・飲料のカテゴリーで最安値を記録した

  • Qoo10は競合他社平均よりも全製品平均価格が10.97%安価であった

  • Amazonは競合他社平均よりも全製品平均価格が4.55%安価であった

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知名度が低いサイトの方が安い

シンガポールで最も人気のあるeコマースサイトはShopeeとLazadaである。

しかし実際には、これらの人気サイトが最も安い価格を提供しているわけではないことが明らかとなった。

シンガポールではあまり有名ではないQoo10や新規参入のAmazonの方が安値で商品を提供しているのが現状である。

 

特にQoo10は、分析したすべてのECプラットフォームの中で最も安い平均製品単価を誇り、73個のアイテムのうち35が最安値であった。

Amazonは2番目に安いプラットフォームで、30点の商品が平均4.55%も安くなっていた。対照的に、シンガポールで最も人気のあるEコマースサイトであるLazadaは、分析したカテゴリーの平均で15.97%も高くなっていた。

 

 

製品ごとに最安値は異なる

Qoo10は平均価格ベースでは最安値のECサイトであったものの、製品によっては他プラットフォームの方が安くなることもある。

例えば、Qoo10は電子機器、サプリメント、ゲーム・玩具、書籍・雑誌のカテゴリでは最安値を誇っていたが、日用品や食品・飲料ではAmazonには敵わない。

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シンガポールECの今後

今後、シンガポールにおいてECプラットフォームは益々存在感を増していくものと予想される。

現在の市場リーダーはLazadaとShopeeで、それぞれ月平均8,241,667人、10,150,000人の訪問者数を誇っている。

一方、Amazonは2020年3月以降、トラフィックが61.02%増加しており、積極的に順位を上げている。また、Amazonは価格だけでなく、プライム会員(即日配送やAmazonプライムビデオ)においても優れた消費者体験を提供している。

Amazonはシンガポールを足がかりに、より広い東南アジア(SEA)地域への進出を目指している。優れた価格と配送を提供しながら、順調に成長していると言える。

LazadaもShopeeは市場リーダーといえどもシェアの維持に向けてあらゆる施策や、これまでと全く異なる付加価値を提供する必要があると言える。

今後もシンガポールのEC動向から目を離せなさそうである。

 

 

 

翻訳元:The cheapest e-commerce platform in Singapore --and what it means for competition landscape

記事パートナー
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執筆者
松尾知明 / Tomoaki Matsuo
中小企業診断士 / Web Writer
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