「なぜメキシコは中南米スタートアップのスケールアップに適した地域」なのか?
これはメキシコを訪れたことのない人には分からない質問であろう。
メキシコには、首都のメキシコシティだけでも2,000万人の人口を抱えている。メキシコシティは中南米の「心臓部」であり、日々、中南米全域から多くのアイデアが持ち込まれ、実証・実装に結び付けられている
メキシコシティは、画期的なイノベーション、大規模なハイテク企業、ベンチャーキャピタル(VC)企業の伝統的な発祥の地であるシリコンバレーから飛行機で3時間の距離にある。
メキシコという国は、米国との距離が近く、世界中からの資本や人材へのアクセスが容易であるという利点もある。
現在、新型コロナ感染リスクを抑えるために多くのセクターが活動量を減らさざるを得ない状況ではあるものの、これまで以上に多くの企業が、ビジネス拡大のための出発点としてメキシコに目を向けはじめている。
今回、メキシコのスタートアップエコシステムに対する影響力を調査するために、長年にわたって収集してきたデータを基に中南米で事業を拡大しているスタートアップの洗い出しを行った。
調査の過程で、2015年以降に100万ドル以上の資金調達を行った同地域のスタートアップ企業360社を特定した。
360社のスタートアップ企業のうち、3分の1以下の企業(360社中104社、29%)が中南米の他国に進出していることがわかった。
360社のうち、進出先のトップはメキシコであった。特筆すべきことに他国進出ルートのトップ3は、すべてメキシコにつながっていた。
驚くべきことに、コロンビアのスタートアップ17社(Rappi、Frubana、Laika、Muyなど)が最初の進出先としてメキシコに進出している。
1位 コロンビアからメキシコへ(スタートアップ17社)
2位 ブラジルからメキシコへ(スタートアップ16社)
3位 アルゼンチンからメキシコへ(スタートアップ13社)
スタートアップの進出先として最もターゲットにされているのはメキシコ、次いでコロンビア、そしてブラジルと続いている。
他国進出を図ったアルゼンチンスタートアップのうち、68%がメキシコ、63%がブラジルに進出している。
昨年実施した中南米1億ドルクラブの調査によると、同地域のユニコーン企業のほとんどはアルゼンチンとブラジルからの進出企業である。一旦、ユニコーンの地位を獲得した企業のほとんどは、その後近隣国への進出も図っている。
ブラジルのスタートアップ企業は自国市場に焦点を当てることが多い。中南米地域の他国に進出している企業はわずか11%に過ぎない。
しかし、進出を検討する際には、大多数がメキシコ(ブラジルの進出企業の80%)、次いでアルゼンチン(50%)を選択している状況である。
チリのスタートアップ企業の76%は、中南米地域の複数国で事業を展開している。
そして、メキシコへの進出率は63%と最も高い。
チリのオンデマンド食料品スタートアップであるCornershopの進出は特筆すべき事例である。同社は現在、メキシコ、ペルー、コロンビア、ブラジル、コスタリカに進出しており、昨年末にUberが同社の過半数の株式を取得して以来、拡大スピードを加速させている。
コロンビア人には大胆な起業家が多く、他国進出率は65%と近隣諸国の中で最も高い数字を誇る。
母国からの進出を模索したコロンビアのスタートアップ企業のうち、約3分の2がメキシコへの進出を選択している。
興味深いことに、メキシコのスタートアップ企業は、自国市場が豊富なのにも関わらず積極的に他国市場への進出を図っている。
このうち、44%がコロンビア、39%がアルゼンチンへの進出である。最近の特筆すべき事例としては、アルゼンチンに進出したKavakによるCheckarsの買収などが挙げられる。
翻訳元:Mexico is the go-to market for expanding Latin American startups