ある画期的な技術によれば、ロボットはプログラミングをすることなく、文字通り「見て学ぶ」ことができる。
例えば、商品を梱包したり、コンテナを積み重ねたりといった動作を行うだけで、ロボットは観察、分析、コピーを数秒のうちに行う。
プログラマーやエンジニアのチームは、同じことをするのに何日も、何週間もかかる。そして、もしタスクに変更が必要なら、また戻ってこなければならない。
イスラエルのスタートアップ企業であるDLR(Deep Learning Robotics)が開発したこのソフトウェアは、任意のコンピューターにダウンロードでき、ロボットのコントローラーとして使用することが可能だ。
ユーザーは画面上のオプションを選択するだけで「レッスン」が始まり、ロボットアームはそれを見て学習するように促される。
この技術は、作業をする人を観察し、必要なデータを抽出し、ロボットがその作業を模倣できるように簡単な世界共通言語に変換する。「すべては数秒のうちに、時には長くても数分のうちに終わる」と、同社の創業者兼CEOのCarlos Benaim氏は語る。
ロボットに人間を観察させながら教えるというのは、他の企業では実現できていないそうだ。
研究開発は数多くあり、他社も追随してくると考えられるが、今のところ、生産ラインに到達したのはDLRが初めてだと彼は言う。
このソフトウェアは、どんなカメラにも接続でき、ロボットアームに「目」を与え、行動を観察することができる。観察している3D環境の生データを取得し、ロボットが作業を行う人、扱っている物体、作業の目的などを区別できるように処理する。
例えば、人が物を取って別の場所に置くのを見ると、その物を動かすことがこのタスクの目的であると理解する。一度覚えた仕事は、毎回完璧にこなし、疲れることもない。
またロボットがタスクを学習した後でも、ユーザーはソフトウェアを通じてタスクを編集することができる。「タスクを学習した後は、いつでもいくつかのパラメータを変更することで、より自分のやりたいことに適応させることができる」と彼は言う。
とはいえロボットが学習するタスクの精度は、使用するカメラやロボットアームの種類に依存する。
「私たちの目標は、ロボットによる自動化を簡単にし、今でも手作業で作業している人たちがロボットアームで作業できるようにすることだ」とBenaim氏はNoCamelsに語っている。
「ロボットアームを工場に導入するには、数カ月かかることもある。また何かを変更する必要がある場合、再びエンジニアを呼び出す必要がある。私たちはこの障壁を取り除く」
ロボットが学習できるタスクは無限大のようだ。Benaim氏は、ハイファ大学との共同研究において、ある学生がロボットアームに絵を認識させ、その絵の複製を一人でできるようにしたことがあると話している。
しかしこの技術は、梱包、物流(オンラインスーパーの注文の自動化など)、ノートパソコンなどの技術の組み立て、塗装、研磨、溶接、ハンダ付けなど、主に産業用途で使われている。
ポテトチップスの製造会社では、ロボットにジャガイモの選別(通常は手作業)をさせ、大きすぎるもの、小さすぎるものを加工ラインから取り除いているそうだ。
今のところこの技術はロボットアームにのみ使われている。例えばAIを搭載したロボットアシスタントとは対照的だ。しかしBenaim氏は「限界はある」と語る。
Benaim氏は、ロボットアームが人の仕事を代替することはなく、むしろ同じ手作業を何度もする必要がないため、従業員の生産性を高めることができると言う。
「ロボットが十分に活用されていない企業を多く見てきた。ロボットは、ある特定の作業にしか使われていない。また、多くの場合、従来の技術でできることに使われていることが関係している。
私たちの技術を加えることで、同じロボットでもできる作業の種類や量が広がると思う」。
また、人間と一緒に作業するロボットアームであるコボットのように、ロボットをより使いやすくする技術については、Benaim氏は競争相手ではなく、自社の技術を補完するものと考えている。
翻訳元:https://nocamels.com/2023/01/watch-and-learn-robot-picks-up-new-skills-in-seconds/
表題画像:Photo by Sufyan on Unsplash (改変して使用)