ウォルマート、イスラエルのバーチャル試着室スタートアップZeekitを買収【リテールテック】

Zeekitは女性が設立したイスラエルの企業で、ダイナミックなバーチャル・フィッティングルームのプラットフォームを通じて、ファッションとテクノロジーを融合させ、顧客体験を大幅に向上させている。
ファッション 経営者

大手小売業のWalmart(以下ウォルマート)は、イスラエルのファッション・スタートアップ企業であるZeekitを買収する。

Walmart USのアパレル・プライベートブランド部門の副社長であるDenise Incandela氏は「Zeekitは、女性が設立したイスラエルの企業で、ダイナミックなバーチャル・フィッティングルームのプラットフォームを通じて、ファッションとテクノロジーを融合させ、顧客体験を大幅に向上させています」と発表した。

なお、今回の取引の財務的な詳細は公表されていない。

2013年にYael Vizel氏、Nir Appleboim氏、Alon Kristal氏によって設立されたZeekitは、ファッション業界でインタラクティブなオンラインショッピング体験を提供している。バーチャル試着室では、どのような服でも本人が実際に着用している姿をシミュレーションすることができる。これはZeekitの特許技術によって商品カタログ全体を統合し、リアルな拡張現実とAIを活用して顧客がバーチャルに服を試着できるようにしているためである。

共同設立者の3人は、ウォルマートに加わる。

Incandela氏は「Zeekit社の技術により、お客様はFree PeopleのようなナショナルブランドやGeorgeのようなプライベートブランド、Sofia VergaraによるSofia Jeansのような高級ブランドを取りそろえ、バーチャルに試着することができるようになります」と公表している。

Incandela氏は「お客様はご自身の写真をアップロードするか、身長、体型、肌の色などの条件が近いモデルを選ぶだけで、Walmart.comでのライブ配信時に、あらゆるアイテムを着用した自分の姿を見ることができます。また、バーチャル試着を友人と共有することも可能です」と説明している。

また「バーチャル試着は、これまでオンラインショッピングで再現することが最も困難であったことを解決する画期的なものです。Zeekitは、私たちの多様な顧客層に、包括的でパーソナライズされた体験を提供するのに役立ちます」とも述べている。

Zeekitはリアルタイムの画像処理により、人の画像を何千ものセグメントにマッピングする。衣服も同様の方法で処理され、両者の等価点がマッピングされて最終的なシミュレーションが行われる。

ウォルマートによると、このプラットフォームはすでにファッション業界の多くのトップブランドや小売業者によって試用されている。2018年、NoCamelsは、英国のオンラインファッション小売業者であるASOSが、このファッションスタートアップとパートナーシップを終結したことを報じた。バーチャル試着室機能はASOSのアプリに統合され、ファッションアイテムのシミュレーション画像をモデルに着せるのに使われるという。

Incandela氏は「Zeekit社の技術は、世界最大のバーチャルクローゼットを構築し、シームレスに服を組み合わせることができるなど、他のファッション体験にも利用できると考えています。これらの活用の幅が広い技術は、デジタル体験に新たな要素を加え、お客様のパーソナリティや好みをショッピングに反映させることを可能にします」と述べている。

さらに「リアルタイム画像技術、コンピュータビジョン、そしてAIをファッション業界に導入したチームの専門知識をもってすれば、お客様のためにさらに多くの革新的な方法を見出すことができると確信しています」とも述べている。


翻訳元:Walmart Acquires Israeli Virtual Fitting Room Startup Zeekit

表題画像:Photo by Meghan Schiereck on Unsplash (改変して使用)

記事パートナー
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執筆者
滝口凜太郎 / Rintaro TAKIGUCHI
Researcher&Writer
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