コロナ禍においてスタートアップの投資家として考えていること
「Qualgro」の投資マネージャーであるWanying Zhang氏が、新型コロナウイルス感染症の大流行やBtoBビジネス、そしてニューノーマルについての考えを語る。
Nov 22 2020 IN Translation
Southeast Asia VC

VCシリーズの初回のエピソードに続き、「Qualgro」の投資マネジャーのWanying Zhang氏がウェビナーでの質問に対しての自身の考えを共有する。

コロナ禍におけるVCの1日の様子

VCに携わる人々の毎日は異なるため、新型コロナウイルスの世界的な流行以前からVCの典型的な1日の流れを示すことはとても難しい。最も大きな変化は、VCにとって人との信頼関係の構築が非常に重要であるにも関わらず、対面で誰にも会えなくなったことである。

例えば対面での交流では起業家とより意義のある会話ができるため、スタートアップとVCが上手くかどうか評価ができる。これはビジネス側面のマッチングだけでなく、人同士のマッチングに関しても同じことがいえる。オンラインで話したりすべての指標を見たりすることはできるが、最終的には数十年に及ぶ関係を構築したいと考えており、最も重要な相互作用の要素が欠けてしまっている。

だが誰もがリモートで仕事をしなければならない時間によっては、スタートアップやVCは、デジタルで実施される可能性のある新しい資金調達の方法に適応しなければならないかもしれない。

私たちが探しているもの

通常プレシード期やシード期においては、スタートアップが抱える最も価値のある(唯一であることもしばしばだが)資産は創業チームである。したがってチームは私たちにとって最も重要な要素である。もちろんビジネスの他のすべての要素を、その後のステージのために実施するのと同じように評価している(つまり市場や競合状況など)。しかしこういった要素はビジネスが成長していくにつれて、確実に大きく変わっていく。

そのため確信をもちたいのは、この分野で優れている適切なチームであるかどうかということである。適切なチームというのは会話で述べたように、価値観やビジョン、レジリエンスや創業者のチームビルディング、そして常に学習するマインドセットなど、私たちが評価している特徴を持っているかどうかである。

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私たちは少なすぎる株式の取得は避けようとしているが、最適株式数について固定の要件は設定してない。アーリーステージの企業の場合は、取締役会の代表権を持った株式保有率が少なくとも10%であることが通常望ましい。

後悔への対処法

私たちはユニコーン投資を逃したことをとても後悔している。しかし教訓を絶えずに学ぶのはこういった後悔、つまり「それらの機会を見たときに何を逃したのか」ということからである。優れた創業者たちの本当の可能性よりも、私たちがビジネスの業態(ビジネスモデルやけん引力など)に焦点を当てすぎたことが非常に頻繁にその答えとなっている。

こういった失敗はよりよい視座をもつために、企業や創業者を評価するフレームワークの継続的な改善を可能にしている。

BtoBビジネスへの考え

セクターに捉われてはいないが、私たちはデータやAI、そしてSaaSという2つの領域に焦点を当てている。通常弊社は異業種向けにAIを活用したMarTech(マーテック)や、異業種向けの従業員のエンゲージメントSaaSなど、業種を超えてサービスを提供している。

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市場という観点で言うと、東南アジア内では下記について重要的に取り組んでいる。

・主にシンガポール内のBtoBビジネス。というのは、中小企業や企業の顧客が集中していることや関連する人材が必要なことなどから、BtoB市場としては最も先進的な市場である。

・インドネシアやベトナム、他の国でも戦略的にBtoBの機会を検討している。こうした国のスタートアップエコシステムの性質としては、BtoCが主導している傾向にある。

・2020年と2021年には私たちのチームはより多くの時間と資源をベトナムに費やすだろう。異なるセクターやビジネスモデルにも柔軟に目を向けることができる。最終的には東南アジアの優れた起業家を支援したいと考えているため、良い機会があったらポートフォリオの一部からでも柔軟に対応できる。

BtoB企業はBtoC企業よりも収益化に向けての道のりが簡単であるという神話がある。ここでの最も重要な違いは、すべてのビジネスがどれだけの顧客獲得コストをかけなければならないかということである。多額のマーケティング予算がかかるBtoCビジネスと比べて、ターゲットを定めた顧客獲得の手法を用いることは、多くのBtoBビジネスに当てはまる。もちろん例外はあるが、一般的にBtoBビジネスの方が収益の動向に合わせてコストがかかる傾向にあるのはこのためである。

一般的にどのような企業がより回復力に優れているかというと、その企業が属する特定のセクターによるものである。新型コロナウイルスの世界的な流行による影響を大きく受けたBtoBビジネス(小売業など)もあれば、この時期に恩恵を受けたBtoCビジネス(食品や食料品配達、教育、デジタルヘルスケアなど)もある。これらはもちろん、収益の牽引力を指している。

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最終的にこのパンデミック時に企業がどれだけ回復力を発揮できるかは、経営陣がいかにコストベースで収益に見合ったものにするかを、増減に関わらずコントロールできるかどうかにかかっている。

ニューノーマルのトレンド

例えばオンラインコミュニケーションや食品、食料品の配達のほか、オンライン教育やオンラインエンターテイメントなど、パンデミック時に出現するトレンドは間違いなくある。これらのトレンドの中には人々の生き方を永久に変えるものもあれば、一時的に変えるものもあると考えている。

私たちが興味をもって探しているのは、パンデミックにおいて何が出てきたのかに注目しすぎるのではなく「今後5年後や10年後にも需要があるのは何か」という点である。これは言い換えれば、ビジネスの基本的な部分とも言えるだろう。

翻訳元:https://e27.co/vietnam-would-be-a-country-we-will-look-at-in-2021-says-qualgros-investment-manager-20200615

記事パートナー
e27
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Author
土橋美沙
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