メディア型の新規事業5選: 2020年注目すべきスタートアップ達

ソーシャルメディアを中心に、メディア業界は大きな変革期を迎えている。新たな技術やマーケティング手法を取り入れて成長するメディアテックのスタートアップのなかでも、2020年に注目すべき5社を紹介する。
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2020年には貿易戦争や大規模な森林火災、新型コロナ感染症など様々な出来事が発生し、私たちは大きな荒波を経験している。しかし、このように前例のない時代だからこそ、目の前の困難にスタートアップがどのように立ち向かっているかという分析は、注目に値するだろう。

彼らは少ないリソースを最大限に活かしながら、それぞれの分野で成長を遂げている。そのうちの一つが、メディアテックである。これまでの10年間を振り返ると、どのように消費者がメディアを見るのか、どのように企業がメディアを作成するのか、そしてどのようにマーケティング担当者がメディアに広告を出稿するのかいう様々な点において、流れが大きく変化してきた。

その立役者となっているのが、AIやブロックチェーンなどの新興技術である。これらがメディアやエンターテインメント業界と融合することで、消費者や企業は従来の主流のメディアソースだけでなく、新しい技術を活用したソーシャルメディアを多く利用するようになってきている。

例えば、ビジネスメディアの「Forbes」は「Bertie」という名前のボットを使用している。オンラインメディアの「Digiday」の紹介によると、このボットはコントリビューターが執筆した過去の記事やタイトル、画像に基づいて、新しい記事ネタの提案をする機能をもつという。

そこで2020年に注目すべきメディアやソーシャルメディアのスタートアップを5つ紹介しよう。

1.シンガポール発の「Partipost」

「インフルエンサーマーケティングハブ」が3月に発表したレポートによると、インフルエンサーマーケティング業界の市場規模は2020年には約97億ドルに拡大すると予想されている。多くの企業はソーシャルメディアキャンペーンへの支出額を増やし、インフルエンサーだけでなく、SNSでのフォロワーが比較的少ないマイクロインフルエンサーとの連携も進めている。

この業界にサービスを提供しているのが、シンガポールを拠点とするメディアテック企業の「Partipost」である。同社は、ソーシャルメディアのアカウントを持っている人であれば、誰でも簡単に登録してインフルエンサーになれるプラットフォームを展開している。

同社によると、2018年にモバイルアプリを立ち上げて以来、約20万人のインフルエンサーがプラットフォームに登録した実績をもつ。さらに過去1年間で「Adidas」や「Arnott’s」、「Red Bull」や「Chope」 、そして「Gojek」など、850以上のブランドと共に2500件以上のソーシャルメディアマーケティングキャンペーンの実施を支援した。最近では「SPHベンチャーズ」などから350万ドルを調達した。

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今回の資金調達は、シンガポールや台湾、インドネシアやマレーシア、フィリピンやベトナムで事業を拡大するために実施した。同社によると、今後18ヶ月以内にインフルエンサー登録の志望者を100万人まで拡大する見込みだという。

2.インド発の「Bitlumex 」

ブロックチェーンがメディアやエンターテイメントといった伝統的な業界の慣習を破壊する中、「Bitlumex」は新しい活路を見出している。同社はブロックチェーンや仮想通貨(クリプトカレンシー)を手がける企業に、広報支援とニュース配信サービスの総合的なパッケージを提供し、希望するオーディエンスへのリーチをサポートしている。

サービスローンチ後、8ヶ国語で100以上の世界的な出版社と提携。30以上のICO(イニシャル・コイン・オファリング)の立ち上げ支援にも携わった。「Bitlumex」がもつネットワークとデータ分析ツールを活用することで、ユーザーはPR活動にかかる時間を通常の1ヶ月程度からわずか1週間まで短縮できるという。

同社は「Ankr」や「aToken」とパートナー契約を結んでいる。最近は35万人の世界的なユーザーベースを持つ「Tachyon」と提携した。

3.マレーシア発の「Ittify」

もう一つ紹介したいソーシャルメディアインフルエンサーのプラットフォームは、マレーシアの「Ittify」である。

Ittifyはそれぞれのブランドとインフルエンサーを結びつけるために、2015年にGuan Sheng氏によって設立された。5年間で6143人以上のインフルエンサーを集め、様々な業界のブランドと250以上のキャンペーンを実施した実績をもつ。

4.インドネシア発の「Kofera」

インドネシア発のスタートアップ「Kofera」は、PPCマーケティングモデルを軸にビッグデータと機械学習を活用したサービスを展開している。

2015年に立ち上げられたプラットフォームでは、関連性の高い広告を即座に作成できるアドビルダーサービスを提供し、クライアントのキャンペーンを後押しするためにSaaSを展開している。

また、プラットフォームを介してキャンペーンデータの分析も行っている。これまでEコマース企業の「Blanja」や「Berrybenka」、「Tokopedia」や「Bhinneka」、「LUXOLA」や「Sejasa」、そして「aCommerce」などが「Kofera」のサービスを導入した。

同社は「MDI Ventures」や「Indosterling」、そして「Access Ventures」などから資金提供や支援を受けている。

5.シンガポール発の「Adzymic」

シンガポール発スタートアップである「Adzymic」は、ブランドや広告代理店のクリエイティブ管理プロセスを簡素化し、ディスプレイ広告のパフォーマンス向上を支援するアドテクノロジー企業である。

同社の次世代型ダイナミッククリエイティブ管理プラットフォームは、ディスプレイ広告を高パフォーマンスのネイティブ広告などに変換する機能をもつ。

また独自のスマートタグ技術により、機械学習とファーストパーティーデータを基に、広告の生成やその最適化、パーソナライゼーションを大々的に展開できる。2017年に法人化された同社は、複数の大手エージェンシーやパブリッシャー、ブランドと提携。現在はシンガポールのほかマレーシアやインドネシア、ベトナムで事業を展開している。

最近ではオンラインメディアの「iAvtarZ digital」と提携し、インドでの事業拡大を図っている。

上記に挙げた5つのスタートアップは、これまでのビジネスプロセスにテクノロジーを組み込むことで、新たな旗手としてこれからの道を切り開いていくだろう。

翻訳元:https://e27.co/top-5-promising-media-tech-startups-to-look-out-for-in-2020-20200803/

記事パートナー
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執筆者
土橋美沙 / Misa Dobashi
Contents Writer
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