バイオテックスタートアップ企業は投資家にとって、ハイリスク・ハイリターンとなるターゲットだ。韓国のバイオテックスタートアップ企業の中には、アジアの優れたバイオテック企業との競争力を持つ企業がたくさん存在するが、投資の際には刻々と変化するヘルスケア業界の状況のために、リスクを伴う可能性がある。
一般的に韓国のバイオテックスタートアップ企業は、最初の製品を市場に送り出すまでに数年間の研究やテスト、規制の通過といったプロセスを必要とする。
しかし、ヘルスケア産業における技術の進歩と新しい発見により、バイオテック分野の未来は明るいものとなっている。また、近年のコロナ禍においては、多くの投資家が医療分野における研究開発の重要性を認識している。
2017年に始まったソウルバイオハブではすでに、70社以上のOB企業を輩出し、9,000万ドル以上の投資を集めている。また、ソウルバイオハブは、ポストCOVID-19時代のインフラ強化のため、「ソウル バイオイノベーションコミュニティーセンター」を開設した。
ここでは、オフィススペースやネットワーキングだけでなく、専門的な教育やコンサルティング、グローバルなコネクション、投資機会などのサポートプログラムを提供することで、初期段階のバイオテックスタートアップ企業の支援を行っている。
ソウルバイオハブは、医療やデジタルヘルス、医療機器などに焦点を当てているため、支援の対象となるスタートアップ企業は、病院や大学、研究機関のインフラを基盤としたバイオ・メディカル産業である必要がある。
韓国のバイオテック企業であるCelltrionは、韓国で最も成功したバイオテック及びヘルステック企業であり、韓国のユニコーン企業の道を歩んでいる。
同社は2002年に設立され、その後株式を公開し、コスダック市場のスタートアップ企業の中では時価総額で上位に位置している。
そこで、韓国のバイオテックスタートアップ企業の中で、次のCelltrionやGenexineとなるのはどの企業か?AI技術を取り入れたバイオテックスタートアップ企業に興味のある方に向けて、韓国のAI医療スタートアップについては別のリストを案内する。
このランキングは以下の4つの要素をもとにSeoulzのスタッフにより作成された。
資金調達
市場機会
サービスや製品の革新
成長性・スケーラビリティ
韓国のバイオテックスタートアップの頂点はROKIT Healthcareだ。
同社は、安全で効果的臓器再生プラットフォームを開発しており、Dr.INVIVO 4Dと呼ばれる、4Dバイオプリンター・臓器再生機の開発者でもある。Dr.INVIVO 4Dは世界初の無菌オールインワン4D臓器再生機で、生物医学研究者や材料エンジニアが、細胞や生体分子、ポリマーをパターン化し、組織から新しい生体適合材料まで用いることのできるマルチマテリアルの3D複合構造を探求するために開発された。
現在では、糖尿病性足潰瘍の治療として皮膚の再生に使用されている。ROKIT Healthcareは、米国およびカナダを拠点とするバイオテック専門の投資家であるDRADS capitalからシリーズCの資金調達を受けている。
ROKIT HealthcareのCEOであるSeokhwan You氏は「バイオメディカル業界での豊富な経験を活かし、個人に合わせた臓器再生からアンチエイジング市場まで事業領域を拡大することで、革新的なグローバル企業として成長し続けられるよう努力していきます」と語っている。
ROKIT HealthcareはすでにシリーズCの資金調達を終えており、2021年の株式公開を目指している。今後は韓国だけでなくアメリカやヨーロッパ、アジアでの臨床試験をさらに進めていくこととなるだろう。
韓国のヘルスケアスタートアップ企業であるCareLabsは、ITイノベーションに基づいた、最適なソフトウェアとコンテンツサービスを提供している。
韓国の化粧品やスキンケア、ダイエットのレビューを共有するヘルスケアサービスBabitalkを開発した企業でもあり、このほかにも、Goodocという病院情報アプリの開発も行っている。Goodocはユーザーに対し病院の紹介情報を提供するアプリだ。機能としては、レビューを共有するコミュニティ機能を備えており、現在のコロナ禍においては、フェイスマスクの在庫をリアルタイムで追跡できる機能も併せて提供されている。同アプリではすでに、25万件以上のレビューがあり、韓国の500以上の病院と提携している。
CareLabsは美容業界でのサービスを強化するために、ソーシャルデートアプリを提供するBNK Labに1,000万ドル近くを投資した。
その他にも同社は独自の美容アプリやデートアプリを他の国で立ち上げることで、韓国外への進出も視野に入れており、ヘルスケアデータのスタートアップであるLife Semanticsにも投資を行っている。
同社の売上は、2014年の700万ドルから2018年には4,700万ドルに増加しており、韓国だけでなく世界のヘルスケア市場に向け事業を拡大していく。
さらにCareLabsは、インドネシアとシンガポールに拠点を置く、オンラインビューティーコンシェルジュのスタートアップであるEunogoの株式の過半数を取得した。これにより、CareLabsは東南アジア市場での事業拡大を目指していくこととなる。
CareLabのCEOであるKim Dong Soo氏は「韓国へのインバウンド医療観光客は増加の一途をたどっていますが、その一方でお客様のペインポイントを理解し、それに対応するプラットフォームは存在しませんでした。今回の買収は、韓国の医療観光産業の成長をリードしていく計画であり、CareLabsは韓国No.1ビューティープラットフォーム企業として、Eunogoと協力していきます」と述べている。
Noomは、ヘルスコーチアプリを開発提供している。資金調達においてはSequoia Capitalがリードし、5,800万ドルを調達した。同アプリでは、栄養士が考案した食事プランを確認できる他、自分の食事を記録したり、ワークアウトプランを取得したり、運動の進捗状況を確認することができる。
さらには、健康や運動に関する記事、健康的な料理のレシピ、管理栄養士によるサポートやコンサルティングを受けることも可能だ。同アプリを利用する際は、初回ログイン時に現在の体重やライフスタイルに関する一連の質問に答える必要があるが、その後専属のコーチやおすすめの食事などが提供され、パーソナライズされたサービスとなる。
その他にもフィットネス、エクササイズ、血圧、食事を記録するためのツールも組み込まれている。
Noomの一番の魅力は、同アプリを使う中で食べたいものを何でも食べられることだ。その際、ユーザーはフードトラッカー上で、1日に一定のレベルを超えたことを知らせるメモを受け取る。同アプリは無料で利用できるが、すべてのサービスを利用する場合は月50ドルのサブスクリプションサービスを購入する必要がある他、4か月以上の利用が条件だ。そのため、同サービスの利用により、管理栄養士に個別に相談するよりも費用を抑えられる可能性がある。
また、Noomによると、64%のユーザーが体重を5%以上減少させ、60%のユーザーが減少した体重を1年以上維持しているという。
NoomはSerena Venturesから資金提供を受け、同社の継続的な成長のための資金を調達した。また、NoomはSerena Venturesのネットワークやポートフォリオ企業へのアクセスが可能である。
Serena Venturesの創業者であるSerena Williams氏は「Noomは、共感を生む人間のサポートと最新の技術や科学を組み合わせることで、人々の行動を大きくかつ持続的に変化させることを可能にしています」と語っている。
ExoCoBioは、韓国のバイオテックスタートアップだ。
同社は、皮膚再生や組織修復、炎症性疾患、アンチエイジングなどの、様々なアンメットメディカル&コスメシューティカルニーズをターゲットにした世界的にも有望な企業である。
様々なターゲットを抱える同社だが、その中でもエクソソームに注目したい。エクソソームは、細胞間のシグナル伝達のために細胞から分泌されるナノ小胞のことだ。幹細胞から分泌されたエクソソームは、細胞を刺激することがわかっており、組織の再生を助けるだけでなく、皮膚や毛髪など、幅広い用途に応用可能となっている。
ExoCoBioは韓国のVC企業から合計4,600万ドルの資金を調達した。VC企業にはSeven Tree Equity PartnersやTS Investment Partners、K2 Investment、KDB Capital、Atinum Investmentなどが含まれる。
同社は2020年に向けて、エクソソーム医薬品を製造するためのGMP準拠の製造施設建設を引き続き行い、化粧品業界での商業化に向けて、新たなビジネスチャンスを確保することを目標としている。
ExoCoBioのCEOであるByong Cho氏は「ExoCoBioが世界のエクソソーム産業のリーダーの1つとなるよう、研究開発とビジネスを強化していきます」と述べている。
ExoCoBioは、EXOMAGE、Celltweet、ASCEという独自のブランドと製品を展開している。
GI Innovationは、韓国のバイオテックスタートアップだ。
同社は、マイクロバイオームとタンパク質の組み合わせによる新薬の開発を行っている。同社はサムスンバイオロジクスと契約を結び、サムスンバイオロジクスの細胞株、プロセス、分析法の開発などのサービスに加え、第1相臨床試験のための材料や医薬品パイプラインのIND申請サポートの提供も受ける。
GI InnovationのCEOであるSoo Yeon Nam氏は「GI Innovationの研究開発パイプラインに関心を持つグローバル製薬企業が、サムスンバイオロジクスのCDMOサービスを通じて、BLAやバイオ医薬品ビジネスにアクセスできるようになることは非常に喜ばしいことです。今回の提携を通じて、国民や政府が望んでいるベンチャー企業と大企業のWin-Winモデルを実証したい」と述べている。
同社は固形がんを治療するためのバイスペシフィック融合タンパク質であるGI-101を、中国の製薬会社であるSimcereにライセンス供与した。これによりSimcereは、中国、香港、台湾、マカオにおけるGI-101の開発および商業化の独占権を獲得し、GI Innovationは600万ドルを得たことになる。現在までに、シリーズBラウンドで3,100万ドルを調達している。
韓国の大手製薬会社であるYuhan Corp.は、GI Innovationの次世代アレルギー治療薬GI-301のライセンスを取得した。同社はGI-301を開発・商業化のための日本を除く、全世界の権利を所有することとなる。
今後、GI Innovationと共同で、アレルギー性喘息、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの治療薬を開発を進める。GI Innovationは、契約一時金として1,700万ドルを獲得、マイルストーン達成時には追加のロイヤルティを得る予定となっており、この契約は長期的に見れば10億ドル以上に達する可能性がある。
GI-301は、2020年9月に韓国で第1相臨床試験を開始するため、GI Innovationは2020年末までにコスダック市場でのIPOを検討している。
韓国のバイオテックスタートアップであるGenoplanは、消費者が直接購入するDNA検査市場に参入した韓国初のスタートアップであり、最先端の技術や専門知識、経験を生かし、健康とウェルネスに革命を起こすという大きな野望を抱く遺伝子検査会社だ。
同社は最先端の設備を用いて、最も早く最も正確なDNA分析結果を提供している。シリーズBラウンドでは1,400万ドルを調達し、これまでの総投資額は2,300万ドルだ。
同社は韓国やシンガポール、日本にオフィスを構え、アジア圏をターゲットとしている。同社の提供する手頃な価格の家庭用唾液検査キットには、生涯会員権、最新の研究結果の無料更新、450以上のカテゴリーの詳細な分析が含まれる。
ユーザーは唾液採取キットをGenoplanに送付すると、遺伝的要因と非遺伝的要因の両方が含まれたオンライン分析レポートを受け取ることができる。レポートでは、様々な病気の原因や興味深い特徴の傾向が併せて提供される。
同社は、事業の成長に合わせて、人々が自分の遺伝子情報に簡単にアクセスできるプラットフォームを構築し、病気の早期予防をサポートしたいと考えている。
DNA検査キットは、ユーザーが自分のDNAを解読することで肥満や脳卒中などの健康問題の早期予防の対策やサポートを行うものだ。利用の際は、Genoplanのウェブサイト上でアカウント登録を行い、検査キットの採取チューブの側面にあるシリアルキーコードを入力。次に、日常の生活習慣やライフスタイルについてのアンケートに回答し、最後に検査キットのチューブに唾液を入れ、青色の唾液安定化バッファー液を注ぎ、チューブを振る。
Genoplanの創業者であるBrain Kang氏は「アジアに進出してアジアのゲノムデータを収集し、アジアの人々に適したがん治療や化粧品、肥満治療などの開発に役立てたい」と語っている。
チューブを振ったのち、密封されたチューブを付属の袋に入れて郵送すると、数週間後に結果がメールで届く。ユーザーは自分のGenoplanアカウントにログインし、460以上の健康データを含む遺伝子解析結果を含む、パーソナライズされたレポートを確認できる。
Huray Positiveは、人々の生活に幸福と価値をもたらすことを目的としたデジタルヘルスケアのスタートアップだ。
同社のHIDと呼ばれる腎臓病管理サービスは、食事・栄養管理を中心に、透析、血圧、体重の自己管理ができるものだ。このほか、保険契約者向けに健康管理と長期的な経済的成果の向上を実現することを目的とするヘルスケアサービスを提供している。
これまでに、IMM InvestmentやSamsung Venture Investment、TimeWise Investment、StoneBridge Ventures、Shinhan Bankから2,000万ドル以上の資金を調達。また、2021年には、大企業スタッフ向けのヘルスケア事業の拡大に注力するという。
APRILBIOは、長時間作用型のバイオベター治療薬や抗体医薬品を開発するタンパク質医薬品ベースのバイオテックスタートアップだ。
同社の技術は、Ex-12ヘルパーファージ抗体ライブラリ技術に基づいており、血清アルブミンに結合することができるヒトFab抗体断片を用いて、特定の抗原結合特異性を有するヒトモノクローナル抗体を開発している。これにより医療関係者は、B型およびC型肝炎ウイルスの治療において抗ウイルス反応を促すことができる。
同社は、抗血清アルブミンFab関連(SAFA)プラットフォームのソース技術と抗体コンジュゲーション技術を有しており、これまでに1,700万ドル以上の資金を調達した。
APRILBIOのCEOであるSang Hoon Cha氏は「SAFA技術は、様々な薬剤やメカニズムに適用可能なプラットフォーム技術です。IBDに対する革新的な新薬の共同開発を通じて、SAFA技術の有効性を高く評価することができるでしょう」と述べている。
韓国のバイオテックスタートアップであるBionetixは、再発・難治性の癌や緑内障、その他の難病に対する新しい治療法として、腫瘍細胞のDNAの変化に関連する特定のエピジェネティックなプロセスを阻害することで腫瘍細胞の生存と拡大を可能にする新薬の開発を行っている。
同社は独自の研究開発部門を有しており、この部門は、既存の薬剤よりも効果的な新しいエピジェネティック酵素阻害剤の開発に焦点を当てている。また新薬開発の際には公的研究機関の総合的な研究結果を利用し、前臨床試験や臨床試験を行っている。
さらにバーミンガムのSouthern Researchと共同で、命を救う抗がん剤の開発や新しい治療法の発見に取り組んでいる。
BionetixのCEOであるDoo Young Jung氏は「この共同研究プログラムは、新規阻害剤の臨床開発を促進し、がん患者さんに貢献できると信じています」と語っている。
Bionetixは、Ost InvestmentやMirae Asset Venture Investment、Company K Partnersから1,000万ドル以上の資金を調達している。
韓国のバイオテックスタートアップであるNovelty Nobilityは、黄斑変性症を治療することができる、c-KITを核とした治療薬の開発を行っている。c-KIT血管の新生や血管透過性の増加に関与しており、低酸素状態の内皮細胞ではc-KITが増加し、SCFによる内皮細胞の新生血管の形成が促進される。同社は、このc-KIT阻害剤を、多様な種類の癌に適用可能な抗癌剤として開発することを目指しており、シリーズAでは900万ドルを調達している。
韓国のバイオテックセンサースタートアップであるTHE.WAVE.TALKは、従来の1万倍の感度を持つレーザー・センサーを開発した。現在の細菌分析の方法では、専門家がサンプルを採取し、培養や高価な精密機器の使用が必須であり、分析には時間を要する。
同社が開発した技術は、大量のサンプルから低濃度の細菌を検出することができるものだ。ディープラーニングを活用し、より多くのサンプルを扱うことで、わずか数秒で異なる種類のバクテリアを識別する。同技術を活用したバクテリアセンサーは、点滴のチューブに取り付けることができるためナノ・マイクロ粒子の検査に必要な時間と労力を削減し、診断のためのトータルコストを削減できる。
THE.WAVE.TALKは、KAISTのほか、Naver D2Startup Factory、Estech Pharma、Bluepoint Partners、Big Basin Capital、LB InvestmentsなどのVC企業の支援を受けており、累計で約600万ドルの資金調達を実施した。
THE.WAVE.TALKの共同設立者兼CEOのKim Young-dug氏は「細菌感染による生存率は、1時間ごとに下がっていきます。原因の細菌をより特定することでその感染症に適した抗生物質をより早く見つけることができます」と述べている。
韓国の医療テックスタートアップであるLife Semanticsは、医療業界向けのソフトウェアプラットフォームやシステムの開発を行っている。同社の主要プラットフォームは、Life Recordという情報システムだ。同プラットフォームは医療機関に対し、病院管理や患者管理、臨床業務を改善するためのツールを提供しており、病院からの健康記録データを統合して、病気の予知予測アルゴリズムを構築している。
このプラットフォームを通じて収集されたデータは、自己健康管理プログラムを設定し、先制医療サービスを提供するための貴重な情報となる。
Life Semanticsは、深刻な様々な病気の予測、予防、管理を提供するモバイルソリューションを近日中に発売する予定だ。尚、同社は2018年にCareLabsから550万ドルの投資を受けている。
韓国のバイオメディカルスタートアップであるMEDI FUTURESは、超音波プラットフォーム技術をベースに、超音波内視鏡ディスク手術器具や、酵素フリーの超音波幹細胞分離器の商品化を行っている。
これらの機器は、組織の損傷を最小限に抑え、患者の早期回復をサポートするものである。同社の売り上げの80%は海外のものであり、資金はST Capitalや Samho Green Investment などの韓国の VC 企業から 500万ドル以上を調達している。
また同社は、科学技術情報通信部が実施する、フューチャー・ユニコーン・プログラムに参加している。
同社は、高い精度と安全性を備えた医療用吸収性棒状縫合糸「DAVINCI COG」を開発した企業でもある。「DAVINCI COG」は1年で200万ドル以上の売上を上げた実績があり、2020年にはCE認証を取得。今後は欧州市場での売上拡大を目指している。その他にも、アメリカの企業とも連携を通じて手術器具の輸出を拡大していくという。
MEDI FUTURESのCEOであるKim Ji-min氏は「MEDI FUTURESは、体内で吸収される医療機器をマイクロメートル単位で開発することができます。手術や美容だけでなく、今後は眼科や歯科など、他の医療分野でも応用できるように取り組んでいきます」と語っている。
韓国バイオテックスタートアップであるLISCureは、バクテリアを介した免疫療法の研究開発を行っている。この免疫療法は腫瘍、自己免疫疾患、代謝疾患、変性神経疾患などの検出に使用できる。
同社は、7つの医薬品のパイプラインと、2つの健康機能食品のパイプラインを有しており、シード期で500万ドルを調達している。今回の資金調達ラウンドには、NHN InvestmentやKB Securities、Shinhan Investmentが参加した。
韓国の治療スタートアップであるNunapsは、神経疾患に対するソフトウェアベースの治療法の開発とテストを行っている。現在は、Nunap Visionという知覚トレーニングに役立つVRヘッドセットの開発とそのプラットフォームの構築を行っている。
この技術では、脳卒中などの脳の損傷によって引き起こされる視野欠損の治療を目的としている。同社は、Company K PartnersやK2 Investment Partnersなどの韓国のVC企業から420万ドル以上を調達した。
2019年には、食品医薬品安全部がNunapsのNunap Visionの臨床試験を承認した他、Asan Medical Center、Seoul National University Hospital、Seoul National University Bundang Hospital、Samsung Medical Centerで臨床試験を行った。
NunapsのCEOであるKwang Dong-hwa氏は「新しい臨床試験の承認は、デジタル治療の市場での優位性を確保するための第一歩となります」と語っている。
韓国のバイオテックスタートアップであるBiSiChemは、2017年に設立されたがん治療薬の開発会社だ。同社は、最高級のがん治療薬の開発を目的としており、免疫腫瘍治療や標的がん治療のための分子ターゲットの開発を行っている。
研究チームは世界の医薬品開発市場で長年の経験を持つグローバルな人材で構成されており、世界中の病院やバイオテック企業との大きなネットワークを持っている。2019年にはグローバル化を果たし、韓国を飛び出して米国と日本の市場に進出した。
BiSiChemは、イスラエルのVCであるYozma Groupから180万ドルの投資を受けている。
韓国の医療テックスタートアップであるHealcerionは、医師や患者に携帯型の超音波診断装置を提供している。同社のSONON 300Lという携帯型超音波診断装置は従来の超音波診断装置の1/10の価格であり、Google PlayやApp Storeでダウンロードできるアプリと併せることで、いかなる場所でも高度な画像診断ができる。
アプリを介し、タブレットやスマートフォンが装置のディスプレイとして機能する。同装置はFDAの承認を得て、米国市場への参入が可能となった。
SONON 300Lは、充電式(電池寿命3時間)で、重さはわずか370g程度、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)やPACS(Picture Archiving and Communication System)などの医用画像プロトコルにも対応している。同装置は医師と患者だけでなく、小売店の診療所、緊急医療センター、ミニ病院、在宅医療の現場に新しい超音波診断の選択肢を提供している。
さらには、従来の超音波診断ではコストやスペース、移動性の問題で手が届かなかった農村部や第三世界の地域で利用することも可能だ。
HealcerionのCEOであるBenjamin Ryu博士は「新しいHealcerionの超音波スキャナーは、次世代技術を活用し、よりコンパクトで使いやすいものとなっています」と述べている。
韓国のヘルステックスタートアップであるOlive Unionは、高品質でありながら低価格な補聴器を提供している。現在、平均的な補聴器の価格は2,000ドルから6,000ドルだが、同社の補聴器は200ドルの価格設定だ。
補聴器の問題は価格面だけではない。ほとんどの補聴器にはファッショナブルではないという問題も存在する。同社の補聴器は、ワイヤレスのイヤホンのようなデザインであり、Bluetoothを搭載しているため音楽や通話といった利用が可能だ。
2019年、Olive Unionは日本企業の株式会社LITALICOと提携、日本市場に参入しある程度の存在感を示した。また同年は米国市場にも注力した。
同社は2020年、新しい聴覚デバイスを発表した。
Olive UnionのCEOであるOwen Song氏は「2019年は150万ドルから250万ドル程度の売上を計上する予定です。そして、2020年には新しいスマートイヤーデバイスで850万ドルの売上を達成したいと考えています」と述べていた。
韓国のヘルステックスタートアップであるSky Labsは、CARTと呼ばれるリング型のカーディオ・トラッカーで知られている。CARTは、血栓の原因となり、心不全や脳卒中を引き起こす可能性のある心房細動の継続的なモニタリングをサポートする。心房細動は、40代以上の人の25%が発症すると言われている。
CARTは防水・防塵機能を備えており、毎日身に着けることが可能だ。デバイスにて収集された心房細動のデータは、医師による心房細動の診断に役立つ。
同社は、ソウル大学病院で臨床試験を行い、BayerやSanofiなどのグローバルな製薬会社と協力している。
2021年は、世界市場でのシェアを拡大するために、米国や欧州での販売ライセンスを取得することを目標としている。Sky Labsは2015年に設立され、彼らは2017年にBayerによるスタートアッププログラム「Grants4Apps Accelerator」でピックアップされたことで、初めて欧州市場での可能性を見出した。さらに2018年には、世界最大の循環器学会である欧州心臓病学会大会で、デジタルヘルスケア分野の最優秀賞を受賞している他、2019年にはHRS(Heart Rhythm Society)のYIA(Young Investigator Awards)に選出されている。
韓国のチームが同賞を受賞したのは初めてで、韓国では2回目となる世界経済フォーラムのTech pioneerにも選ばれている。
Sky LabsのCEOであるLee Byung-hwan氏は「設立当初より欧米への進出を目指してきました。韓国でも製品を発売することとなり、食品医薬品安全部の認可を申請しましたが、政府の規制により限定的な使用にとどまっています」と語っている。
韓国のヘルスケアスタートアップであるJivaka Careは、海外の患者をターゲットに、予約サービスや医療情報を提供している。
同サービスでは、海外の患者と韓国の整形外科医、検眼医、皮膚科医、歯科医を結びつけ、クリニックの予約をサポートしている。従来のメディカルツーリズムは、オフラインの仲介業者に依存していたが、同社はGoogleを利用したオンラインプラットフォームを開発し、海外でのマーケティングを行っている。また、同社はNaverの投資部門であるSpring Campから50万ドル以上を調達した。
Jivaka CareのCEOであるLee Ji-hong氏は「投資資金は、韓国の医療サービスを紹介するための良質なコンテンツの制作や、外国人患者様に届けるためのオンラインマーケティングの強化に充てる予定です。外国人患者様と韓国の最高の医療サービスを結びつけるために、私たちは全力を尽くします」と述べている。
韓国の医療機器スタートアップであるNu Eyneは、眼病の治療に焦点を当て、医療機器の開発を行っている。同社のターゲットとする眼病は、ライアイ症候群や単純な目の不快感などである。組織工学と神経調節技術を応用することで、これらの眼病の治療を目的としている。
韓国のスタートアップであるSKIAは、CT・MRIで撮影された病変部を、患者の体に直接かつ正確に投影する技術を開発した。同技術により、まるでSF映画を見ているかのように、身体上の病巣の位置を仮想的に視覚化できる。具体的には、3D深度カメラで患者の体をスキャンすることで、患者の体の3D画像を作成し、そこに投影する。
同技術は、緊急手術や臓器の生検のように血管を避ける必要がある手術で大きな効果を発揮し、手術ミスを減らし、患者に安全な手術環境を提供するものだ。
今後は、同技術をロボット手術やMND、プロジェクターなどの将来の医療機器に応用することも視野に入れている。
韓国の医療スタートアップであるVPIX Medicalは、革新的なスキャン方法により細胞を観察する、新たな手法を提供している。同社は、生物学や医学の研究を向上させることができる研究機器を開発しており、in-vivoイメージングのためのソリューション提供を目標としている。
がんの手術中に使用できる携帯型の顕微鏡の開発も視野に入れており、これにより、腫瘍組織を切断することなく細胞をリアルタイムで可視化することが可能となり、手術時間と患者の回復時間の短縮が期待される。
翻訳元:https://seoulz.com/top-20-korean-biotech-startups-to-know-best-of-2021/
表題画像:Photo by Drew Hays on Unsplash (改変して使用)