チリ発スタートアップが展開する、採用コストを抑える新しいツールとは

人材を採用する際には多くの時間と手間が発生する。チリ発スタートアップである「Get on Board」は、新たなツールを活用して、求職者と企業が互いに効率的にマッチングできるサービスを展開している。
HR 経営者 人材採用

Contextー「LinkedIn」やオンラインプラットフォームのようなツールを利用できるにもかかわらず、採用や簡単な仕事探しのプロセスの多くは、まだ手作業で行われている。企業や求職者のニーズは常に変化しているため、採用担当者はこれまで以上に多くの課題に直面している。

しかし、逆境に直面したとしても、スタートアップには常にチャンスがある。チリ発のスタートアップである「Get on Board」は、人事業界に浸透しつつあるトレンドをContxtoと共有し、同社の製品であるテクノロジーとITの専門家の採用に特化したプラットフォームがどのように役立つのかを説明した。

情報を通じた倫理的なジョブオートメーション

人事部で「自動化」と聞くと、通常最初に思い浮かぶのは、スタッフを採用するためにAIを使った「Amazon」の失敗事例である。しかし採用の手動のプロセスを減らすために「Get on Board」が選んだのは、機械学習だけではない。

新しいプラットフォームというのは、データを収集し、それらを採用担当者や求職者のためにまとまりのある方法で提示するものである。

個人がプラットフォーム上でプロフィールを作成すると、採用担当者が閲覧できるように、登録者の情報が「Get on Board」のデータベースに追加される。同様に、自分の興味に合致する可能性のある仕事が掲載されると、その情報が自分のダッシュボードにも表示される。

関連記事:11 HR startups in Chile lightening the load for companies

ユーザーはプラットフォーム上で異なる企業に応募する際に、何十回も同じフォームに記入する必要がない。「Get on Board」のCEO兼共同創業者であるセルジオ・ヌーベル氏によると、ユーザーはフォームに情報を登録するため、一度だけ情報を記入する必要がある。そして企業の採用担当者が興味を示した場合は、ユーザーに直接連絡をとれる仕組みである。

このプラットフォームでは、企業もユーザーからのフィードバックを受け取れる。そうすることで、なぜ企業に関する悪い評判や良い評判があるのかをよりよく理解し、それに応じて行動できるようになる。

技術に長けた人材の検索

パンデミックであろうとなかろうと、技術的な才能が非常に求められていることは周知の事実である。そして、新型コロナウイルス感染症により世界がデジタルソリューションをより迅速に取り入れるようになったことで、開発者の需要は今後も見込まれている。

しかし、プログラミングには多くの言語やタイプがあるため、それほど単純なものではない。

関連記事:These are the fastest growing jobs in Argentina, Mexico, and Brazil, according to LinkedIn

「Get on Board」が最近、新サービスである「コンシェルジュ」を立ち上げたのは、そういった背景がある。このサービスは、バックエンド、フロントエンド、フルスタック開発者といった特定のプロファイルを迅速に特定することに特化している。これらの役割は企業の間で最も人気のあるポジションである。

「コンシェルジュ」を通じてプログラマーを検索すると、1週間以内に候補者のショートリストを作成できるとNouvel氏は述べている。このようにして、採用サイクルをスピードアップできる点も特徴である。

「Get on Board」のデータベースからプロファイルを取り込み、積極的にフィルタリングするため、ショートリストを迅速に作成できると共同設立者は説明している。すでにプラットフォームには多くの情報が蓄積されており、採用担当者は、あるプラットフォームから別のプラットフォームに映ったり、LinkedInで人々を探す必要もなく、時間を節約できる。

リモートワーク

「Get on Board」は現在、スペイン語圏のラテンアメリカに焦点を当てている。それにもかかわらず、米国のスタートアップ企業からも、ラタム州のリモートテクノロジー人材を探しているとの問い合わせを受けている。

米国とラタム地域のタイムゾーンが一致することを考えると、これらの企業にとっては、より安価な人材プールにアクセスする機会となる。

間違いなく、リモートワークによって物理的なオフィススペースの限界は取り払われている。そのため、世界中のより多くの場所に技術的な才能をもたらすことができる。これは「Get on Board」が米国とブラジルでのプラットフォームの立ち上げを最終的にはあきらめていない理由を説明するのに役立つだろう。

さらに将来的には、ビデオ会議による遠隔インタビューのような追加サービスの展開も視野に入れている。

正しい文化的な適合を判断する

「Get on Board」は文化的に適合するかどうかのテストも近日開始した。これは個人の性格に基づいて、その人のタイプを5つのカテゴリーに分類するものである。

企業にとって求職者が自社のワークカルチャーにマッチするかどうかを見極めることは、ますます重要性を増している。さらに「Get on Board」のCEOは、企業が多様なプロファイルを持つチームを構築することも、同様に重要であると語る。その結果、お互いのバランスが取れ、マネージャーは可能な限り最高のアウトプットを得られる。

例えば、チーム内にハスラータイプの人格者が多いと、生産性は高くなるかもしれない。しかし、「何がなんでも勝つ」という熾烈な文化を築くことにもなりかない。そのため、採用担当者は他のプロファイルとのバランスを考慮する必要がある。

現時点では、このテストは求職者のみが利用できる。しかし「Get on Board」は企業向けに同等のテストも開始する予定である。この機能を通じて、企業は潜在的な従業員に対して、自社の価値観や仕事のやり方をアピールできる。

翻訳元:https://www.contxto.com/en/chile/get-on-board-job-search-features/

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
土橋美沙 / Misa Dobashi
Contents Writer
海外スタートアップの最新トレンドを
ニュースレターでお届け!
* 必須の項目

関連記事