どんなに忙しい起業家であったとしても、一日に使える時間は他の人と同じく24時間である。しかしその限られた時間のなかで、様々な決断を行い、質問に答え、そして頭を悩ませるような計算もしなければならない。これだけ多くのことが起こると、集中力を維持するのは難しい。その結果、生産性も低下してしまう。
起業家として生産性を維持することは、非常に重要なポイントである。そして生産性を維持する際には、3つの質問が役立つだろう。これは、すべての起業家が生産性を最大化するために、毎日自問自答しなければならない質問とも言えるだろう。
どのような起業家にとっても、成長は最も重視する焦点であり、目的であるべきだ。起業家はビジネスの成長ストーリーを描く責任がある。既存の製品ラインを、どうしたらより良い形で顧客に提供できるか。より多くの収益をもたらすために、新しい市場でのプレゼンスを確立するにはどうしたらよいのか。
言い換えれば、起業家の一つ一つの行動は、ビジネスの成長に向けたものでなければならない。そのために必要なのは「優れた意志決定能力」と言えるだろう。
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意志決定の際に使用する6つのステップについて、「Tesla」でCEOを務めるElon Musk氏は下記のように紹介している。
まずは質問から始めること
できるだけ多くの証拠を集めること
公理を展開し、それぞれの確率を考えること
これらの公理は正しいか、関連性があるか、必然的にこの結論につながるか、そしてどのような確率でそうなるかという判断に基づいて、結論を決めること
他者から反論を求めること
誰も自分の結論に反論できなかったとしても、必ずしもあなたが正しいとは限らないこと
少しややこしくも感じる上記のステップだが、基本的な考え方は、複数の視点から思考を張り巡らせ、正しい判断にたどり着くことである。
「General Electric」を成功の頂点に導いた、アメリカで最も有名なCEOの一人であるJack Welch氏は、自身の伝記の中で「今何をすべきか?」という質問を常に自分自身に投げかけていると語っている。
彼は自分自身に質問をする際、まずは5つの最優先事項のリストを作成している。そしてその5つの中から、自分が処理するのに最も適する2〜3つのタスクを選択する。残りの仕事やタスクは、部下や自分以外に適した他のリーダーに任せるという。
ビジネスを成功させるためには、決してビジネスそのものだけでなく、自分の時間をうまく管理する方法も知っておかなければならない。起業家として、ある特定の活動に専念することは難しいだろう。そのため知識や経験をもつ専門家を見つける必要がある。そうすることで、全体の流れが効率化され、時間の節約にもつながるだろう。
これは何も専門家に限ったことではない。細々とした仕事は、委託したほうが効率的である。単語検索サイト「Unscrambled Words」を運営するNeal Taparia氏によると、彼のチームはデータ収集の作業を「Upwork」のようなアウトソーシングプラットフォームに委任して、自身はより重要な作業に集中できるようにしているという。
タスクを他者に依頼することで、起業家自身の時間とエネルギーを将来のビジネス戦略や収益の拡大、そしてリーダーシップの強化といった他の優先事項に充てられるようになる。
前述したように、経営者はすべての活動を自身で行うことは難しい。自分の仕事の一部を他の人に任せたり、タスクの一部を削除したりする必要があるだろう。タスクの削除には、一定のコストがかかる。そこで「何もしないことで発生する機会損失は何か」と、自問自答する必要がある。
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これは言い換えると、最善の道筋を見つけるためには、費用対効果を見極めてメリットとデメリットを分析することが不可欠と言えるということだ。利益が上回る場合、またはデメリットよりもメリットが多い場合は、何を優先すべきかがわかるはずである。
これまでに2つの事業を売却し、最近では脳のトレーニング会社「Solitaired」を設立したシリアルアントレプレナーのDarshan Somashekar氏は、「ノー」と言うことの重要性について語っている。
「起業家であれば、自分のビジネスでワクワクするような機会は無数にあるだろう。しかしいくら有望な機会であったとしても、「ノー」と言わなければならないケースはある。私は何十もの脳トレゲームを作る機会に恵まれたが、その中でも特に厳選されたゲームに集中することで、より正しい結果を得られたと考えている」
金融の世界では、TVM(Time Value of Money)という概念があるが、これは時間にも適用できるはずだ。時間に対して、金銭的価値を割り当てて考える方法である。
Peter Drucker氏は著書「The Effective Executive」でこのように述べている。「時間の供給は融通が効かない。 どんなに需要が大きくても、供給が増えるわけではない。そして時間は完全に滅びるものであり、保存することもできない」。
作り手の生産性は、1日に何個のタスクをこなしたかで測ることができるだろう。しかし起業家の場合は、1日のうちに決めた優先順位とやるべきタスクに大きく左右される。
言うまでもなく、どの起業家も多くのタスクを抱えている。それを掘り下げて、本当に自分の時間を注ぎ、注意に値するものであるかを決める際に、上記で紹介した3つの質問は役に立つはずだ。
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起業家はどのようなタスクに取り組むべきか、そしてそれをどのように進めていくべきか、それをしないと選択した場合にどのような影響が発生するかを、常に考える必要がある。
翻訳元:The 3 questions that will help maximise every entrepreneur’s productivity