中南米のユニコーン企業リスト2020【22社一挙公開】

アントレプレナーシップを育む重要なエコシステムの一つであるLATAM地域。ラテンアメリカで今、何がうまく行っているのかをシェアするためにも、同地域に誕生した2020年のユニコーンを紹介したい。
マーケティング EC 物流 決済 HR

Contxto - ラテンアメリカは、アントレプレナーシップを育む重要なエコシステムとして成長しており、この地域では、スタートアップの資金調達ラウンドに関するニュースも毎日のように聞かれる。そして、新しいユニコーンも日々誕生している。

Contxtoでは、ラテンアメリカで今、何がうまくいっているのかを常に皆さんにも共有したいと思っている。10億ドルの大台を突破したスタートアップを紹介することで、この地域の素晴らしさを伝えることができるのではないだろうか。

2020年のラテンアメリカのユニコーンの全リストを紹介する。

注:下記企業の中には公開企業も含まれている。Investopediaによると、ユニコーンは10億ドル以上の価値がある非公開企業だが、より分かり易い全体像を提供するために、いくつかの公開企業も今回は含めることにした。アスタリスク()付きが対象の企業である。*

1. 99

人気の交通系スタートアップである同社は、2012年にサンパウロでスタートした。ユーザーとタクシー運転手や個人運転手を繋げるサービスを提供している。中国のDidi Chuxingに株式の99%を9億ドルで売却した。

2. Pagseguro*

同じくサンパウロ出身の同スタートアップは2006年に設立された。それ以来Pagseguroは、支払いや購入の自動化、販売、転送に関して、ユーザーと企業の両者のための革新的なソリューションを作り上げてきた。同社は、ニューヨーク証券取引所のIPOで22億7,000万米ドルを調達した

3. Nubank

Nubankは、元々はSolucoes de Pagamentoという社名で、2013年5月にそのサービスをスタートした。2ヶ月足らずで社名を変更し、従来の銀行とその長く続く官僚主義的な体制に真剣に向き合った。このブラジルのスタートアップは、少数株主持分を1億8,000万ドルでTencent Holdingsに売却した後、40億ドルの価値となった

4. Rappi

コロンビア出身の同スタートアップは、ボゴタの街を代表する企業だ。2015年に設立されたこの有名なマーケットプレイスアプリは、あらゆる商品を配達するドライバーとユーザーを繋ぐ。私自身、彼らは”ありとあらゆるもの”を配達してくれると信じている。このスタートアップの最新の資金調達ラウンドは、DST Globalが主導する2億米ドルのシリーズDで、Sequoia Capital、Andreessen Horowitz、Endeavor Catalystが参加した。

5. Ascenty

2010年にサンパウロでスタートして以来、このブラジルのスタートアップはラテンアメリカ最大のデータセンターとなっている。現在、世界各地に17のデータセンターを展開している。Ascentyは、金額を非公開で、2017年6月に最後の投資ラウンドを展開したが、彼らの現在の大株主、Great Hill Partnersが18億米ドルで株式を購入したことは周知されている。

6. Stone

Stone Pagamentosは、2012年にデビットカードとクレジットカードによる決済処理サービスを開始した。11億米ドル相当のIPO後、このブラジルのスタートアップは、推定年間収益500万米ドル到達に成功した。数日前には、7億ドルの資金調達を目指して新規上場を申請している

7. Arco Educação

このブラジルのスタートアップは2018年9月末に株式を公開し、2億2,000万ドル以上を調達した。同プラットフォームでは、学習・成長のための基礎教育プログラムを提供している。Arco Educaçãoのテクノロジーとサービスは4億2,500万人以上の学生に利用されており、ブラジルの私立学校約1,300校にも導入されている。

8. iFood

このフードデリバリーのプラットフォームは、2011年5月にブラジルのサンパウロでサービスを開始した。2018年11月、同社最後の投資ラウンドであるシリーズGにおいて、5億米ドル相当の資金を調達した。総額のうち4億米ドルは、同社へのさらなる投資を目的として、Innova CapitalとNaspersがiFoodの持ち株会社であるMovileに充てたものだ。

9. Gympass

2012年以来、Gympassはパートナー企業の従業員と30,000を超えるフィットネス施設との膨大なネットワークを築いてきた。Crunchbaseによると、現在同社のアプリは、15カ国で毎月14万1,000回以上ダウンロードされているという。

10. Prisma Medios de Pago

同社は「常にイノベーティブであること」をビジョンに、オンライン取引、支払い、送金、POS、オンラインショッピング、請求書発行、資金管理などをより使いやすいサービスとして提供している。Prismaは、創業者の地元であるアルゼンチンのブエノスアイレスで2014年に立ち上げられた。Adventが7億米ドルの資本注入を行った後、2019年にユニコーンとなった際には多くの人が驚いたことだろう。

11. Despegar

Despegarは1999年、ポルトガル語・スペイン語話者をターゲットに、オンラインB2C旅行代理店としてそのサービスを開始した。現在はフロリダ州マイアミに拠点を置いており、ユーザーは旅程のリサーチ、空席状況の確認、航空券の予約などを行うことができる。また、航空会社やレンタカー会社などへのアクセスを含む旅行関連サービスに加えて、ホテルやレンタカーの実際の予約もオンラインで行うことができる。

12.  MercadoLibre

1999年にアルゼンチンでサービスを開始したMercadoLibreは、おそらくラテンアメリカで最も有名なEC・オークションプラットフォームだ。eBayと比較されることも多いこのマーケットプレイスでは、電子機器から自動車、不動産に至るまで、顧客は(実質的に)あらゆる物を売買できる。

13.  Globant

このデジタルネイティブ企業は、パートナーがイノベーション、デザイン、エンジニアリングを取り入れて効果的にスケールアップするのを支援している。2003年以来、14カ国以上に展開し、Google、Southwest航空、EA、BBVAなどの企業と提携している。過去には、ハーバード大学、MIT、スタンフォード大学のビジネスケーススタディとしてGlobantが取り上げられたこともある。

14.  Softtek

モンテレイにあるこのメキシコの企業は、1982年からITソリューションを提供している。Softtekは世界中で活動しており、ビジネスにおける時間短縮のためのソリューションを展開する。既存のアプリケーションのコストを削減し、エンジニアとテストを行い、20カ国のトップ企業が好結果を生み出すための支援を行っている。同社は、多くのパートナー企業との間でITビジネスの価値向上に貢献している。

15. KIO Networks

KIO」はスワヒリ語で「鏡」を意味し、物事の二元性を象徴している。これは、このメキシコのビジネスとその充実したITサービスのポートフォリオを示唆しているのではないだろうか。2002年にサービスを開始し、メキシコ、中米、カリブ海諸国、ヨーロッパの40以上のデータセンターに必要なインフラを提供し、ユーザーが自身に必要なデータを閲覧できるようにしている。

16. OLX

OLXはMercado Libreと同様に、2006年にアルゼンチンでECプラットフォームとしてサービスを開始した。ユーザーは車、家具、衣類、その他多くの便利な商品を購入することができる。同社の棲み分けのポイントとしては、ユーザーがプラットフォーム上で仕事を見つけたり、サービスの広告を出したりできる点が挙げられる。

17. TOTVS

TOTVSは、1983年にブラジルのソフトウェア会社として設立された。同社はソフトウェア開発に特化しており、最近ハードウェア生産部門であるBematechをElginに売却したところだ。

18. Auth0

「個人情報関連で妥協しないこと」が、同社のモットーだ。Auth0は、アルゼンチン発のサイバーセキュリティと認証技術のスタートアップである。セキュリティプロトコルの改善を目指す企業向けに、総合的なB2Bソリューションを提供している。

19. Loggi

Loggiは他の配送アプリと同様に、ブラジルのあらゆる地域からの注文に対して、翌日配達を目指している。これを実現するため、同社はソフトバンクから1億ドルを調達した。

企業がLoggiの「logistics-as-a-service」のプラットフォームを使って配達依頼を出すと、ルートと価格が自動的に計算される。

20. QuintoAndar

ソフトバンクの多大な投資を受けて、ブラジルのプロップテック企業であるQuintoAndarは2019年9月にユニコーンとなった。そのオンラインプラットフォームでは、ユーザーが不動産を購入または売却するためのマーケットプレイスを提供している。不動産流動化のための素晴らしいアイデアとも言われる同プラットフォームでは、ユーザーが契約書を作成できるだけでなく、リスティングを監視し、家主と借主の間を取り持つサポートも提供されている。

21. EBANX

EBANXはブラジルのフィンテック企業で、世界的に有名なブランドにエンドツーエンドでローカライズされた決済手段を提供している。ブラジルなどの有望な地域市場への参入を希望する、国際的な多くの企業と提携している。

同社は顧客に対して、100以上のローカル決済オプションと50以上のラテンアメリカの銀行や決済代行業者を紹介している。EC業者間で人気があり、有名なパートナーとしては、AliExpress、Wish、Gearbest、Pipedrive、Spotify、Airbnbなどが挙げられる。

22. dLocal

ウルグアイからは初めてのユニコーンの誕生であった。General AtlanticとAddionが主導する2億ドルの投資を経て、dLocalは12億ドルの評価額に達した

決済フィンテック企業であるdLocalのサービスは、広い地域をカバーしているだけでなく、「LATAM、APAC、EMEAに跨って生まれた新しいグローバル市場において、大量のオンライン決済を処理するために設計された唯一の決済プラットフォームである」と同社は謳っている。

ラテンアメリカの誇り高きユニコーンたちは、非常に高い水準を誇る。彼らは、イノベーションへの渇望と鋭いビジネス感覚を体現しており、それを見守るのもとても楽しい。彼らは今後もきっと、新しいテクノロジーを生んでくれるだろう。

翻訳元:The Complete List of Latin American Unicorns [Updated 2020]

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
海外スタートアップの最新トレンドを
ニュースレターでお届け!
* 必須の項目

関連記事