TechChill Report vol.1. ラトビア発スタートアップカンファレンス

2020年2月20・21日に、ラトビアの首都リガで開催された「TechChill 2020」。SUNRYSEは同カンファンレンスのオフィシャルパートナーを努め、現地での取材を実施した。
VC/CVC

2020年2月20・21日に、ラトビアの首都リガで開催された「TechChill 2020」。SUNRYSEは同カンファンレンスのオフィシャルパートナーを努め、現地での取材を実施した。

TechChillとは?

TechChill とは、2012年よりラトビアの首都リガで開催されるスタートアップカンファレンスで、北欧やバルト三国を中心として、世界中からスタートアップが参加するカンファレンスである。

TechChill の最大の特徴は、そのコミュニティ志向なカルチャーだ。

TechChill は、リガのコワーキングスペース TechHub から生まれたプロジェクトのひとつであり、「コミュニティによる、コミュニティのためのイベント」を掲げている。

ラトビアは人口200万人の小さな国である。隣国のエストニアが、有名スタートアップの排出や国家機能の電子化などにより、近年急速に成長を遂げていることもあり、ラトビアもスタートアップエコシステムの整備が進められてきた。国策としての科学技術領域への投資や、スタートアップビザの設置などの政策に加え、TechHub Rigaを中心としたオープンで活発なスタートアップコミュニティの存在が大きな役割を担っている。そんなスタートアップコミュニティの祭典が、TechChillなのだ。

TechChill2020のテーマ: Greentech, Blockchain, 5G

今年のTechChillは、「Big Shift」すなわち、我々の生活に大きな変化をもたらす領域に注目することをテーマとしていた。その中でも注目すべき領域として、Greentech (グリーンテック)、Blockchain (ブロックチェーン)、5G を挙げ、各ステージではこれらの領域に関係するコンテンツが展開されていた。

TechChillのCEOである Ernests Štāls は、このテーマ設定について、「TechChill 2020の目的は、次の数年間で私たちの生活にインパクトを与えるであろう技術や領域について議論することだ。」としている。

これらのテーマの中でも最も存在感を放っていたのが、Greentech(グリーンテック)である。

SUNRYSEでは、欧州のテックカンファレンスを数多く取材してきたが、2019年を通してサステイナビリティが共通のテーマの一つであった。背景には、地球規模での気候変動と水不足への危機意識がある。そして、特に欧州においては、これらの課題への解決は、政府や行政の規制や、リサイクルなどの生活者の行動だけではなく、テクノロジーやイノベーションも寄与するべきだとの考えがある。そしてイノベーションにおける主要なプレイヤーであるスタートアップが、環境問題に取り組むためには投資が必要であるため、テックカンファレンスにおいても重要なアジェンダの一つであるのだ。

TechChillでは、環境問題やサステイナビリティに取り組むスタートアップやプロジェクトを Greentech というテーマでまとめ、最大のアジェンダとして取り扱っていた。

スタートアップピッチ : 50 Founders Battle

多くのテックカンファレンスと同様、TechChillでもスタートアップによるピッチコンペティションが行われた。TechChillのピッチコンペティション「50 Founders Battle」は MedTech, GreenTech, FinTech, B2B, and B2Cのテーマごとに準決勝が行われ、各テーマの勝者が、全日程の最後に行われる決勝へ出場した。また、「50 Founders Battle」は PEGASUS TECH VENTURES が主催する、世界最大級のグローバルピッチコンテストである Startup World Cup の予選大会でもあり、勝者はサンフランシスコで開催される世界大会への出場権が得られる。

参加者がディスカッションを繰り広げる Roundtable

TechChillの特徴的なコンテンツの一つが、参加者が自由に参加できるディスカッションのセッション Roundtable (ラウンドデーブル) である。Roundtableは、ステージのスピーカーやパートナー企業がホストとなってアジェンダを設定し、参加者とディスカッションをするオープンなコンテンツで、SUNRYSEもパートナーとしてセッションをホストした。

ネットワーキング

TechChillの参加者は2000人強とコンパクトなカンファレンスで、参加者同士のコミュニケーションを促進する仕掛けが施されていた。会場には多くのミーティングスポットが設置されており、専用アプリから参加者同士でアポイントが取れる仕組みとなっていた。

また、期間中に開催されるサイドイベントやパーティもネットワーキングの絶好の機会だ。

次回から、各ステージのセッションやピッチコンテストレポート、参加者へのインタビューなどをお届けする。

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