【時価200億円】今、ブラジルで最も注目されている3人の起業家が語る

起業したビジネスを継続させ、事業を成功させるためには、どのような視点を持つべきなのだろうか。注目のブラジル起業家3人の事例から、ビジネスの契機や教訓を紹介する。
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Contxto – 自身の仕事に情熱をかけて成長を続ける人々は、周囲にもインスピレーションを与え、多くの人々を動かしてくれる存在である。私たちはすべての物語から何かしらの学びを得ることができる。そしてそれが、成功への近道でもある。

今回はブラジルを代表するスタートアップを率いる3人の創業者のストーリーを紹介する。

1. 南米最大の語学学校を運営する「Wise Up」

「Wise Up」は現在、南米最大の英語学校として成長を遂げている。単に南米最大の規模の学校というだけでなく、創業者であるFlávio Augusto氏は教育市場を良い方向に変えてきた。彼は自身で立ち上げた「Wise Up」を一度売却。そして数年後に再度買収して、現在も企業価値を高めている。

すべてのストーリーは、Flávio氏が巨大な語学学校で営業担当として働いていたことから始まった。セールスとビジネスについてありとあらゆることを学び、営業成績でトップに上り詰めたのである。

しかし数年働いた後、ビジネスモデルがすべて間違っているのではないかと考え始めた。多くの上司は彼の話に耳を全く傾けなかったため、彼は自分でビジネスを始めることにした。オフィスを借りて人を雇う際には、とても高い金利のローンを組んで借金をするリスクを冒したが、目標がはっきりしていたからこそ、それだけ価値ある事業になることだとわかっていたという。

事業をスタートして1年間で学校を黒字化した成績は、スタートアップとしては稀な偉業といえるだろう。彼は営業チームを自ら訓練し、コールドコールの技術をマスターさせ、次々と新たなクライアントを獲得していった。わずか8ヶ月で800人の生徒を獲得し、サンパウロに2校目となる学校を開校。「Wise Up」は創業から2年目を迎えるまでに、3,000人以上の生徒を募集したのである。

~価値を創造し続けることに、意味がある~

その後Flavio氏は目の前の事業をやりきったと考え、家族と共にアメリカに渡り、「 Wise Up」を8億8700万レアル(当時は3億2000万米ドル)で売却した。そしてアメリカのサッカーチームである「オーランド・シティ」を買収したのである。彼は息子のサッカーの練習風景を観察していた時に、サッカーチームの買収案を思いついたという。

Flavio氏によると、アメリカのプロサッカー試合の平均観客数は、サッカー好きで知られるブラジルのプロサッカー試合の平均観客数を上回っていたという。アメリカのプロサッカー市場への参入は、誰もまだ気づいていない潜在的な市場に参入する絶好の機会だったのである。

その後彼はアメリカで慈善活動に力を入れ、教育に再度関心を持ち始めた。そこで2015年に「Wise Up」を再び3億9800万レアル(当時は1億3000万USドル)で買収し、わずか3年後には10億レアル(2億USドル)まで評価額を向上させることに成功した。

彼は常に「新たに価値を創造すること」を徹底していた。製品やアイデアを買ってくれる人たち、従業員、社会のためには、常に価値を創造し続けなくてはいけない。今回のストーリーは、ビジネスを創造する上で重要なポイントを教えてくれている。現状を分析し、価値を提案し、想定できるリスクに基づいて意思決定を行う。利益は二の次なのである。

2. SNSマーケティングの「Boo-Box」

SNSマーケティングを手がける「Boo-Box」の創業者、Marco Gomes氏が成功への道を歩み始めたのは、2007年に遡る。彼は当時20歳で、ブラジルの貧しい地域の出身だった。ドレッドヘアで見た目も幼かった彼の自慢は、自身のプログラミング技術だった。

Marco氏は自身がかいたコードをVC(ベンチャーキャピタル)や投資家に実際に見せ、着実にファンを増やしていった。ブラジルのライドシェア大手の「99」やEコマース大手の「Peixe Urbano」にも投資している「Monashees」は、Marco氏に30万米ドルを出資した。その後Marco氏はサンパウロに移り、新たに会社を立ち上げた。

当初彼は「Boo-Box」がクライアントを取得するには、少なくとも3ヶ月以上の時間がかかるだろうと考えていた。結果として18ヶ月かかったが、7年後には70万人以上のユーザーを抱えるプラットフォームに成長を遂げた。謙虚にキャリアをスタートさせ、夢を追い求め、常に革新的なアイデアを持ち、自分ならできると信じ続けて実行してきた結果である。

その後彼は会社をパートナーに売却し、新しいプロジェクトに着手し始めている。

3.中華料理デリバリーサービスの「China in Box」

Robinson Shiba氏が「China in Box」を立ち上げる以前には、ブラジルでは「ディスクピザ」というピザ屋のデリバリーが唯一のデリバリーサービスを手がけていた。Robinson氏は1986年に渡米した際、中華料理の需要が高いことに気づき、紙の箱に商品を入れて配達するサービスに注目した。

ブラジルに帰国したRobinson氏は試行錯誤しながらビジネスモデルを描き、ゼロからスタートを切った。

最初のビジネスプランの考案から6年後、兄弟や友人たちとトライアンドエラーを重ね、「China in Box」が誕生した。ブラジルで初めてデリバリー専門の中華レストランが誕生したのである。インターネットの黎明期において、フードデリバリーサービスの「iFood」や宅配アプリの「Rappi」もない世界で、彼はデリバリーサービスを実現させたのである。

しかしRobinson氏には乗り越えなければならない壁があった。それは、ブラジルにおけるアジア料理に対する偏見である。そこで彼は、自社の厨房を誰でも見られるような状態に設計した。レストランの内部を見られるようにしておけば、徹底して管理された衛生状態をアピールできると考えたのである。

今日ではブラジルの22州に230以上のフランチャイズ店舗を持ち、メキシコには5つのレストランを展開する「China in Box」。2017年には年間5,700万ドル以上の収益を上げている。

成功事例から得られる教訓

私たちは皆、誰でも成功したいと考えている。しかし、どのように成功するかは別の問題と言えるだろう。

今回のストーリーで紹介した事例から考えられるのは、彼らの成功は長年の準備と絶え間ない学習、そしてトライアンドエラーの賜物であるということである。条件がすべて揃うのを待つのではなく、リスクをとったうえで、まずは始めてみる。自分が今何をすべきかを考え、粘り強い意志を持って行動することが重要である。また自分を過小評価してはいけない。自身の知識や経験から得た信頼を起点に、道を切り開いてみよう。

もしまだ何もわからない状態であれば、まずは周りを観察して学ぶことから始めるべきである。世界はきっと、あなただけが成し遂げられる贈り物を必要としているのだから。

翻訳元:https://www.contxto.com/en/brazil/startup-inspiration-lessons-brazilian-founders/

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
土橋美沙 / Misa Dobashi
Contents Writer
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