Contxto – ソフトバンクはコロナ禍の中でも中南米の観光業界への出資を加速させている。
2020年9月、ソフトバンクグループはインド発の格安ホテル予約&賃貸サービス「Oyo(オヨ)」と共に合弁会社「Oyo Latam」を立ち上げた。(オヨは2012年の創立依頼、アジアや中東、英国などで急速に勢力を拡大している予約サイト&ホテル運営会社であり、日本でも2019年の参入から急成長を見せている。ソフトバンクが大型出資を行ってきたユニコーン企業。)この新会社は、ブラジルやメキシコを中心に1,000軒以上のホテル事業に関係し、ソフトバンク/オヨ両者の取締役会に対しても対応な立場で参加するほどの力の入れようである。
ソフトバンクは、このプロジェクトのために50億ドル(同時点で約5,300億円相当)程の資金を調達したとされるが、正確な額は不明である。
多くの方はこの出来事に疑問を抱くかもしれない。オヨはインド、ソフトバンクは日本、いずれも南米の地元企業ではないからだ。このコロナ禍で最も影響を受けている産業の一つである観光業に、他地域の企業が投資しているのである。
しかし、この出来事は、この地域の観光業界がまだ明るい未来の可能性を持っているということを示唆しているのではないだろうか。パンデミックで消極的な判断をしがちなこの世の中において、この出来事は歓迎すべきニュースであろうだろう。
ソフトバンクはインドのユニコーン企業であるオヨルームズ(Oyo Rooms)の最大の出資者の一人である。この観光・ホスピタリティ系のスタートアップでも、コロナの影響で中国やインド、欧米でのレイオフが実施されたことは話題になったが、さらに中南米でもブラジルオフィスで500人規模の解雇が実施されていた。
さらに、一部ではホテルとの取引でトラブルが生じるなど、この状況で決して成功を続けているとは言えない状況にある。
コロナのパンデミックを受けて、同じくソフトバンクの投資先であるRappiと同様に、オヨは世界全体の業界不況の中で、収益性の改善を最優先課題として多くの時間を費やすことにした。2020年の成長計画は発展よりも乗り切りにシフトしているのだ。
今回の新会社「Oyo Latam」の設立は、今後この地域の観光業界がどのように発展できるかを予測する上で非常に重要な要素となるだろう。
ラテンアメリカ地域で観光・ホスピタリティ業に力を入れているのは、オヨやソフトバンクだけではない。
例えば、2020年、優秀企業に対して4ヶ月間の投資プログラムでグロースを促す「500 Startups LatAm」では、メキシコ発の予約サービス「SeeMexico」が選出された。類似プログラムである「Y Combinator」の2020年サマープログラムには、メキシコのトラベルテック「isibit」とその関連サービスが選ばれた。いずれもシードプログラムによって一定期間の支援をうけてグロースを進めることができる。
さらに言えば、新型コロナウイルスの感染拡大が発生しても、南米の多くのトラベル系企業が独自の資金調達に成功している。
例えば、コロンビアの「Awake Travel」は、より環境に配慮した観光プログラムを提供するために総額50万ドルにもおよぶ資金調達に成功した。また、メキシコ発の予約サービス「Rotamundos」は140万ドルの資金調達に成功している。
観光業界はラテンアメリカでも大打撃を受けている。今が最高のタイミングでないことは確かだが、それでも2~3年後には状況は改善されているだろう。将来を見越して、多くの企業はすでにアクションを起こしているのだ。
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翻訳元:https://contxto.com/en/mexico/softbank-oyo-joint-venture-latin-america/