【速報】Slush2021 イベントレポート:ピッチコンテスト・ファイナリスト発表

SUNRYSEはヘルシンキで開催されているSlush 2021に参加し、現地のピッチやイベントの様子をリアルタイムに近い形で配信している。本記事では、Day1のオープニングセッションの様子とSlush100ファイナリストに選ばれたスタートアップ3社を紹介する。
イベント フィンランド VC/CVC ヘルスケア 食品 SDGs SDGs・ESG 大学発 研究機関 VR/AR 移民 高齢者

Entrepreneurial Renaissance

(起業家精神の復活)

画像提供:Esa-Pekka Mattila, Slush 2021

オープニングショーでは、Slush CEOのMiika Huttunen氏、COOのEerika Savolainen氏、PresidentのMikko Mantyla氏の3名のよるオープニングメッセージからSlush2021の幕が上がった。以下、彼らのメッセージを紹介する。

1999年頃までは、年々進歩を遂げていると考えられる理由がありました。しかし、この20年間を見ていると、その進歩がはっきりとは見えなくなってきました。私たちは、過去と比較してより多くの投資を行っていますが、投資から得られる成果は小さくなってきています。

この20年間で、私たちが望む未来を築くためには、起業が最も効果的であることが証明されました。しかし、スタートアップ企業を十分に活用し、私たちの直面する大きな問題を追求するためには、アントレプレナーシップの仕組みを見直す必要があります。

第一に、人間の異質性を十分に表現した創業者や経営者が会社を設立し、人々が自ら直面する問題を解決していく必要があります。私たちはこれを "Folder reimagine "と呼んでいます。

第二に、変化と進歩の違いを理解する必要があります。変化は避けられませんが、進歩には努力が必要です。変化ではなく 私たちが見たいのは真の進歩なのです。

第三に、未来を築くことです。私たちはこれから先も、スタートアップが並外れたリスクを取るための最初の場所として存在していることを思い出す必要があります。認識を超えて未来を変えることに成功する必要があるのです。

そしてこれが、私たちが「イノベーションの再生」と呼ぶものです。私たちはこれを「Entrepreneurial Renaissance(起業家精神の復活)」とも呼んでいます。これはSlush 2021のテーマです。

今日ここには、何千もの一流企業、科学者、才能、ジャーナリストが集まっています。これが意味するのは、世界を変えるためにお互いに助け合うことのできる人々が今までのSlushよりも高い密度で集結しているということです。

「Entrepreneurial Renaissance(起業家精神の復活)」 、Slush 2021へようこそ。

Day 1

Day1でブースを出展していたスタートアップと、ステージセッションのDemo Showcaseからハードウェア、フード・バイオテックでピッチを行なっていた今注目したいスタートアップを紹介する。

ハードウェア部門

Starship

https://www.starship.xyz/

自動運転のデリバリーロボットを利用した食料品や日用品の配送プラットフォームを提供しているスタートアップ。カスタマーは注文後、ロボットの通る経路と位置情報をスマートフォンで確認できる。ロボットは重さ100ポンド以下で、人や物を避けて歩行者と同じ速度で移動する。

Port 6

https://www.port6.io/

人間工学に基づいたAR/VR体験のためのツールを開発しているスタートアップ。リストバンドに搭載された触覚フィードバックにより、バーチャル空間の仮想オブジェクトをリアルな感触で操作することが可能だ。

フード・バイオテック部門

Saveggy

https://saveggy.com/

野菜を自然由来の液体でコーティングすることで、プラスチックの使用量を抑えながら鮮度を保つことができる技術を開発したスウェーデン発のスタートアップ。コーティングは、ヴィーガン使用でそのまま食べることができるため、ゴミが出ないなどさまざまなメリットがある。今後同社は、フルーツやその他の食品への応用も予定している。

Innoscentia

食品の劣化は微生物の増殖に起因するものであり、増殖と共にVOC(揮発性有機化合物)が濃くなることが知られている。そこで「Innoscentia」は、食品パッケージ内のVOC濃度に応じて変化する食品ラベルを開発した。日付だけではなく、鮮度に応じて色やマークが変化することで、食品の賞味期限をリアルタイムで表示できるシールを提供し、サプライチェーンにおけるフードロス削減を目指す。

ブース

FRESHTECH(ヘルシンキ大学)

食品を新鮮な状態で、腐敗を遅らせながら保存できるシートを開発しているヘルシンキ大学発スタートアップ。ヘキサナールを含んだシートシートは生分解性で環境にも優しい仕様となっている。

Startup Refugee

難民や移民の起業や雇用をサポートするフィンランド発スタートアップ。近年、EUの政策によりフィンランドにも難民や移民が増えているが、まだまだフィンランド国内で彼らに対するサポートが少ないことから、彼らの起業家教育を支援するために「Startup Refugee」が設立された。

Slush100 ファイナリスト発表

Day1のメインセッションとして、Slush100のセミファイナリストに選ばれた20社によるピッチコンテスト「Slush100」が行なわれ、ファイナリストに選ばれた3社が発表された。

参考記事:Slush2021:ピッチコンテスト・セミファイナル出場20社紹介

Helppy

引用: https://www.helppy.fi/

Helppy」は、高齢者介護問題の中でも特に、家族介護の問題に焦点を当てて解決に取り組んでいる。書類作成から、介護、家事、買い出しまで、家族の視点から高齢者介護を再設計し包括的なサポートを提供している。

Hormona

引用: https://www.hormona.io/

Hormona」は独自のテストとアプリにより、全ての女性が知っておくべき重要なホルモンの情報の追跡、洞察、アドバイスをリアルタイムで提供可能なプラットフォーム。

Vitroscope

引用:https://www.vitroscope.no/

Vitroscope」は、生物学者向けの実験支援ツールを開発しているスタートアップ。特許出願中のプラットフォームにより、研究者は、あたかも人間の患者の血流を見るかのように、生きた細胞をライブで観察することができる。このプラットフォームには、細胞の健全な環境を維持するために必要なすべての技術が含まれており、データはクラウドにライブでストリーミングされている。同社のテストユーザーは、従来の生物学実験では観察できなかった4つの新しい創薬ターゲットの可能性をすでに発見している。

次回、Slush100・ファイナルの結果とSlush Day2の結果をお届けする。

執筆者
大石 麗央 / Leo Oishi
researcher
海外スタートアップの最新トレンドを
ニュースレターでお届け!
* 必須の項目

関連記事