産業界に革命をもたらすポータブルガンマ線カメラ

従来よりも小型かつ低価格なポータブルガンマ線カメラの開発が進んでいる。活用方法は、医療業界だけでなく、安全保障でも大きく期待される。
サイバーセキュリティ

ガンマ線は、ガンマ線は、放射性核種が崩壊する際に放出される電磁波である。そして、ガンマ線カメラ(ガンマカメラ)は、核医学や国土安全保障、食品安全など、多くの産業で利用されている。

しかし、従来のガンマ線カメラによる撮影では、全身をスキャンする大型の機械が必要であり、検査室の大半を占めることが多い。さらに、解像度が低く、拡張性も低く、非常に高価だという欠点もあった。

そのため2021年4月現在、多くのスタートアップ企業が、同様の効率性を持ち、それでいて手頃な価格のポータブルガンマ線カメラの開発に力を入れている。

ARALE社は、世界最小・最軽量のポータブルガンマ線カメラを開発した。このガンマ線カメラは、手のひらに収まるほどの大きさだ。この携帯型ガンマ線カメラは、リアルタイムで「ホットスポット」を検出し、局所的かつ視覚的にガンマ線の発生源を特定できる。ガンマ線カメラを大幅に小型化し、携帯可能にすることで、ガンマ線技術は核医学に限らず多くの産業に応用することができるだろう。

医療現場で活躍するポータブルガンマ線カメラ

携帯型ガンマ線カメラの恩恵を最も受けることができるのは、まず何よりも医療業界である。

ガンマ線画像は核医学画像とも呼ばれ、臓器の「見た目」を評価するためのものだ(この文章は翻訳元の記事に準じています)。

そのため、医師が適切な診断を下し、治療計画を立てるのに有効である。また、ガンの早期発見にもよく使われる。

ガンマ線は様々なエネルギーで放出されることがあり、他のx線と同様のエネルギーになることもある。放射性トレーサーは、患者に「注入」され、検査対象となる体の領域全体に行きわたる。これらの放射性トレーサーは、腫瘍や炎症の激しい場所に蓄積される。

蓄積されたトレーサーからのガンマ線を検出することで、その位置を特定できる(この文章は翻訳元記事文章の直訳ではなく、翻訳元記事文章の意図を鑑みて、研究者による意見を元に日本語文章を作成しています)。

ガンマ線カメラは、スマートフォン・タブレット・コンピュータと組み合わせることで、体内で起きていることを視覚的に表現することができる。SPECT(Single Photon Emission Computed Technology)は、患者の体内にある放射性トレーサーから放出される400キロ電子ボルト(keV)以下の低エネルギーガンマ線をガンマ線カメラでとらえ、トレーサーの位置を検出するのだ。

ARALE社が開発したポータブルガンマ線カメラは、SPECTによるより詳細な3D画像を提供するだけでなく、医師が柔軟に対応できるようになっている。ガンマ線カメラ自体は放射線を出さず、放射線検出器で構成されている。SPECTと組み合わせることで、より詳細な3D画像を得ることができるのだ。 これにより、医師は病気を初期段階で発見できる可能性がある。つまり、他の画像検査で見られる前に病気を特定することができるのだ。

このプロセスは非侵襲的で、注射以外の痛みもない。また、特定の癌だけでなく、心臓病や神経疾患、その他の異常も発見することができる。 さらには、患者の体が特定の治療に反応しているかどうかを確認することもできる。

安全保障におけるポータブルガンマ線カメラの用途

テロリストの襲撃は、多くの政府にとって常に懸念される問題だ。テロに対しては、外交が重要な役割を果たすが、常にバックアッププランが必要なことも確かである。 核爆弾やダーティーボムに使われるような放射性物質の多くは、ガンマ線を放出する。

核爆弾は高度な技術を必要とするため、テロリストはあまり使用しない。一方、ダーティーボムは、比較的簡単に作ることができ、小さなバッグに入るほどの大きさになるため、安全保障上、大きな問題となっている。

実際にダーティーボムの衝撃は大きな被害をもたらすのだ(この文章は翻訳元の記事に準じています)。

空港セキュリティでの使用

現在、空港では主に、高出力のX線検査が実施されている。しかし、X線はバッグやスーツケース、コンテナの中にある物体の形を2次元的にしか映し出さない。そのため、密度の高い物体には核の脅威が潜んでいる可能性があり、物理的に開けて検査する必要がある。このような検査には、時間など多くの労力がかかる。

また、実際に爆弾が入っていた場合、非常に危険な状態になってしまうことに変わりはない。

ガンマ線カメラは放射性物質を検知することができるため、核爆弾やダーティーボムを探知することができる(この文章は翻訳元記事文章の直訳ではなく、翻訳元記事文章の意図を鑑みて、研究者による意見を元に日本語文章を作成しています)。

そのため、放射性物質を放出しているものだけをチェックすることができ、空港検査においても時間とコストを削減し、リスクの高いバッグやコンテナに注目することができるのだ。

ポータブルガンマ線カメラは、リアルタイムで放射線データを収集し、スマートフォンやタブレット、コンピューターシステムにワイヤレスで接続することができる。職員はこの検出器を携帯し、空港中を監視することができる。そして検出器がガンマ線を識別した場合、デジタル信号をセキュリティ・コマンド・センターに送ることができる。 ARALE社が開発したポータブルガンマ線カメラは、特定の対象物に焦点を合わせてズームできるスマートズーム放射線モニタリングシステムを備えているため、空港でも導入することができる。 また小型であることから、ドローンに取り付けて大勢の人やコンテナをスキャンすることも可能だ。さらに、このガンマカメラに採用されているフォトンカウンティング技術は、放射線のエネルギーレベルと種類を分析することもできる。

原子力発電所でのポータブルガンマ線カメラ利用

原子力発電所や放射性廃棄物処理施設では、放射線の漏れを発見・特定することが最大の課題となっている。そのため、ポータブルガンマ線カメラは、原子力発電所においても最適と言えるだろう。

検査担当者は、漏れの方向や特徴をすばやく特定し、見つけることができる。また、特定のシールドが有効かどうかを判断するのにも使用可能だ。 従来、汚染を特定するためには、複数のソースから物理的なサンプルを収集する必要があった。

これは、原子力発電所の廃炉作業において最も重要な技術の一つである。 例えば、日本の福島県における除染プロジェクトでは、放射性物質のホットスポットを特定するために、重くてかさばる数種類のガンマカメラが使用されている。ポータブルガンマカメラがよりコンパクトになれば、このプロセスが迅速になるだけでなく、さらに汎用性の高いものになるだろう。

※本記事は翻訳元の記事にのっとって翻訳文章を作成していますが、一部、研究者の助言をもとに、事実に基づいた意訳を採用しています。

翻訳元:https://seoulz.com/portable-gamma-ray-cameras-can-revolutionize-industries/

表題画像:Photo by Ivan Mercado on Unsplash (改変して使用)

記事パートナー
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執筆者
滝口凜太郎 / Rintaro TAKIGUCHI
Researcher&Writer
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