投資を確保するためには、素晴らしいアイデア以上のものが必要である。必要なのは、あなたの熱意やストーリーではなく、投資家が必要とする情報を網羅したロジカルなピッチデッキである。エンジェル投資家としての長年の経験から、私は何百ものプレゼンテーションを見てきた。この経験を基に戦略的なピッチデッキの作り方について説明する。
まず、大前提としてピッチデッキは2種類用意しておくべきである。一つ目は、余白が多く、単語数が比較的少ない「プレゼンテーション用途」。もう一つは、聴講者に振り返って頂くために詳細を加えた「詳細資料用途」。一つのピッチデッキで両方の機能を果たそうと考えてはダメである。「プレゼンテーション用途」と後日聴講者に送付する「詳細資料用途」は分けて作成しよう。
ピッチデッキにコンタクト先を加えることを忘れてはならない。メールアドレス、SNS、電話番号など、あなたと連絡を取るための手段を網羅的に記述しよう。それも最初のページに。ピッチデッキの目的は投資家にコンタクトしてもらうことである。それにも関わらず、コンタクト先を載せずして何を載せるのだろうか。意外にもコンタクト先を記述し忘れているピッチデッキは多い。
ではピッチデッキにはコンタクト先以外にどのような情報を載せるべきなのだろうか。意外にも載せるべき情報の型は決まっていて、しかも情報量は少ない。以下にピッチデッキに載せるべき11個の情報を紹介する。
顧客課題顧客が抱えている課題とその主要な要素は何か?
サービス・プロダクト概要誰に、何を、どのように提供するサービス・プロダクトなのか?なぜ効果があるのか?
主要メンバー紹介メンバーの経歴や専門知識、主要なアドバイザー情報など
市場機会市場規模や成長見込みは?
競合競合他社とその特色、あなたのサービス・プロダクトのどういった要素が競争力を生み出しているのか?
マーケティング戦略どのような手法を使ってマーケティングしていくのか?
開発フェーズサービス・製品開発や事業化のフェーズは?
リスク・課題どのようなリスク・課題があって、それらをどのように管理していくのか?
ファイナンス今後5年間のキャッシュフロー予測や、感度分析に基づく振れ幅は?
Exitオプション可能性の高い売却先やそのカテゴリ、またその根拠は?
資金調達要件どのタイミングでいくら必要になり、どのように使うのか、どのようなマイルストーンを掲げているのか?
これ以上の情報を盛り込もうと思っていはいけない。詳細はQ&Aや以降のデューデリジェンスでカバーすれば良いだけのことである。ピッチデッキを用いたプレゼンテーションでは、要点を絞り、次回のアポを獲得することに集中しよう。もし追加資料を加えたいのであれば、添付に回すだけに留めておこう。
最後にピッチの完成度を高めるためのポイントを解説する。
デッキ中に複雑なアニメーションを入れることは避けるべきである。
土壇場でのデッキ変更を避けるために、前もって聴講者情報を貰っておき、構成を固めておこう。ピッチの場で、資料を修正していると、プロではない第一印象を与え、プレゼンテーションの時間を無駄にしてしまう恐れがある。
製品デモに時間を費やし過ぎ無いこと。写真を数枚入れるだけで良い。
小さなフォントは使わないようにしておこう。
複数のUSBメモリとスライド切り替えのリモコンを持ってくること。
多少細かい内容も含まれているが、上記は意識しておこう。最後に申したいのは、時間を使って練習すること。効果的なピッチデッキと適切な練習時間をつぎ込むことが出来ればピッチの成功確率は高まるだろう。
翻訳元:Pitch deck fundamentals: What you need to include to build an effective one