フィリピンのテック・エコシステムは、政府の支援と投資の増加によりさらに成長する見込み:レポート

2021年の最初の10カ月間にフィリピンのスタートアップ企業が調達した資金は、2017年から2020年までの資金調達額の合計をほぼ上回っている。
VC/CVC フィリピン

東南アジアの国々に比べて遅れをとっていたフィリピンのテックエコシステムが、現地市場への投資の増加と政府からの支援の増加を受けて良い方向に変化し始めていることが、最近の報告書で明らかになった。

Gobi-Core Philippine Startup Ecosystem Report 2021」によると、2021年の最初の10カ月間にフィリピンのスタートアップ企業が調達した資金は、2017年から2020年までの資金調達額の合計をほぼ上回っている。

2021年以前、フィリピンのスタートアップが到達した最高の資金調達ステージはシリーズAだったが、2021年だけでもシリーズBの資金調達が3件、10月にはシリーズCの資金調達が行われたことが報告書で示されている。

「マニラを拠点とするベンチャーキャピタル、Core CapitalとAsian Gobi Partnersが発行したこのレポートは、フィリピンのスタートアップ・エコシステムの成長を、ASEAN諸国との関係においても、また独自のテクノロジー・エコシステムとしても明らかにしている」と、ベンチャーキャピタル各社は述べている。

「現在、フィリピンはテクノロジー・エコシステムにおいて、東南アジアの近隣諸国に遅れをとっている。いくつかの外的・内的な障壁により、他のASEAN諸国に比べて成長が遅れている。しかし、地元市場への投資が増えてきたことで、フィリピンのスタートアップエコシステムは良い方向に変化し始めている」と、両社は月曜日の声明で述べている。

フィリピンの技術エコシステムはまだ始まったばかりで、成長中の技術系スタートアップコミュニティにとって潜在的な市場であると、両社は付け加えている。

報告書の注目すべき点は以下の通りだ

  • 2021年以前、フィリピンのスタートアップ企業が到達した最高の資金調達ステージはシリーズAだったが、2021年だけでもシリーズBが3回、昨年10月にはシリーズCが1回実施された。また、2021年の資金調達額は、年初の10カ月間で、2017年から2020年までの資金調達額の合計をほぼ上回っている

  • Innovative Startup Act、Startup Grant Fund Program、Startup Venture Fund、Startup Research Grant Programなど、フィリピン貿易産業省(DTI)、科学技術省(DOST)、情報通信技術省(DICT)による取り組みを通じて、政府からの支援も増えている

  • フィリピンの電子商取引セクターは、パンデミックをきっかけとしたデジタル化によってもっとも大きな利益を得たセクターであり、パンデミック中の2020年と2021年だけで、合計35社の電子商取引スタートアップ企業(イネーブラを含む)が設立された

  • 電子マネーの口座数は、2020年に94%も急増した。これは、金融機関の閉鎖に伴い、金融取引のデジタル化が必要になったためだ

  • これは、BSPが2023年までに人口の70%を銀行に預けるという目標を達成するために、フィンテック企業が引き続き政策・規制面での支援を期待できることを示している。

  • Gobi-Coreの追跡調査によると、フィリピンのスタートアップ創業者の男女差は1:2で、2015年の1:5から大幅に改善された

フィリピンでは、政府や国内外のベンチャーキャピタル、エンジェル投資家が、法律やファンド、インキュベーションプログラムの設立などを通じて支援を行っている。このような投資の増加は、COVID-19パンデミックの結果、鉄の三角形(物流、電子商取引、フィンテック分野)を強化することで、地元のテクノロジー市場の浮上につながったとVC企業は指摘している。

フィリピンのテクノロジー市場が国のエコシステムに定着したことで、このスタートアップコミュニティが今後どのように進展していくのか、その方向性が明確になったと付け加えている。これにはこの国のテクノプレナーの新しい波、ユニコーンよりもラクダを好む傾向、そしてこの新しい世界でのエンターテイメントや暗号通貨分野の台頭などが含まれる。

このような機会に恵まれたフィリピンのスタートアップエコシステムはまだ始まったばかりだ。フィリピンがテクノロジー分野の重要なプレーヤーとして世界にその地位を占めるための機は熟している、と報告書は付け加えている。

2018年に設立されたCore Capitalは、フィリピン・マニラを拠点とするベンチャーキャピタルで、フィリピンのテクノロジー企業にアーリーステージの資金を提供している。同社は、アジア全域の新興市場やサービスが行き届いていない市場に投資するベンチャーキャピタルであるGobi Partnersと共同運営する「Gobi-Core Philippines Fund」を通じて投資を行い、運用資産は12億ドルにのぼる。


翻訳元:https://technode.global/2021/11/15/philippine-tech-ecosystem-poised-to-grow-further-with-more-investments-gov-support-report/

表題画像:Photo by Sean Yoro on Unsplash (改変して使用)

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執筆者
SUNRYSE / SUNRYSE
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