女性と家族の健康のためのバーチャルクリニック「Maven」は、米国疾病予防管理センター(CDC)が推奨しているにもかかわらず、多くの妊娠中の人がCOVID-19ワクチンの接種を躊躇している理由を明らかにする最新の研究結果を発表した。
今回の調査結果では、10月16日のCDCのデータによると、米国では妊娠中の人のわずか26%がCOVID-19ワクチンの少なくとも1回の接種を受けているだけで、妊娠中の人のワクチン接種率は依然として低いままとなっている。
今回、Maven社が米国の妊娠中の人500人を対象に行った代表的な調査では、妊娠中の人々のワクチン接種率の低さの原因と、ワクチンに関する意思決定にもっとも影響を与える要因を探った。
妊娠中の人の多くは、CDCが妊娠中にワクチンを推奨していることを知らない。妊娠中の人の61%は、CDCが妊娠中、最近妊娠した人、妊娠しようとしている人、将来妊娠する可能性のある人にワクチンを推奨していることを知らない。
妊娠中の人は、医療関係者を含む幅広い情報源から誤った情報を受け取っている。医療従事者の声はもちろん、友人や家族の声も重要であることに変わりはない。妊娠している人の約70%が、少なくとも1つの情報源から、妊娠中にワクチンを接種するのは避けたほうがよいと言われたと答えている。そのうち3分の1近く(29%)は、医療機関が妊娠中にワクチンを受けることを勧めたと答え、53%は家族や友人がワクチンを受けることを勧めたと答えている。
ワクチンを接種していない妊娠中の人の大多数は、妊娠中にワクチンを接種する予定はない。ワクチン未接種の妊娠者の3分の1以上(36%)が、ワクチンを接種する予定はないと答えている。出産後にワクチンを接種する予定があると答えた人も、ほぼ同数(32%)だった。
妊娠中の人がワクチンを接種するかどうかを決める際に考慮するもっとも重要な要素は、赤ちゃんの健康と安全だ。妊娠中の人の約3分の2(61%)が、COVID-19ワクチンを接種した、または接種しなかった主な理由として、子どもの健康を挙げている。ほぼ3分の1(28%)が、ワクチンの効果に関する十分な情報が不足していると感じていた。
Maven社のチーフメディカルオフィサーであるNeel Shah博士は、「COVID-19の予防接種は、自分自身と赤ちゃんを守るためにもっとも重要なことの一つであるというデータがあるにもかかわらず、なぜ妊娠中の人たちが特に接種をためらうのかを理解することが重要だ」と述べている。「ワクチン接種率を向上させるためには、多くの人にとって、真実の情報源は一つではないことを認識する必要がある。妊娠中の人は、幅広い情報源からの信頼できる正確なメッセージを必要としている。また、医療従事者としては、人々の悩みに真摯に耳を傾けることで、彼らの立場に立つ必要がある」と述べている。
Maven社は、産婦人科医と助産師が質問に答え、妊娠中の人にCOVID-19ワクチンの利点を教えるための無料アポイントメントを提供する。ワクチンについて質問のあるほうは、Mavenアプリをダウンロードし、コード「ASKMAVEN」を使って医療機関に相談できる。雇用主や医療保険制度を通じてMavenにアクセスできる女性や家族は、無料で提供者とのアポイントメントを予約でき、自分と同じアイデンティティやバックグラウンドを持つ提供者とつながる機会を得ることができる。提供者の80%は、Mavenのケアマッチングプログラムに参加している。このプログラムは、医師と患者の間の信頼と理解を深め、最終的に健康状態の改善につなげることを目的としている。Maven社のプロバイダーの38%はBIPOC、8%はLGBTQIA+であり、プロバイダーは30以上の異なる言語を話す。
Maven社の創業者兼CEOであるKate Ryder氏は、「専門家のケアにいつでもアクセスできることは、Maven社が築いてきたものの中心であり、今回のような困難な状況にあるメンバーをサポートするために不可欠だ。私たちの願いは、提供者への無料アポイントメントを提供することで、より多くの妊娠中の人が、ワクチンについて十分な情報を得たうえで決断するために必要な、思いやりのある、エビデンスに基づくサポートを受けることができるようになることだ」と述べている。
2020年3月以降、Maven社はパンデミックに対応し、パンデミックがもたらす多くの課題を通して、親と親になる人のニーズに焦点を当てていた。パンデミックの初期には、多くの実在するクリニックが営業を停止したり、過密状態になったりしたため、Maven社のプロバイダーは女性や家族からの需要に応えるために特別なサービスを提供した。
2020年8月、Maven社は経済学者でCOVID-19 School Response Dashboardの作成者であるEmily Oster氏と提携し、パンデミック時に保護者が学校や育児について判断する際に役立つ、エビデンスに基づいた無料のツールを開発した。今年初めにワクチンが入手可能になると、Maven社のプロバイダーは、COVID-19ワクチンと妊娠に関する一連のバーチャルクラスを開催し、家族が最新の臨床ガイダンスについて学び、すべての質問に答えられるようにした。
Maven Clinic Covid-19 Vaccine Decision-Making Surveyは、Wakefield Research社が、2021年10月16日から10月22日の間に、米国在住の妊娠中の人500人を対象とした代表サンプルのオンライン調査によって実施した。
※注:原文中の表記 "pregnant people" を、日本語での読みやすさを考慮して表題は「妊婦」、本文中は「妊娠中の人」と翻訳いたしました。
翻訳元:https://femtechinsider.com/maven-clinic-pregnant-people-covid-vaccine-survey/
表題画像:Photo by Anastasiia Chepinska on Unsplash (改変して使用)