チリで盛り上がりをみせるフードテックとは

中南米最大の植物由来の代替肉メーカーである「NotCo」を中心に、チリではフードテックが盛り上がりを見せている。その歴史やプレーヤーについて解説する。
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Contxto–読者のなかには、私たちがチリ発の卓越したフードテックである「NotCo」のファンであることをすでにご存知な方も多いだろう。しかし、同社がチリで誕生した背景には明確な理由がある。チリのフードテックは複数の点で優位性をもっている。

フードテックは普通の食品会社とは異なる点をぜひ留意してほしい。これらの企業は、何が食べ物を構成しているのかを深く、分子レベルまで掘り下げているスタートアップである。また、想像できないような供給源や見知らぬ場所から食品を生み出すこともある。

これらすべてには、普通の家庭菜園以上の技術などが必要である。フードテック事業を立ち上げるには、科学や技術、投資やビジネスのノウハウが必要である。そしてその意味で、チリは競争に勝つための環境が整っている。

チリには豊富な農業の経験がある。農場や牧場の運営だけでなく、高品質なワインの大量生産、伝統的なマプチェ族やインカ帝国の歴史まで、同国には革新的な農業の伝統もある。

チリでは投資やイノベーション、起業家精神の育成を促進するために、長年の歴史と制度を結びつけている。実際チリの政府機関である「コルフォ(Corfo)」は、これらのフットテックベンチャーともつながっている。

チリのフードテック

全く同じとは言い難いが、バイオテックとアグテックはどちらも同様に伝統的ではない、代替的なバイオプロセスによる食品の製造に関与している。

これらのフードテックの中には、食品製造における効率の最大化を目指すものもあれば、より良い味を求めるものもあれば、より美味しい食品をより健康的なものにしたいと考えるものもある。ビフィズス菌を添加して人々の免疫システムを向上させる自家製アイスクリームを展開する「ビフィディス」が、その好例の一つであるだろう。

もちろんチリには「The Not Company」もある。同社は人工知能(AI)を活用し、植物由来の食材だけで動物性食品の味や食感を再現していることで有名である

しかし、食品をより良くするためにAIを使用しているのは彼らだけではない。「The Live Green Co」にも目を向けてみよう。 彼らは人工的な原料を健康で自然な作物で代用しようとしている。

また「NotCo」だけが植物ベースの肉を展開する唯一の企業ではない。フードテックの「POW! Foods」はビーガンチョリソーを専門に販売し、伝統と革新の融合について語っている。

イーコマース

多くの場合、食品は都市化された中心部から遠く離れた地域で栽培されていることが課題になっている。そのため流通とイーコマースは、食品や農業分野にとって不可欠なものである。

フードテックとロジスティックスは、より健康的な食品にアクセスしたり、自宅に商品を配送したり、レストランの予約までできるマーケットプレイスとして融合しつつある。

さらにフードロスの削減にもつながる動きもみられる。これは「CoFood」が実践しており、グロッサリーが賞味期限が近い食品をプラットフォーム上で公開できるサービスを展開している。アプリのユーザーはそれらの食品を割引価格で購入できる。

しかし、これらのイーコマースのプラットフォームは、高密度の都市農業という新たな現実に適応しなければならないことは間違いない。この新しい形式の栽培を担う役割を期待されているのが、チリの農業のパイオニアである「AgroUrbana」だろう。

翻訳元:https://www.contxto.com/en/market-map/foodtech-chile-2020/

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
土橋美沙 / Misa Dobashi
Contents Writer
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