AIは農業から大規模製造まで、幅広い分野にまたがり活用されている。深い技術と最先端の研究の時代における、予測に伴い大量のデータに依存するシステムにおいてはAIが標準的な存在でさえあるかもしれない。
しかし皮肉なことに、AIシステムを活用した成功というのは、「異なるソースをまたいで現実世界からデータを収集する必要」の存在によって未だに大きく制限されている。マーケティングにおいて、最大の情報源の一つは、オフラインデータなのだ。
オフラインデータは、簡単に言えばオフラインソースから収集された、データドリブンマーケティングに使用されるデータのことだ。これには第三者の調査会社から街頭調査、訪問、電話で収集したあらゆる種類のオフラインデータが含まれる。
オフラインデータの例としては連絡先情報や客数、購入履歴、ポイントカードデータ、人口統計などが挙げられるだろう。
実店舗販売に焦点を当てている中小企業の場合、マーケティング用のオフラインデータを集める実用的な方法はない。さらに、企業がオフラインデータを集めるためにアウトソーシングを行える予算があるとしても、それらの収集には時間と労力が必要となる。
多くの中小企業のオーナーは、市場調査に莫大な金額を費やす代わりに、自社のノウハウと大まかな推測に頼り、マーケティングキャンペーンを設計することを選ぶのだ。
データドリブンのマーケティングと分析を行うスタートアップであるAimazingは、企業がこの問題を解決するサポートを行うと決意している。AIがオフラインマーケティングでどのような役割を果たしているかを理解するために、シリアルアントレプレナーで「Aimazing」の創設者である「Jun Ting氏」に話を聞いた。
以下のインタビューの抜粋を読むと、Aimazingがオフライン市場を再びAmazingにする方法の理解も深まるだろう。
以下、インタビュー。
シンプルなプラグアンドプレイPOS製品を通じ、企業が顧客とかかわり、獲得することをサポートします。F&Bまたは小規模小売企業は、当社のソリューションを使用して顧客を識別し、それに合わせ対応することでユーザーのリターン率を上げることができます。これは長い間、小売顧客エンゲージメントにおける盲点でした。
当社の製品はPOSデバイスに統合せずに、オフラインの取引データをデジタル化するものです。これにより市場調査会社のデータ収集効率も大幅に上昇します。通常、企業がオフラインキャンペーンを行う場合、オフラインの取引からこれらキャンペーンの影響を測ることは困難です。
Aimazingでは販売者がオフラインデータを簡単に確認できるよう、リアルタイムの分析ダッシュボードを提供することで、この知識のギャップを埋めるように努めています。
パンデミック前は、ほとんどのクライアントはデータ分析による利益向上にのみ興味を抱いていいました。しかしCOVID-19により、私たちのクライアントは優先順位の並べ替えを余儀なくされました。数ヶ月にわたって実施されたロックダウンにより、彼らは実店舗での客足維持に苦労したと言います。
私たちは彼らの問題を解決する最善の方法を知るべく、クライアントと市場調査を行いました。そしてそれらの多くはFave、Grab、Shopback等のシンガポール最大の小売プラットフォームですでに実施されていることがすぐに明らかになりました。
しかし、クライアントがこれらの巨大デジタルプラットフォームで行っていたキャンペーンは、クライアントに自らの顧客べースを十分に把握させることができていませんでした。それは、これらのプラットフォームでは販売者が毎日の顧客数を確認できる一方で、重要な顧客情報はデジタルくうかにしまわれたまま、販売者がそれにアクセスできなかったからです。
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そのため、個々の販売者が自社のマーケティングキャンペーンを行うために第三者のマーケティング代理店に依頼した場合、これらの企業が提供できる「顧客データ」は具体的なデータではなく、その企業のノウハウや経験にもとづいたものとなります。これではクライアントが抱える問題を解決できないため、この現状自体を変えなければなりませんでした。
したがって5月からできるだけ早くMVPの開発に着手し、1か月後の2020年6月には正式にサービスを開始しました。
同サービスは問題解決のために構築されており、クライアントにとってうまく機能する重要な機能を備えています。その一つはFacebookと統合した自動メッセージングプラットフォームです。例えば、顧客が30日以上店に訪れていない場合、システムは簡単なリマインダーの送信を行います。
このようにして、クライアントは顧客とのシームレスなオンラインコミュニケーションを行いながら独自のキャッシュバックイベントを同時に行うことができます。さらに、Aimazing独自のAIアルゴリズムはオンラインで収集されたデータを利用し、のちに行うマーケティングキャンペーンの対象をクラス分けします。
私たちのデータは、実際の顧客をターゲットにし、推定ではない確実な顧客情報を提供するのです。
AIを活用する最大のメリットは、運用コストの大幅な削減です。当社独自のAIはクライアントのバックエンドタスクをすべて処理する、静かなエキスパートのようなものです。当社のAIは収集した膨大なデータを分析し、Aimazingチームに実用的なインサイトを提供、それを受けAimazingチームはクライアントに対し明確なアドバイスを提供します。
同サービスは当社のAIが各顧客の支出パターンを分析することで実現されています。Aimazingはすべての段階において、クライアントの優先順位に合わせて作業を行い、クライアントの最高の結果を実現します。小規模なF&Bや小売店の場合は、カスタマイズしたバスケットアナリティクスを構築する場合もあります。
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私たちは、大規模なマーケティングチームを持たない小規模店舗に対し、適切なマーケティングデータやツールを提供する能力を効果的にスケーリングする方法として、AIを活用しているのです。
それは興味深い考えですね。私はそのように考えたことはありませんが、Aimazingでは消費者のプライバシーを損なうことのない、効果的なマーケティングツールを構築したいと考えています。
まず第一に、私たちの主な目標は顧客が忘れてしまった可能性のある、未使用のクレジットを「思い出させる」ことです。そのうえで顧客が思い出さないことを選択した場合は、ペナルティを課すことなく簡単に辞退することができるようになっています。
第二に、Aimazingと当社の加盟店はFacebookメッセンジャーを通して個人情報を取得することはできません。お客様のデータはPSID(Page Scoped-ID)のみで、お客様がFacebookのページに訪れるたびに、固有の識別番号に変換されます。したがって私たちが知っているのは、お客様の支出パターンのみとなります。
お客様の名前、住所、メールアドレス、携帯電話番号、その他の個人情報はFacebookのプロフィールなどで公開されていたとしても、私たちは知りえません。お客様のデータを保存したり探したりすることがないため、他の侵入型の製品と比べ、消費者にとって安全なものとなります。
まとめると、Aimazingのソリューションは割引クーポンの存在を忘れた可能性のある顧客に対し、加盟店が手を差し伸べることをサポートするのに焦点を置いています。
この場面でAimazingが必要とされるため、加盟店とその顧客の両方がメリットを得れるようサポートを行います。簡単に言えば、個人的なアジェンダを持たないリマインダーサービスのように考えてください。
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これは非常に難しい質問ですね。
現在のオンラインマーケティングは、既に在庫管理単位レベルのデータ分析に達しています。つまりLazadaで検索を行うと、FacebookやGoogle、Instagram等のデジタルプラットドーム上で関連性のある商品が表示される、ということです。
しかしオフラインで買い物をする場合は、さっきのようなパーソナライズされたスペースを構築できません。これは不完全なデータと、プラットフォームやシステムに依存しないサービスに制約されているためです。ソーシャルメディアや検索エンジン行っていたことと同じように、オフライン空間においてはAimazingが小売業者と顧客の架け橋となる機会を提供しています。
私は小売業はすぐ復活すると信じていますが、それには顧客に対し効果的なマーケティングを行えるよいソリューションが必要です。
わたしの夢はオフラインでの広告を加盟店にとって簡単に、そしてそれぞれの顧客が望むものに関連性のあるものにすることです。
そして、Aimazingが近い将来、B2Cのマーケティングを再定義すると確信しています。
翻訳元:Making offline marketing cool again: How this AI startup is changing the future of B2C advertising