韓国のゲーム業界におけるスタートアップは、アイトラッキング技術を研究する必要がある。
アイトラッキング技術とは、目の動きや位置を記録することでゲーマーの視線を追跡する技術で、光を瞳孔に当てて角膜に反射させることで追跡を実現させる。 この技術はVRヘッドセットで使用することができ、「League of Legend」や「Starcraft」のようなテンポの速いゲームをプレイしているときに、どこを見ているかを検出するのに最適な技術である。
将来のVRゲームでは、可能な限り没入感のあるゲームを作るために、アイトラッキング技術が取り入れられるであろう。
今後VRゲームが本格的に普及するタイミングは誰にもわからない。しかし数年のうちにVRがゲーム分野の主流になるかどうかについては、もはや「もしも」の話ではなく、我々はそれが「いつ」であるかを軸に考えた方がいいだろう。
韓国は、モバイルおよびコンピュータゲーム企業にとってもかなり重要な市場だ。
同国は世界で4番目に大きなゲーム市場を持っており、さらに「ゲーマー」の普及率に関しては、56%という数字で世界1位の座にある。 モバイルゲームは、韓国の人口の53%以上がプレイしており、この数字は、韓国のモバイルゲーム市場がいかに強いかを示しているだろう。 そして韓国のゲームに対する情熱は、他の国にはないレベルのものだと言える。
だからこそVRゲームを最初に受け入れられる市場があるとすれば、それは韓国だろう。韓国には、すでにソウルのあちこちにVRゲームセンターやカフェがあり、「COEX」や「ロッテワールドモール」「ロットワールド」に一歩足を踏み入れると、どこに行ってもVCセンターがある。
さらに、韓国のP.C.ルーム(韓国版インターネットカフェ)には、最新のゲームを何時間もプレイするアクティブな若いゲーマーたちが集まっている。 また、韓国にはeスポーツのコミュニティをサポートするeスポーツ団体が数多く存在する。ゲーム業界では、VRゲームがeスポーツ業界に革命をもたらすとの見方が広がっており、ゲームに関して言えば、韓国はアイトラッキングなどの最新の革新的な技術を試すのに最適な市場と言えるだろう。
技術の進歩に伴い、ゲームパッド、キーボード、マウス、コントローラーは時代遅れになる可能性がある。 アイトラッキング技術は、2022年までにゲーム業界に革命を起こす可能性のある新しい技術だ。
アイトラッキング技術には、ユーザーが何を見ているか、さまざまな刺激に対して目がどのように反応するかを計測する技術が含まれる。 目の動きに関するデータを用いることで、ゲームの開発者は人間の行動や視覚的注意について、貴重な洞察を得ることができる。アイトラッキング技術を使えば、ユーザーが何を見ているのかコンピューターが把握し、リアルタイムに反応することができるのだ。
これにより、真に没入感のあるゲーム体験への道が開かれると言える。
この技術を使えば、コントローラーのボタンを押す代わりに、アイテムを「見る」ことでそれを使うことができるようになる。そのため、コンピュータはユーザーがどこを見ているか分析することで、アイテムを識別しなければならない。また、アイトラッキングは、銃のようにユニットを狙ったり、キャラクターがある場所から別の場所に移動したり、視点を変えたりするのにも使えるように開発されている。
アイトラッキング技術では、目の位置や動き(角膜反射)に着目し、赤外線によく似た光を使ってユーザーの瞳孔を追跡する。眼の角膜上に反射が生じ、その反射をアイトラッキングカメラが追跡するのだ。 赤外線に近い光は目には映らないことから、ユーザーが気を取られることもない。 この技術はゲームにも使われ、おそらく韓国のeスポーツ業界にもいずれ導入されるだろう。
アイトラッキング技術によって、ユーザーは様々な選択肢を得ることができる。目で見ただけで、武器の選択や照準を合わせることができるようになり、顔を使ってゲームにログインすることもできるようになる。
韓国でも5Gの拡大により、ゲームはより動きの速いものになるだろう。 また、目は手や指よりもはるかに速いスピードで動くことができるので、未来のゲームは非常に速いペースで進むことになるだろう。 アイトラッカーを使ったゲームは、VRゲーム拡大の第一歩だと考えるべきだ。
そして何よりも素晴らしいのは、すでに世に出ているゲームの大部分が、アイトラッキングを実装できることである。 この技術を採用する開発者が増えれば増えるほど、ゲームプレイに関してできることは増えていくはずだ。最も可能性の高いシナリオは、まずVRヘッドセットにアイトラッキング技術が実装され、アップグレードアイテムとして見られることだ。よって韓国でアイトラッキングが本格的に普及するためには、キラーアプリケーションが必要になる。
また、韓国のゲーム開発者は、目の「焦点」を利用することで、最高品質のグラフィックを提供することができるようになるだろう。人がある空間を見たときに、その周りの空間がぼやけてしまうという特性を利用するのだ。 脳は、最高にクリアな画像を提供するため、焦点を絞っている。画像の一部(自分の中心)だけを詳細にレンダリングすることにより、4K解像度のVRゲームが実現する可能性もある。
アイトラッキング技術を搭載したこのVRヘッドセットを、全国のPCバンが提供し始めるのは時間の問題と言っていいだろう。特にFPSゲーム「PUB-G」などには最適かもしれない。
プロゲーマーが自分のパフォーマンスを測定し、何が間違っているかをリアルタイムで確認できるアイトラッキングシステムが登場している。韓国のプロゲーマーたちは、すでにアイトラッキング技術を使ってスキルアップを図っているのだ。
「League of Legend」や「Starcraft」そしてオーバーウォッチなどの、ゲームで優れたeスポーツプレイヤーになるためには、正しい情報を探し、適切なタイミングで適切な動きをする必要がある。アイトラッキング技術を使えば、プロゲーマーは、ゲーマーが実際に見ていたものに基づいて、より幅広い分析ができるようになる。
例えば、攻撃を受けたことにすぐに気づいたか?ミニマップをどのくらいの頻度で見ていたか?どのくらいの頻度で反撃のためのスキャンをしていたのか?などの分析だ。
より多くのゲーム会社がAPIを公開し、アイトラッキング技術を使用するスタートアップ企業に提供することで、多くのゲーマーがアイトラッキングによるパフォーマンス向上のメリットに触れることになるだろう。
ゲームがバーチャルリアリティに移行し始めると、将来的に殆どのVRゲームにアイトラッキング技術が搭載されることになるだろう。 だからこそ、韓国のゲーム業界におけるスタートアップ企業は、アイトラッキングの研究開発に注力する必要がある。また韓国の大手ゲーム会社もそれぞれVRゲーム部門を持つべきだ。 これが未来のゲームコントロールなのだ。 しかし、逆にVRゲームが主流になるまでは、アイトラッキングは普及しないと言える。そして、本当の問題はそれがいつ実現するかということだ。
韓国のゲーム関連のスタートアップ企業は、数年後、実際に起こる可能性のある「ゲーム革命」に参加するため、先手を打って次の戦略を考えるのが賢明だろう。
翻訳元:https://seoulz.com/korean-gaming-startups-and-eye-tracking-technologies/
表題画像:Photo by ian dooley on Unsplash (改変して使用)