新しいwork-from-home文化は従業員にとってストレスフルなものになっていないか?

リーダーがwork-from-homeスタイルに上手く対処し、パンデミックの中でも高い精神力を維持するための5つの方法を紹介する。
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今回は、リーダーがWFHに上手く対処し、パンデミックの中でも高い精神力を維持するための5つの方法を紹介する。

世界中の企業や従業員が新しい働き方に適応していく中で、新しいタイプのストレスが発生している。孤立感、同僚との距離感、ルーティンの欠如、子供にToDoを与え続けること、そして私生活と仕事の境界線が曖昧になり「スイッチオフ」ができないことなどが挙げられる。

在宅勤務は新しい試みとして開始されたかもしれないが、同時に、新しい課題も沢山生んでいる。多くの従業員が在宅勤務に移行する準備ができていないからだ。リーダーとして、社員・チームメンバーに確実性、結束、そしてルーティーンを与える新しい方法を模索することが重要になってくる。今、このように外の世界が混沌としている時は特に。

ハードワークを誇りに思い、オフィスでの12時間労働に慣れているシンガポール人にとって、このような不確実な時期は、個人の健康や会社の生産性が損なわれるリスクがさらに高くなる。

シンガポールで働く人々の92%がすでにストレスを感じていると報告しているとの事実(2019年のCigna 360ウェルビーイング調査による)と合わせれば、新しい在宅勤務環境は従業員が感じるプレッシャーをさらに増大させる巨大な嵐となる可能性がある。

ここでは、このような厳しい時代にパフォーマンスを維持しながら、従業員の燃え尽き症候群の可能性を減らすために、ビジネスリーダーが実践できる5つの簡単な変化を紹介する。

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ミニ休憩を奨励する

机から5分でも離れることは、リラックスして集中力を高めるのに役立つ。デンマークにおいて、テストを受ける前に短い休憩時間が与えられた学生とリラックスする時間を与えられなかった学生とでは、大きな得点差が見られた。

従業員には、デスクから離れて、オフィスでするようにキッチンでコーヒーや軽食を作ったり、ベランダや庭で小休止したりするように促すと良いだろう。重要なことは、デスクから離れてきちんとしたランチを食べるよう奨励することだ。

ワークライフバランスに合わせたアプローチを提供する

Cignaの調査では、シンガポールの女性は男性よりも高いストレスを感じていると報告されている。報告書によると、女性は「家族を第一に考え、自分自身のことは後回しにする」ことがわかっている。また一方で59%の女性が、職場のウェルネスプログラムが男女それぞれのニーズにもっと上手く対応する必要があると感じている。

不確実性の高いこの時期には、ワークとライフの両方の責任感が高まる可能性がある。このような状況に対処するためには、従業員がワークとライフの両立をどのようにしているかについて、オープンに話し合える場を設けると良いだろう。古い格言にもあるように、問題の共有は問題の半減につながる。

また、従業員に時間のバランスを整えるために何ができるかを実際に尋ねてみるのも良いだろう。そうすることで、1人の価値観やライフスタイルに合わせた仕事のアプローチを押し付けることなく、個々人の家庭と仕事の状況に合わせて、優先順位とタスクを調整することができる。

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時間ではなく成果を測る

ストレスの多い職場文化の中で私たちが陥りやすい渦の一つに、プレゼンティズムがある。これは、早出したり、夜遅くまで働いたりすることで勤勉であるように見せるという一種のプレッシャーである。現在の仕事環境では、このプレゼンティズムがさまざまな形で現れるが、リーダーとしては、パフォーマンスをより広い定義で見ることが重要である。

個人の貢献度と全体的なパフォーマンスの指標として、従業員のフィードバック、目標達成、スキルの向上を含む様々なアプローチを考慮する必要がある。例えばCulture Ampのプラットフォームは、企業が組織全体で従業員やチームのパフォーマンスを総合的に評価し、推進できるよう意図的に設計されている。

成果を上げるためには、従業員のフィードバックが取り入れられるべきだ。また、職場の文化や個人のパフォーマンスを向上させるために、リーダーやマネージャー、そして従業員たちに、何が本当の意味でモチベーションを向上させるのかという科学的なデータに基づいた実行可能なインサイトを提供することも重要になってくる。

従業員のストレスを軽減しながらハイパフォーマンスな文化を構築するために、表面的な残業や時間稼ぎは無視し、会社とその目標に対する従業員全体の貢献度に基づいた成果の測定をすべきである。

メールや電話の時間を制限し、自ら模範となる

勤務時間外にメールに返信しなければならないというプレッシャーは、「常にオン」の文化の大きな要因となっている。シンガポールには多くのグローバル企業が進出しているため、勤務時間外や週末にも時差のある同僚とのやり取りに対応できるようにしなければならないという期待がさらに高い。

ありがたいことにこの問題に関しては、ほんのちょっとの”境界線”を設定するだけで大きな変化が生まれる。ミーティングを予約する際には、会社全体で時間帯に配慮した対応をすべきだ。理想としては、参加者全員がすでに出勤している時間帯に「スイートスポット」を見つけること。それが不可能な場合にも、時間外の電話は交互にかけて負荷を分担する方針を導入すると良いだろう。

同様に、「スクリーンフリー」や「Eメールフリー」の基準時間を設定し、従業員にスイッチオフの時間を与えるべきだ。これを効果的に行うには、自らが手本となる必要がある。ビジネスリーダーが仕事以外の時間に携帯電話をチェックしたり、リクエストをしたりするのをやめれば、従業員はそれに従うよう促されていると感じるだろう。

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ミーティングを短時間に制限し、日にちを区切る

終わりのない会議は時間管理に大きな混乱をもたらし、実際の仕事を終わらせるために残業をする必要がでてきてしまう。今日の環境において、従業員は会議での燃え尽きのリスクがさらに高くなっている。多くの会議が非効率的で、時には不要なものであるという意見に異論を唱える人はほとんどいないだろう。

ミーティングの時間を制限し、社員の集中力を保つようにする。また、2週間に一度ほど、誰も会議やイベントの予定を立ててはいけない日を「ブロックアウト」とし、従業員にキャッチアップの時間を与えることも検討してみてはどうだろうか。現在の環境でこれを行うことで、士気を高め、仕事のストレスを軽減することができる。

世界的なパンデミックの中で、従業員をサポートするための完璧なルールブックは存在しない。私たちは皆、新しい生き方と働き方を日々学んでいかなければならない。しかし、仕事のストレスを減らすために、組織を大きく変える必要もまた無い。

従業員の仕事と家庭の両立を可能にし、エンゲージメントとパフォーマンスの真の原動力を測定し、「スイッチオフ」の模範を示し、個々人に合わせた小さな変化を起こすことで、結果として大きな違いを生み出すことができる。

翻訳元: "Is your new work-from-home culture stressing your employees?"

https://e27.co/is-your-new-work-from-home-culture-stressing-your-employees-20200429/

記事パートナー
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執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
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