重要な消費者グループを知る:中国のオンライン高齢者

50歳以上の人口や出生率の低下などを考慮すると、企業は今後数十年間、シルバー世代のニーズに細心の注意を払うことが重要だ。
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中国の社会は急速に高齢化が進んでいる。2021年5月に発表された最新の国勢調査データによると、中国では2億6,402万人が60歳以上の高齢者である。これは人口の18.7%にあたる。65歳以上の人口は1億9,064万人で、人口の13.5%を占めている。また同国の平均寿命も伸びている。

50歳以上の人口や出生率の低下などを考慮すると、企業は今後数十年間、シルバー世代のニーズに細心の注意を払うことが重要だ。彼らは貯蓄があり、自分たち、子供たち、孫たちの生活水準を向上させたいと考えており消費チャネルもデジタル化が進んでいるのだ。

クレジットカードやインターネットバンキングを持たずに育った人たちも今では携帯電話で決済や請求書の支払い、タクシーの呼び出し、買い物、不動産の購入などを日常的に行っている。

デジタルリテラシー計画

中国ネットワーク情報センターによると、2020年6月時点で、インターネットユーザーのうち60歳以上はわずか10.3%だった。中国では60歳以上の60%以上がインターネットを利用していないが、調査によると、ショッピング、エンターテインメント、社交、医療サービスの利用、家族とのつながりなど、デジタルサービスに強い関心を持っていることが分かっている。より多くの高齢者がインターネットを利用できるように中国政府はウェブサイトやアプリに対して、フォントを大きくしたりポップアップ広告を削除したりするなど、高齢者に優しいデザインに変更するよう要請している。

デジタルシルバー世代の注目度

中国のシルバー世代はハイテクを理解できない伝統的なおばあちゃんやおじいちゃんと思われがちだが、インターネットを利用している人たちは中国で最も熱心なユーザーの一人だ。60代以上の3,669万人は高校以上の教育を受けており、すでに携帯電話に大きく依存し、1日に少なくとも5回はモバイルアプリを使用している人もいる。高齢者のインターネットユーザーは、午前5時〜7時に携帯電話でアプリの使用やネットサーフィンを開始する。流入は午前9時にピークを迎え、その後減少している。またQutoutiaoによると、60歳以上の1日の平均利用時間は64.8分で、40歳以上のユーザーより16.2分長く、短い動画プラットフォームにこだわる傾向があるとのことだ。

シルバー世代のネットセレブ

ネットで有名な年配のインフルエンサーやワンホンが増え、商業活動やマーケティングに力を入れるようになった。

Questmobileの調査によると、46歳以上のインフルエンサー(中国では通常キー・オピニオン・リーダー、KOLと呼ばれる)の割合は、Douyinで11.4%、Kuaishouで10.2%、Weiboで9.1%、そしてXiaohongshuで8.4%であることが示されている。

一例として、TikTok、Douyin、Instagramでkangye1937と名乗るGrandpa Kangがいる。彼はDouyin(国内版アプリ)やTikTok(国際版アプリ)で、ファッションセンスや高齢者が大都会での生活を楽しむ様子を見せ大人気となった。

シルバー世代のワンホンもライブストリーミングをしている。「I am Grandma Tian」はDouyinで3,337万人のファンを獲得し、2021年5月の生放送デビューで150万元の売り上げを達成した。主にお菓子と飲み物を販売している。

もう一つの例として、スキンケア製品に特化した年配の人気インフルエンサー 「Grandma Wang」は、「ハイヒールしか履かない」と言う。彼女は1回の生放送で530万元の売上を達成した。

COVID-19の買い物への影響

COVID-19により、高齢者は新鮮な食料品を買うための新しい方法を見つけた。Deloitteによると、2020年の旧正月に生鮮食料品アプリの新規利用者の25.4%が41歳以上だったそうだ。生鮮食料品の買い物アプリ「MissFresh(美麗遊仙)」では、40歳以上のユーザーが237%増加し、調査したこれらの高齢ユーザーの90%が、子どもの助けを借りてモバイルで食料品の買い物をしていることが分かった。

これにより高齢者層の一部でネットショッピングの習慣化が加速した。CBNDataとAge Clubによると、ライブEコマースで買い物をする50代以上の数は年々増加しており、6,000万人以上の中高年がライブ配信中に買い物をしているとのことだ。淘宝網(タオバオ)では、ユーザーの24%が1970年代以前生まれで、中高年市場を対象とした淘宝直播(タオバオライブ)は毎日約1,000回行われている。

高齢のユーザーは、主に低価格やお買い得品に魅力を感じているとのことだ。中高年の18%は、ライブ放送でお得な情報が得られないと損をした気分になると答えている。そのため、彼らはライブストリーム中に参加したり、子供とリンクを共有したりする傾向がある。

高齢者向けデジタル製品・サービス

COVID-19以前から、中国は高齢者向けサービスでのテクノロジー利用を増やしている。例えば顔認証アプリのlaolai.comは、政府が高齢者の身元確認や社会保障費の支払いに利用されている。またLaolaiはWeChatの公式アカウントを持ち、高齢者がデジタルサービスに関する重要な情報を入手できるようにしている。

またWeChatは数年前、技術大手企業が高齢の家族を助けるために家族アカウントを使用することをユーザーに奨励し、高齢者にアプリの使い方やオンラインショッピングの方法を教えるコースを手配した際にも、役立つ機能を導入した。Oba(訳注:「お父さん」)と呼ばれるもののように、こうした種類のサービスを組み合わせた特別なアプリもある。

シニアのニーズへの対応も義務付けられている。2021年2月、運輸省はDidi、Didaなどの大手ライドヘイリング企業に対し、ワンクリックでタクシーを呼べるようにアプリをアップグレードするよう命じた。

今後数年間で、中国のデジタル空間が高齢者のニーズや関心に合わせてどのように変化し、マーケターが高齢者のオンライン生活にどのように注意を払うかを見ていくことになる。彼らは非常に強い購買力を持っているので、ブランドはおじいちゃん、おばあちゃんに追いつく必要があるのだ。


翻訳元:https://technode.com/2021/07/02/insider-getting-to-know-an-important-consumer-group-chinas-online-elderly/

表題画像:Photo by Dragon Pan on Unsplash (改変して使用)

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執筆者
SUNRYSE / SUNRYSE
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