日本人は花粉症やアレルギー持ち、風邪をひいた人、もしくは風邪をうつされたくない人は公共の場でマスクを着用する習慣があり、マスクをしない人でも、マスク着用者との共存に疑問を抱かない。
COVID-19パンデミックの初期、世界の特定の地域で、公共の場でマスクを着用することが珍しいとされていた。しかしそんな時代はとっくに過ぎ去った。
イスラエルの人々は、保健省によって出された強制力のある指令の一部として、2020年4月から公共の場でフェイスカバーを着用することを求められている。そして、政府は2020年10月、フェイスマスクを着用することの重要性をさらに伝えるための公開キャンペーンを強化し始めた。
イスラエルでは多くの人が使い捨てマスクを選んでいるが、よりスタイリッシュなものや、プロフェッショナル仕様の機能的なものを選んでいる人もいる。
世界の他の地域と同様に、イスラエルのデザイナーや起業家たちは新たなビジネスや創造物を生み出してきた。ロックダウンやソーシャルディスタンスによって突然失業してしまったファッションやテキスタイルの分野の労働者や、ハイテク、健康、イノベーションの分野の労働者たちに、そのクリエイティビティを発揮するチャンスを提供したのだ。
ファッションファンのためのマスクから病院で働く人のための充電式マスクまで、イスラエルの注目すべきフェイスマスクを10種類紹介する。
テクニオン大学で開発された、医療従事者が着用するマスクを保護する3Dプリントの抗ウイルスナノテクステッカーが、2020年8月中旬にイスラエルで量産化された。
ステッカー「Maya」は、テクニオン大学機械工学部のEyal Zussman教授を中心とした研究チームが、ナハリヤのガリラヤ医療センターの顎顔面外科部長Samer Srouji教授の臨床指導を受けて開発したものだ。2020年の初めに発表されたこのステッカーは、防衛省防衛研究開発局(DDR&D)のCOVID-19国家緊急チームと共同で行われた。
このステッカーは、テクニオンチームが開発した特殊な3Dプリント技術を用いて印刷されており、殺菌剤を塗布したナノメートル繊維で構成されている。
医療用マスクの外面に固定されている接着剤が大袈裟なラベルのように見えるが、それは「2020年10月現在、新型コロナウイルスと戦っている医療チームのため、特別な保護を提供していると意味します。」とSrouji教授は語った。
イスラエル国防軍がイラク戦争中にガスマスクを開発するのを助けたイスラエルのNoam Gavriely氏は、「顔を『シール』し、新型コロナウイルスサイズの粒子の99%以上をブロックする保護カバーの新しい種類を作成している。」と2020年8月にTimes of Israelに語った。
彼のViriMASKは、N95/サージカルマスクの保護力を超えると証明されている。しかし、その見た目などは超魅力的だとは言えない。それでもこのマスクは、最大限の快適さとミクロンサイズの粒子、細菌やウイルス、エアロゾルに対する可能な限りの防御力を兼ね備えている。
Gavriely氏によると、マスクは、目、鼻、口の周りに完全にストラップとガスマスクやダイビングマスクと同様にシール、優れた通気性と、目への保護を併せ持っている。マスク1つの価格は70ドルだ。
ラマトガンに拠点を置くSonovia社は、特殊な化合物を超音波で含浸させるプロセスで、金属酸化物ナノ粒子を機械的に布地に注入し、布地を細菌や真菌に対して非常に効果的なブロックに変える特許取得済みの技術を開発した。この新しい超音波ベースの抗菌コーティングは、布地やテキスタイルに適用される。
イスラエルのスタートアップ企業が開発した「ソノマスク」は、実験室でのテストによると、SARS-COV2ウイルスを30分以内に中和する効果が99%以上ある、と2020年6月に発表された。
Sonovia社は、中国の2つの医療ラボとイスラエルの医療施設に抗菌布のサンプルを送っている。また、イタリアのAdler Plastic社では、自動車や公共交通機関での使用を目的とした試験的な試験を実施している。
2020年8月、ツール・ド・フランスに初出場したイスラエルの自転車チーム「Team Start-Up Nation」は、毎年恒例の自転車レースでメンバーがソノマスクを着用することを発表した。
2020年5月、イスラエルの科学者のグループは、同年3月下旬にテクニオン・イスラエル工科大学で開発された再利用可能でセルフ消毒可能な保護マスクの米国特許を提出したと発表した。
この製品を生み出したのは、テクニオン大学材料工学部の学部長であるYair Ein-Eli教授だ。同教授は、マスクに蓄積された病原体を破壊するプロセスである熱を使って制御された方法で消毒し、再利用可能なフェイスマスクを開発した。アインエリ教授の研究グループはマスクの試作品を作成し、生物学部のDebbie Lindell教授、Oded Beja教授とともにテストを行った。
同大学によると、同グループは現在、マスクの商品化に向けて産業界の企業と協議中だという。
鼻と口を覆うフェイスマスクを着用することは、唇を読んでコミュニケーションをとる聴覚障害者にとって障害となる。この「Read My Lips」フェイスマスクは、Maayan Levin氏の指導を受けた、ディモナの高校ロボットチームが開発したカバーだ。
同高校は、Maayan Levin氏の指導の他、べングリオン大学博士課程の学生Carolina Tannnenbaum-Baruchi氏と、緊急事態対策及び災害対応センターの研究者も助力している。
曇らない透明なマスクは、「何時間もの会話、メッセージ、ビデオクリップ、テスト」を経て作られたものだと、Tannenbaum-Baruchi氏は言う。
このマスクは、聴覚障害者や医療チームがこのコミュニティのために提供される予定である。グループは、マスクを量産するための生産と資金調達のパートナーを探している。このプロジェクトはBGUコロナウイルスタスクフォースの支援の下で実施された。
Kuchinate(クチネイト)は、テルアビブに住むアフリカ系亡命者女性300人が強く結束した集団である。この支援コミュニティは、イスラエルでの明確な地位を持たず、地方政府からの恩恵を受けていないアフリカ系難民を対象にしており、彼女たちのエンパワーメントを目指している。
多くはシングルマザーや、人身売買や性的虐待の生存者である。
この団体は85%がエリトリアの女性で構成されているが、スーダン、ナイジェリア、エチオピア、コートジボワールの女性も含まれている。
"Kuchinate"とはチグリニヤ語でかぎ針編みを意味し、この集団の女性たちはかぎ針編みの家の装飾品であるバスケット、プーフ、ラグなどを作っている。しかしCOVID-19パンデミックのヒット以来、彼らはその影響を受けてしまった。
まず、観光客や訪問者がクチネイトの工房を訪れることができなくなったため、他の多くの国と同様に、NGOは商品をオンラインに移行した。しかし、最も大きな変化は、フェイスマスクの需要が高まったことを受けて、かぎ針編みから縫製へと移行したことだ。
マーケティング・ディレクターのRuth Garon氏は、国連が緊急資金を申請し、女性たちの自宅にミシンを用意したことをNoCamelsに語った。
ボランティアが来て、女性たちにマスクの縫い方を教えた。それ以来、女性たちはアフリカの伝統的な布地を使って、鮮やかな色やプリントで印象的な顔のカバーリングを作っている。
最初は5人の女性だけだったマスク製作チームは、2020年10月現在、25人ほどの規模にまで成長した。週2回のレッスンでは、他の女性たちに裁縫の仕方を教えている。
通気性の良いコットンマスクは二重構造になっており、男女兼用。現地でも海外でも発送可能だ。価格は3枚入りでNIS 100($29)からである。
香港で育ち、現在はイスラエルに住むSarina氏とRachel Rofe氏の姉妹は、9年前に亡くなった母親の遺産を受け継ぐための個人的な方法としてThe B.O.D.を立ち上げた。
Sarina Rofe氏は「Feel Good, Do Good」というライフスタイルの究極の提唱者である。彼女はこのマントラは姉妹の倫理観であり、ブランドの原動力となっているとNoCamelsに語った。
B.O.D.(The Board of Directorsの略)は、快適さ、つけ心地の良さ、そして個性を追求しており、彼らのプロジェクトは「スーツ」と呼ばれる多様で調整可能なジャンプスーツを作ることから始まった。
マスク製作は当初の計画では全く予定していなかったが、パンデミックが世界に影響を与えたことで、姉妹はマスクの必要性を認識した。Rofe氏によると、彼女たちは自宅でマスクを一枚ずつ縫い始め、その後、可能な限り持続可能な方法で本格的な生産を開始したという。
シトラスディオン、ジオ、ポルカデピンクなどのプリントが施されたマスクは二重構造で、洗えて再利用可能、綿かレーヨンで作られている。マスクは1枚約15ドル、または3枚セット40ドルの価格で販売している。
これらのマスクの収益はすべてアメリカのBlack Lives Matter運動を支援するために寄付される。
上海の裕福な中国の経営者が、エルサレムを拠点とするジュエリーブランドYvelに、世界で最も高価な保護マスクをカスタムオーダーで製作するよう依頼した。さらにこの経営者は、このマスクが世界で最も高価なマスクであること、最高レベルのろ過能力を持つこと、そして年内に納品すること、という3つの条件を満たすことを求めた。
150万ドルの値札で、マスクは18Kゴールドで作られ、3,608個の天然ダイヤモンドが合計210カラットにセットされた。また、このマスクは、空気中の粒子を99%以上ろ過すると謳うフェイスマスク「N-99レスピレーター」をベースにしている。
イスラエルのジュエリーメーカーであるOrnaとIsaac Levyは、Yvelが12月までにお客様に直接マスクをお届けすることを目指していると述べた。
ベザレル芸術デザインアカデミーを卒業したデザイナーのDoraya Avital Kancepolsky氏とOryan Asher氏は、海でのライフスタイルをベースにした、ハンドメイドコレクションのデザイン・製造を専門としている。二人のデザイナーは、テルアビブ・マリーナの近隣のボートに住んでいる。
このペアのマスクブランド「Fishi Fish」は、イスラエル厚生省がイスラエルのすべての人々が屋外でマスクを着用することを義務づけた指令を発表した後に立ち上げられた。Kancepolsky氏はその夜、すでにサンプルを縫って売りに出していたという。
マスクは黒で、魚の骨格や魚の目、ハートなど、手作りのデザイン要素を取り入れたスタッズやパッチで飾られている。デザインのないマスクを注文することもできる。マスクの価格は通常48~90NIS(14~27ドル)だ。
2020年、COVID-19のパンデミックを原因とする新たな制限のために、イスラエルのほとんどの結婚式が泣く泣く中止になったとき、28歳のYarden Oz氏は仕事を失った。
ブライダルガウンのデザイナーであるYarden Oz氏は、このピンチをチャンスにしようと決心。自身の仕事に使うブライダル用の生地を使い、前例のないパンデミックの時代に彩りを与え、経済の支えになることを願い、スタイリッシュなマスクのコレクションをデザインし始めた。
ブランドHappy Peopleは、様々なプリント、デザイン、生地のマスクを取り揃えて誕生した。ゼブラストライプ、コミックブック、スパンコールのマスクなど、色鮮やかなマスクはほんの一部だが、現在1枚NIS 69~NIS 99(20~29ドル)で販売されている。
翻訳元:https://nocamels.com/2020/10/innovative-face-masks-israel-developed-cover/
翻訳元の記事では、実際のマスク写真を見ることができます。マスク写真は画像の引用元や参照元がはっきりしない写真を含むため、本翻訳記事には転載しておりません。
表題画像:Photo by Clark Van Der Beken on Unsplash(改変して使用)