COVID-19によって、世界中の製造業者が産業用IoT(IIoT)とインダストリー4.0テクノロジーの採用を強力に促進することとなった。生産工場へのより遠隔地からのアクセス、監視・管理機能、そして「より身近」なサプライチェーンとその可視化の必要性を認識したからだ。また、パンデミックはデジタル化と自動化を加速させ、ミシガン州のような世界的な製造拠点は、新しいコロナ時代そしてそれ以降の競争力を維持するために、インダストリー4.0的ソリューションを採用している。
スタートアップ大国イスラエルは、世界中の製造業がスマートテクノロジーを開発する上で重要な役割を果たす。イスラエルの製造業部門は非常に小規模であるにもかかわらず、多様な分野におけるインダストリー4.0ソリューションが評価されている。具体的にイスラエルのスタートアップ255社が提供するのは、サイバーセキュリティやAI(機械学習)、コンピュータビジョン、センサー、複雑なシステム統合能力など、イスラエルのよく知られた強みから派生したソリューションだ。分野としても、オペレーションの最適化、検査・テスト、サプライチェーン、メンテナンス、3Dプリント、ロボティクス、コネクティビティ、セキュリティの脆弱性など多岐にわたる。
さらにイスラエルは現在、インダストリー4.0分野へのベンチャーキャピタル投資額で世界第3位(米国、中国に次ぐ)となっており、2014年の1億1,200万ドルから2019年には3億4,900万ドルへと5年間で3倍以上に増加している。イスラエルでは、自動車メーカーのFordやGeneral Motorsをはじめ、医療機器メーカーのMedtronics、自動車部品大手のBoschなど、50社以上の多国籍企業がIIoTソリューションの開発に乗り出している。
特筆すべきは、ミシガン州には地元のベンチャーキャピタルが支援する独自のスタートアップエコシステムがあることだ。ベンチャー投資家がミシガン州のベンチャー出資のスタートアップの97%をバックアップしており、同州の起業経済は、成長性・将来性の高い企業に一貫して資金を提供できる投資家の能力にかかっている。2019年、ミシガン州では144社のスタートアップがベンチャー支援を受けた。
Start-Up Nation CentralとGrove Venturesが12月1日から3日まで開催するIndustry 4.0 Global Leaders Summitを前に、自動車産業を越えたこれらの分野におけるミシガン州のニーズについて、州の専門家に話を聞いた。
「ミシガン州はモノづくりの能力と製造力で知られていますが、イスラエルはデジタル化と大胆さで知られています」と、Michigan Israel Business Accelerator(MIBA)のCEOであるScott Hiipakka氏は述べる。「この2つのリーダーが一堂に会することで、大きな勝利に繋がります」
Mercury Fundのマネージングディレクターであるベンチャーキャピタルの専門家Adrian Fortino氏によると、「ミシガン州の産業界は今、これまでになかった方法でAIを受け入れており、目を覚ましたかのようにより早くAIを採用する方法を考え出している」。同氏は、最も注目を集めているインダストリー4.0の2つの分野がその可視性に焦点を当てていると指摘する。サプライチェーンの可視性と生産の可視性だ。
特にこれらの分野では、イスラエルのイノベーションによってユニークな製品が生み出されている。例えば、イスラエルのスタートアップOptimalPlusは、自動車、半導体、電子機器業界のサプライヤーやOEMにライフサイクル分析ソリューションを提供する。同社のプラットフォームは、リアルタイムの製品分析と、サプライチェーン全体のデータからインサイトを抽出する。
もう一社のイスラエルのスタートアップ Plataineは、高度な製造業向けに産業用IoTとAIベースの最適化ソリューションを提供している。そのソリューションは、Airbus、GE、Renault F1 Teamを含む世界中の製造業者に、生産現場の管理者やスタッフにインテリジェントで接続されたデジタルアシスタントを提供し、製造業者がリアルタイムで最適化された意思決定を行うことを可能にしている。
一方、Matics社は中小企業向けに安全なプラグアンドプレイのクラウドベースのデジタル製造ソリューションを開発している。同ソリューションでは、製造環境をリアルタイムで見ることができ、オペレーションを瞬時に制御し、可視化することができる。
Castor社とOnvego社は、ミシガン州で注目を集めているイスラエルのインダストリー4.0スタートアップで、製造業の生産力を新たな高みへとサポートしている。両社は、Automation Alley、Centropolis、Lean Rocket LabのI4 Acceleratorの一員である。Castor社の3Dプリンティングソフトウェアは、企業の部品カタログを自動的にスキャンして、3Dプリンタを使用して製造できる部品を特定する。この意思決定支援ソフトウェアは、最終的には、時間とコストを節約するために3Dプリントを使用するかどうかを決定することができ、パンデミックの時代には特に有用だ。
Onvego社のIIoTデバイス向け音声アシスタントソリューションは、ミシガン州でも注目を集めている。今日の主流の音声アシスタントソリューション(Alexa、Siri、Google Homeなど)は、産業用のタスクには対応していないが、OnvegoはIoT企業がオフラインでも音声制御をIoTデバイスに組み込むことを可能にしている。
Industry 4.0 Global Leaders Virtual Summit で発表される Start-Up Nation Central の「Industry 4.0 Best Applications Guidebook」では、イスラエルのインダストリー4.0スタートアップのホストが紹介されている。
様々なパネルディスカッションの中で、このサミットでは、インダストリー 4.0イノベーションを活用する機会があると評価されているミシガン州の製造エコシステムに焦点を当てたセッションが行われる。ミシガン州ベンチャーキャピタル協会(MVCA)とMichigan Israel Business Accelerator(MIBA)が主催するこのバーチャル・セッションには、eLab Venturesのマネージング・パートナーであるDoug Neal氏、Mercury Fundのマネージング・ディレクターであるAdrian Fortino氏をはじめ、ミシガン州の業界専門家であるGM Venturesの社長Matt Tsien氏、Lear CorpのCTOであるJohn Absmeier氏など、ミシガン州を代表するベンチャーキャピタリストが一堂に会する。
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翻訳元:Beyond Automotive: Why Michigan is Eying Israeli Industry 4.0 Innovation