移り行く世界に労働力を適応させていくには

恐らく貴方は、未来志向の雇用主として、ビジネスに於ける目覚ましい成長を見込み、多くの人員を雇ってきたのだろう。しかし、この先の見えない現状に於いてどのように対応していったら良いのだろうか。
HR

今年のはじめ、労働市場は強い力を持っていた。The Straits Timesは、労働省によると、この10年間現地シンガポールの就業率は着実に伸び続けて80.8%に達した一方で、失業率は極めて低く3.1%であったと発表した。

また賃金は過去5年間で3.8%増えている。もしあなたが自社に対して大きな成長を期待しているビジネスリーダーであるならば、過去4年間で2000人を雇用したDysonのように、多くの人員を雇うだろう。

恐らく貴方は、未来志向の雇用主として、ビジネスに於ける目覚ましい成長を見込み、多くの人員を雇ってきたのだろう。特に前途有望なテクノロジー部門に於いてはよくある話である。そして突然、ここ3カ月で、前代未聞の80%にも上る収益の落ち込みを経験した。

案ずることはない。あなたは良い会社に就職している。Grabのような安定している企業でさえ労働者の5%を解雇せざるを得ず、Airbnbは25%、シンガポールに於いては今四半期だけで3,220人もが解雇されている。

このような話は実はあまり珍しいことではない。もし上記のような状態にあなたが置かれているとしたら、この激変に対処するより良い方法が必ずあるということを覚えていて欲しい。例えあなたの会社がFacebookやMicrosoftのようにこの大恐慌の時代に於いても新たに採用活動を行う余裕があるほど立ち直りが早くても、その再生力を上昇させるステップは企業に歓迎されるだろう。

解雇の実情を受け入れる

雇用危機の主な原因の一つに経済危機は10年毎にやってくるという思い込みがある。実際、COVID-19が2008年の世界金融危機から10年を少し過ぎて起こった為に、各企業は様々な理由で多くの人員を解雇せざるを得なくなった。具体的な理由としては、テクノロジーの混乱、競争や上手いとは言い難い経営管理などが挙げられる。これはシンガポール労働省が推進する”責任ある解雇運動”を行う必要がある可能性が極めて高いことを意味している。

表は、1918年のスペイン風邪以来最悪のパンデミックであったにも関わらず、第一四半期に於ける解雇者は過去5年間に於いて最も少なかった事を示している。2015年はシンガポールがピークに達した労働人口に対し100の新事業を立ち上げた年として知られており、2016年には人件費がかかり過ぎる中年やスキルを持った人々の解雇数が記録的であった。

シンガポールやRWSは2016年、中国の経済成長の減速や汚職撲滅キャンペーンを受けて労働力を削減せざるを得なかった。つまり、大企業すら移り行くマクロ経済に対応しなければならない状況に陥るのは今回が最初ではないのだ。もちろん、最後でもない。解雇の理由こそ時代によって違うものの、その変動性は変わらないと言えるだろう。

ミレニアム世代を雇う

ミレニアム世代は、彼らの親世代が不安定な雇用状況にあった1980、90、2000年代を経て育ってきた。思い返すと、1984年の不況、1997年のアジア金融危機、2003年にはSARSの流行、そして2008年の世界金融危機などがあった。過去30年間、職に対する”セキュリティ”は腐敗の一途を辿っており、彼らは親が少なくとも3回、リストラされたり再就職したりするのを見てきたと言われている。

現在、多くのミレニアム世代はフルタイムの雇用者であるが、彼らは自営業やフリーランスなどより”セキュリティ”が低い職に対してもオープンだ。彼らはより良い賃金、評価や同僚を求めている。ミレニアム世代にとって、”セキュリティ”は仕事そのものではなく、仕事から得られるスキルによって定義されている。つまり、彼らは仕事そのものの”ジョブセキュリティ”よりも自身のこれからの”キャリアセキュリティ”に重きを置くのだ。

彼らは解雇通知を受け取ればもちろん悲しむが、思われているよりも早く気を取り直すだろう。あなたは企業が回復したら彼らをもう一度雇うことができるし、その間に彼らは他の誰かや彼ら自身の為に働くとこができるのだ。93%の人々が人生をかけた学びを好意的に受け入れており、それは仕事のない期間に修士取得なども吝かではない人が多い事を意味するだろう。

柔軟なワーキングアレンジメント

”permalancing"という考え方はまだあまり一般的ではない。これはフリーランサーと永久的な仕事の委託のコンビネーションである。フリーランサーは断続的な仕事に従事することが多いが、同じような仕事を繰り返す際に違うフリーランサーを雇い、同じような説明をするのは無駄になってしまう。そこで”permalancer"とであればその時々の裁量で、同じ”permalancer”に柔軟性を持って仕事を委託することができる。

”permalancer”は基本的に2−3の企業と契約し同時に仕事をしていくことになる為、それらのクライアントを失うことは大打撃である。また企業は自社社員よりも彼らに高い費用を払うことになる。

この場合事業計画が必須になることは明白だろう。”permalancer"は仕事の価値が明確に定義されており、専門知識を要して適切な時間内に完了させることが要求される職だ。事業計画の変更を行う企業がよくあるが、これは企業や従事者、労働者にとって失策でしかない。

例えば、”3E Accounting"では明確な業務計画をインターンにも与えている。彼らは構造化され、首尾一貫したプロセスをもって結果につなげていく。このような構造化されたプロセスは”permalancer"が長期間に渡るプロジェクトを行う際にも役に立ち、自信を持って遂行できるようになるだろう。もちろんこれは企業の特質に依るところが大きい為、複雑な作業を伴う事業などには応用できない。

移り行く世の中に於ける安定性

私達は興味深い時間を生きている。

個々の能力をどの様に発揮し、社会貢献をするか、賃金やその他の報酬を得るか、これらは私達の人生やその質を大きく左右するものだ。

構造上の技能のミスマッチだけではなく、それらスキルのアレンジメントがモノやサービスを作る際に大切になる。その”アレンジメント”こそが変動性の高い環境においてもある程度の安定性を供給するものではないだろうか。

翻訳元:How to organise your workforce for the volatile world

記事パートナー
アジア各国のスタートアップシーンを世界に発信するオンラインメディア
執筆者
秋山凜 / Rin Akiyama
Researcher&Writer
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