スタートアップを立ち上げる際の恐怖との向き合い方

「ガラスの天井」として誰にでも訪れる恐怖を避けるのではなく、それらを分析し、どこから来ているのか見極める必要がある。メキシコの起業家Ana Bárbaraがスタートアップを立ち上げる際の恐怖との付き合い方について語る。
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今日のソープボックスの意見は、「Creademics」の創設者であるAna Bárbara González Hernándezによって執筆された。

Contxto - ビジネスには「ガラスの天井」という概念がある。スタートアップで働く人も大企業で働く人も、きっと一度は耳にしたことがあるはずだ。

ウォールストリート・ジャーナル紙は、その記事の中で、ガラスの天井を「目に見えない壁」と表現している。ビジネスの世界では、女性のような少数派の層が企業で高い地位に就くことを阻む、目に見えない壁が存在するということだ。

これが書かれたのはずっと前の1986年のことである。年月が経ち状況は変化しているが、「見えない壁」というこの言葉は、私の心に刺さったままだ。

目に見えない私の壁

スタートアップを立ち上げる際に出くわした「ガラスの天井」がある。これらは、性別、地理、業界に関係なく発生する。なぜなら、そのガラスの天井は恐怖から生まれるからだ。

失敗への恐怖、成功への恐怖、人からどう思われるか、批判されることへの恐怖など。

起業家としての道を歩んできた私が見てきた中で、私たちは行動の妨げとなるような信念(他のガラスの天井)を作り出しており、その多くは恐怖心から生まれている。

恐怖心には、本当に私たち自身に属するものと、そうでないものがある。これら二つのうち、私たちはどれに基づいて行動しているだろうか?どのような類の恐怖を自分のものとしているのか、そして他は一体誰のものだろうか?ママのもの?パパ?パートナーや知人?それともやはり、純粋に自分自身のものなのか?

例えば、同僚や友人(起業家ではない)を例に挙げてみたい。彼らは、このような困難な時代に自分のスタートアップ立ち上げに賭けることがいかに困難でリスクが高いかについてコメントするかもしれない。そこであなたはフリーズし、自身の新しいビジネスベンチャーを疑問視し、そして次第に失速していく。

その瞬間、あなたはあなた自身のものでない恐怖を考慮しているのだ。決してあなた自身の恐怖ではないのに。

一方で、他から判断されることへの典型的な恐怖もある。これは、実際にあなた自身が心配している類のものかもしれない。しかし、一度それに気付いたら、それを処理し、ワークスルーすることも可能だ。その恐怖を乗り越え、「ガラスの天井」を破壊することができる。

恐怖の中でのローンチ

このように、恐怖は決して悪いものではなく、時には助けにもなる。あなた自身の本能が、何に賭けるべきか、そして何をすべきでないかということを教えてくれるだろう。

しかしながら、私たちの行動を制限するような恐怖は避けるべきだ。その類の恐怖は、私たちを自由に動けなくさせ、行動を妨げる。もちろん、恐怖を完全に排除しろと言っているわけではない。もしも、恐怖を排除するような魔法のレシピが存在し、私がそれを知っていれば、私のスタートアップと私自身はすでに別のレベルに到達しているだろう。

恐怖と健全な関係を築くことが重要だと考える。恐怖を避けるのではなく、それらを分析し、それがどこから来ているのか(それが私たち自身のものであるか、あるいは他の誰かのものであるかに関わらず)を見極める必要がある。

私たちはそこから何を学び取ることができるのか、そしてどのようにそれらと向き合っていくべきなのか。ビジネスを拡大しないこと、スタートアップを立ち上げないこと、投資をしないことで失われるものは、自分の恐れと向き合い、争いから学び、それを燃料として状況を切り抜けたり、創意工夫したりすることよりもよっぽど多い。

信念や恐怖心を制限することは、自分自身だけでなく、ビジネスにも影響を与える。

あなたが成功しないと思うなら、ほとんどの場合、あなたのビジネスも成功しない。恐怖心は保守的な目標につながり、結果として、ビジネスもまた停滞してしまうのだ。

恐怖心ではなく、新たな行動へ乗り出すことに自身のフォーカスを移せば、すべてが変わる。

つまり、恐怖心を別の視点から見るようになれば、すべてが変わるということだ。大きく考えることは、小さな規模で考えるのと同じ時間と場所で実行できるのではないだろうか?

恐怖の後にこそ難がある

それは、簡単なように聞こえるだろう。そして確かに、中には簡単に感じる人もいるだろう。

すべては成長のプロセスであり、仕事にコミットし、行動を妨げるような信念を打ち破り、自分自身の中に目を向け、プロジェクトの中で自分のエネルギーをどのように使うかを意識するということなのだ。

それが恐怖に基づくエネルギーなのか、それとも勇気に基づくエネルギーなのか、常に考えなければならない。

前にも言ったように、それは簡単なことではないが、間違いなく価値のあることだ。癒しを感じ、恐怖心を疑問視し、信念を飛躍させるということには、確かに価値があるのだ。

恐怖の向こう側にあるものに価値があると信じている。と言うのも、たとえ失敗に終わったとしても、それは貴重な教訓になるからだ。だからこそ、試さない手はないのではないだろうか?

あなたはどう考えるだろうか?

恐怖から、プロジェクトの立ち上げや投資、賭けをやめてしまったことはないだろうか?

Ana Bárbaraはメキシコの起業家。現在は、革新的なプロジェクトを生み出す起業家の学際的なチームの一員として活躍している。彼女はそこで、起業家精神のための革新的なツールを提供するオンラインコース「Creademics」と、がん患者の治療を改善するためのバーチャルリアリティコンテンツ「Somnium」を開発している。

翻訳元:How to deal with fear when launching a startup

記事パートナー
ラテンアメリカのスタートアップシーンの情報をカバーする、メディア・データカンパニー
執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
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