EC売上アップの心得:迫る独身の日で中国からの巨大需要を掴む方法とは?

「独身の日」として知られる11月11日は、アジアのECサイトを中心に大規模な販促イベントが開催される。今後の需要を見据えながら、コロナ禍においてEC事業者が考えておきたい6つのポイントを紹介する。
EC マーケティング

11月11日は、独身の日として知られている。もともと中国では11月11日は「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれており、1人を連想させる「1」が日付に並ぶことから、独身の日という意味合いが広まった。2019年の独身の日(11月11日)には、中国のEコマース大手である「Alibaba」の売上高が384億ドル(322億ユーロ)を突破した。

世界最大のショッピングイベントの成長は著しい。そして今年も同様に、独身の日のショッピングイベントは注目を集めている。世界的に経済が停滞し、新型コロナウイルス感染症の影響で個人消費も落ち込んでいるにもかかわらず、明るい兆しが見えつつある。

世界的にデータの分析を手がける「Nielsen」のアジアの消費者行動に関する調査によると、パンデミックの発生やオンラインショッピングを増加させただけでなく、これまでオンラインでの買い物に馴染みがなかった多くの人々を、オンラインへと導いた。

当社のグローバルな物流ネットワークのデータをみると、パンデミック中の出荷量は、過去のピークシーズンの出荷量をすでに上回っている。伝統的なビジネスもEC販売に力を入れ始めており、今後もさらなる増加が期待できるだろう。当社では独身の日と年末年始の年末のホリデーシーズンに、1日の取引量がこれまでよりも40%増加すると予想している。

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EC事業者をはじめとする多くの企業は、これから迎える独身の日と年末のピークシーズンに向けて、可能な限り早めに準備を始める必要がある。そこで今回は、パンデミックにおいて心得ておきたい6つのポイントをご紹介したい。

1.過去のデータから予測を立てる

過去のデータを分析すると、これから需要が見込まれる具体的なピーク時期を把握できる。現在のように新型コロナによる影響が大きい場合は、従来とは状況は異なるかもしれない。しかし事前にある程度データを分析してマッピングしておくことで、需要が急増した際に発生し得る問題に向けた対策を事前に立案できるだろう。

独身の日の場合は、ピークシーズンのボリュームに対応するために人員を確保し、従業員のトレーニングを事前に行うことが賢明な判断だろう。

また過去のデータを参照すると、企業は予めある程度の在庫レベルを決定できる。すると地域別や製品タイプ別など、急激に拡大する需要の代替となるサプライヤーの候補の選定もスムーズにいくだろう。

2.配送ポリシーを明確にする

次は顧客の視点に立ってみよう。顧客がECサイトで購入したい商品を決めて最終的な支払いに進んだ際に、いきなり送料が表示されると、購入を中断してしまうケースがある。消費者データの分析などを手がける「Comscore」のEコマース調査によると、消費者は明確に伝えられていなかった料金を突然請求された場合、最大55%が購入をやめてしまうことが明らかになっている。

このような事例を回避するためには、顧客に対して明確な期待値を設定し、配送ポリシーを明示することが重要である。また、送料や関税、そしてその他のサーチャージに関しては、透明性の高い説明が行われ、ウェブサイト上の目立つ場所やポップアップウィンドウに表示されることが望ましい。

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顧客の混乱を避けるために、特別な取り扱いが必要な場合や特定の地域に課されている配送制限がある際は、その旨も明記しよう。

3.柔軟な配送方法を提供する

新型コロナが流行している間は、様々な地域で移動や外出の制限が続くことが予想される。オフィスだけでなく、自宅で仕事を行う顧客も依然として多い。

そこで顧客の要望に応えるためには、自分の都合の良い時間と場所で商品を受け取れるように、柔軟なオプションを提供する必要がある。するとラストマイル配送の充実度が向上し、配送に失敗するケースも減るだろう。配送手段の充実は、消費者の満足度を上げ、リピーターの増加にもつながる。

4.荷物の追跡システムの整備

サプライチェーンの専門家は、ホリデーシーズンに消費者が求める重要なポイントとして、出荷や配送状態の可視化を挙げている。

新型コロナによる規則の追加や従来のルールの変更などをふまえると、特にホリデーシーズンには、国境を越えた商品の配達に影響が出る可能性が高い。そのため出荷や配送状況をオンラインで追跡し、予定された配達日に到着するかどうかを知ることは、顧客の満足度を維持するために不可欠な要素である。

顧客が自分で状況を確認できるようにすることで、問い合わせの数を減らすことができ、カスタマーサポートにかかるコストも最小限に抑えられる。

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5.非接触の配送ルールを設ける

新型コロナの拡大が続く現状をふまえると、顧客の安全は最も優先すべきポイントである。感染リスクを減らし、顧客と配送員の健康と安全を守るために、非接触型の配送を通常の配達方法に導入することをおすすめしたい。

荷物を受け取る際は、これまでは宅配業者のスキャナーに署名する必要があった。しかし今後は、荷物の受取人は署名することなく、予め指定された場所におかれた荷物を集められるオプションが望ましいだろう。

6.スムーズな返品手順を整える

実際に商品を購入した顧客が、様々な事情から返品を希望する場合も想定しておこう。出荷状況や商品のラベルを管理しながら、顧客の手間がなるべく少なくなるような設定が必要である。

企業の規模を問わず、返品のプロセスや管理にはコストがかかることが証明されている。ショッピングのピークシーズンを考えると、返品期間を延長することも選択肢の一つだろう。最も重要なポイントは、ピークシーズンが正式に始まる前に、事前に返品手順を整えておくことである。

翻訳元:https://e27.co/how-should-e-tailers-prepare-for-singles-day-amid-co-19-20201012/

記事パートナー
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執筆者
土橋美沙 / Misa Dobashi
Contents Writer
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