「Rukita」の運営するアパート
2019年の「インドネシア・ミレニアル・レポート」によると、インドネシアの不動産価格はミレニアル世代の購買力を上回っており、同世代の65%は家を所有していない。人口の60%以上をミレニアル世代が占めるインドネシアにおいて、これは深刻な問題である。
Sarah Soewatdy氏はこの問題を解決すべく「Rukita」を他3名と共同で創業し、インドのスタートアッププログラム「Surge」の支援を受けながら、良質で手頃な価格の共同生活スペースを創出している。
「Rukita」が都市部ジャカルタに住むミレニアル世代をターゲットとして最初におこなったのは、私的空間と共有空間のバランスが取れた便利で快適な共同生活空間の提供で、すでに好評を博している(Soewatdy氏e27インタビュー)。
「Nielsen」の調査(2014年)によると、シェアリング・エコノミー・サービスの利用率見込みは世界平均で68%であるのに対し、インドネシアでは87%であり、同国においてシェアリング・エコノミー・ビジネスの成長には高い期待がある。またブラック・スワン・イベントも、同業界に追い風を吹かせている。
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新型コロナウイルスパンデミックの影響で急速に広がる在宅ワークや、経済低迷による手頃な住宅への需要増などにより、住宅部門のトレンドに変化がみられる。特に購買力が低下しているミレニアル世代には、住宅購入を先延ばしにして賃貸物件を選ぶ人々も多く、「Rukita」などの住宅シェアビジネスはこれに後押しを受ける形で成長している。事実、同社は2020年第3四半期に、前月比20%の入居率成長率を記録し、新規テナント登録は約2.5倍に増加した。
同社は2020年11月現在、首都圏で3,500以上の部屋を運営している。
パンデミックによって人々は未来の不確実性をより意識するようになり、より徹底した財務管理をおこなうようになっているが、このような状況下において、Soewatdy氏は「Rukita」が入居者だけでなく家主に対しても、経済的・心理的安心感を与えられると確信している。同社サービスを利用することで、家主は所有する不動産をより利回りの高い資産に変えることができ、手間をかけずに家賃収入を確保できる。
2020年11月現在、同社は首都圏で3,500以上の部屋を運営しており、物件シェアを利用することで、手頃な価格で良質な生活・仕事空間が得られるという認識を一般に広げようとしている。
「Rukita」は、パンデミックによってもたらされた「新しい日常」に適応するための取り組みを継続的に導入し続けている。最近では、同居者と一緒に生活と仕事ができる「Rukita Workpod」を導入した。ここには様々な設備などによって実現される生産的な労働環境が用意されている。
バーチャル物件訪問サービスも導入しており、入居希望者は直接物件を訪問することなくに安全に下見ができる。これらによって、同社はパンデミック下においても家主たちに安定的な収益と安心感を提供しようとしている。
同社は「新しい日常」におけるニーズに素早く対応できるよう心がけており、Soewatdy氏は、これからもさらにテナントや家主の幸福を向上させるための新しい取り組みを続けたいと述べている。
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Soewatdy氏は、良い設備やサービスが揃った利便性が高くオシャレな部屋を求めるミレニアル世代がもたらす消費者行動の変化が、不動産業界全体で物件シェアの需要増に直結すると考えている。資金調達の計画は伏せているものの、今後の事業の拡大においては引き続き、テナントと家主の両方に質の高い共同生活体験を提供するという「Rukita」の使命を果たし続けたいと同氏述べている。
画像クレジット:Rukita
翻訳元:How Rukita turned the pandemic into an opportunity to grow its co-living business