マレーシアには食文化のすべてが詰まっている。インド料理から中国料理、マレー料理からペラナカン料理まで、その多様な食文化のおかげでマレーシア人は料理に対する強いこだわりを持ってきた。
一方、この強いこだわりが仇となり、一つの大きな問題を生み出している。大量の「食品ロス問題」だ。
シリコンインディアのレポートによると、マレーシアは食品ロス率が世界第5位で、1人あたり年間最大560kgの食品を廃棄しているという。さらに、食品ロスを資源として利活用するための啓発キャンペーンが不足しており、この状況を認知していない人々も多い。
Solid Waste Corporation Malaysiaによると、マレーシアにおける食品ロスは1日15,000トンに達し、そのうち20%は廃棄時には「まだ食べられる状態」であるという。
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食品ロス率・量がますます深刻化する中、Chelsea Chee氏は生ごみを堆肥化し、栄養豊富なバイオ・有機肥料に変換するテクノロジーを提供するスタートアップ・Maekoを設立した。
(Maeko創業者のChelsea Chee氏。引用元は翻訳元記事。この記事は許可を得て翻訳をしています。写真の無断転載厳禁)
「堆肥化は、生ごみ問題を解決するための最も便利でシンプルな方法です。堆肥化技術は家庭用から工業用、最小限の生ゴミから大量の生ゴミまで、その場で処理することができます。」
創業者でありCEOのChee氏はこう述べる。
Maekoの堆肥化装置には、スピード酵素と呼ばれる特別に配合された堆肥化酵素が投入されており、庭のゴミや生ゴミ、骨や肉汁、ソースを含む調理済みの生ゴミなど、あらゆる種類の有機廃棄物を堆肥化することができる。
また、堆肥化の過程ではメタンガスが発生しないという利点もある。通常、埋め立て地では腐った生ゴミから二酸化炭素の25倍もの温暖化係数を有するメタンガスが発生し、地球に悪影響を与えている。
堆肥化された生ゴミは、栄養豊富な肥料に変わる。
Chee氏によると、1インチの表土を自然に形成するのに500~1,000年かかるという。堆肥は土壌の肥沃度を回復させ、微生物によって窒素、リン、カリウム(NPK)のバランスが整えられる。
Maekoの堆肥化技術は、生ごみを工業用で24時間以内、携帯用で48時間以内に堆肥化することができる。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの人々が自宅で食事をする機会が多くなったことを受け、家庭内での食品ロスに注目が集まっている。
「多くの人々は食べ物を捨てる量を減らし、より衛生的に食品廃棄物を管理するようになっている」とChee氏は述べている。
リモートワークが当たり前の選択肢となっていることから、より多くの人々が自宅で発生させている食品ロスに気を付けるようになってきているという。
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また、ロックダウン期間中に家族が絆を深める機会として都市部での農業やガーデニングが流行したことも相まって、堆肥化は地域社会に受け入れられるようになってきているとChee氏は述べている。
(家庭用堆肥化装置「MunchBot」この記事は許可を得て翻訳をしています。写真の無断転載厳禁)
2011年の法人化以来、Maekoの堆肥化装置は主に接客業や製造業、小売業、ヘルスケアなど様々な業種の企業にサービスを提供してきた。
しかし、近年では地域レベルで食品ロスに取り組みたいという個人からの要望が増えてきたとChee氏は話している。
このニーズに寄り添う形で、家庭にも馴染むサイズの堆肥化装置である「MunchBot」を開発した。堆肥化と食品ロスの削減がライフスタイルの一部になるようにと考え、各家庭で誰もが1台手に入れることができるようにすることが目標であるという。
同社は「MunchBot」をタイ、フィリピン、インドネシア、シンガポール、モルディブにも提携しはじめている。Maekoは今後、世界的な拡大を目指してより多くの国際的なパートナーとの提携を模索している。
食品ロス管理の世界市場規模は2022年までに424億ドルに達すると推定され、SDGsへの注目が高まる中、同社はどのような成長シナリオを描くのか。
今後もMaekoの躍進から目が離せない。
https://sunryse.co/app/startups/r_uymiunolejtiioj
国が抱える廃棄物課題の解決に取り組み、食品廃棄物から堆肥を生産、新たな作物や植物の生育へ価値を提供し持続可能性を追求するマレーシアのスタートアップ
翻訳元:How Maeko aims to reduce communal food waste through composting
表題画像:Photo by Lou Liebau on Unsplash (改変して使用)