COVID-19からの回復期間を俊敏性の獲得機会としてビジネスで活用する方法

製品の訴求やマーケティング戦略において、俊敏生と適応生を発揮している企業は、パンデミックからの回復期を乗り切ることができるだろう。
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COVID-19のアウトブレイクは想像もできないような動向でマーケットや消費者の振る舞いを混乱させている。もちろん適応能力の高い企業であれば、このパンデミックからの回復期を経て生き残りに成功することができるだろう。

しかし、企業はより積極的なアプローチで、変化し続けているニーズに対応する必要がある。そしてそのためにはプロダクトや戦略を見直して、パンデミックの拡大・収束カーブをみこした"新しい日常"への対応が必要なのである。

中国の「インタイム・ショッピングセンター」は新しい日常への適応に成功した好例である。消費者が自宅に籠っている中で、店員がVloggers(=video-bloggers)として動画を配信し、わずか3時間のライブストリーミングで通常の1週間分の売り上げをあげたのだ。COVID-19の危機に直面している他のビジネスも、同じように迅速な対応を求められていると言えるだろう。

カスタマーニーズを理解する

企業は、この先の顧客のニーズに沿った商品を提供しなければならない。そのために今必要なことは、消費者にとって何が重要なのかを知ることである。全体的に、人々は贅沢な必需品よりも、基本的な必需品を優先しており、シンガポールでは4週間にも及ぶ段階的なロックダウン政策の中で、オンライン経由のグロッサリー販売量が増加したという。

しかし、個人はまた、より多くのオンライン・コンテンツの消費を行い、情報や娯楽といった類のものも強く求めているという。ゲーム、ストリーミング、オンライン教育などの分野においては、フィットネスや健康、DIYといったトピックが人気であるというのだ。

iPrice Group」が発表した数字は、東南アジアの消費者が検索している製品のカテゴリーを示している。例えば、ベトナムでは2月から3月の2ヶ月間で、ジム用品の検索が116%に増加し、フィリピンでは3月だけでビタミンCサプリへの関心が123%まで増加した。

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マーケティング戦略の見直し

企業は広告費には慎重になりがちなものだが、現在の状況は、よりスマートなマーケティング戦略を展開し、予算を有効活用するのに最適なタイミングである。オンラインのトラフィックが増加し、デジタル広告のコストは低下していることからも、企業はターゲットとなるカスタマーにリーチし、エンゲージメントを向上させるチャンスを得たと言うべきだろう。

消費者はブランドが自身の広告をやめるという選択を望んではいない。シンガポールの消費者でブランド側がマーケティングを変更すべきだと考えているのは全体の20%以下に過ぎないという。実際に、「Procter&Gamble」などのグローバルブランドは、この正常ではない時期であっても、消費者に自社製品のメリットアピールを行うために、様々な分野でマーケティングに予算をかけている。

ブランド側としては、より高効率かつ低予算に物事を進める必要があるので、ブランディングとパフォーマンス重視の目的を組み合わせたような"ブランドフォーマンス"的アプローチを採用するべきである。これにより、顧客に適切な行動を促し、ブランドに対するロイヤルティを獲得できるのだ。ブランドフォーマンスの考え方を徹底すれば、ブランド(=広告主)の売り上げを増加させるような、数値化が可能で認知度の高いキャンペーンに繋がり、この急変化する市場にも俊敏に対応することができる。

現状に敏感であれ

企業は、自社製品を適応させ、マーケティングの見直しを行う必要があるが、さらに言えばそれらの適応と見直しは現状の環境に最適な敏感かつ倫理的な方法をとるべきである。消費者にとっては、企業が状況の深刻さに理解を示し、強引な売り込みよりも、共感やサポートを提供することが望むところなのである。第一に、企業はその地域の(ビジネス的な)開発度合いに追いつく必要があるだろう。

例えば、とある製品の宣伝を行っても、その地域のサプライチェーンの制約で配達できない場合、その宣伝は意味をなさなくなってしまう。

また、企業は世界の現状とマーケティングにおける目標を適応させる必要がある。旅行ブランドを例に考えると、例えば消費者が将来的に訪れたいと思っている場所を基準にウェブサイトのトラフィックを増やしても、それは予約にあまり繋がらないかもしれない。大事なことは現状との適応であり、状況が好転した暁には、訪問者を惹きつける新たな方法を模索することができるだろうし、さらに、親和性を高めたコンテンツやプロモーションの提供で潜在的な顧客のリピートを促すことができるかもしれない。

(現在では)企業は、(その状況に応じた)文脈に沿ったターゲティングを行い、安全性だけでなく、現在の環境に適した広告の体制を整えるなど、より積極的な戦略を考案する必要に迫られていると言えるだろう。

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COVID-19はビジネスを未知の領域に押し込んでしまったが、製品提供とマーケティング戦略の両方で俊敏性かつ素晴らしい適応力をみせている企業は、むしろその混乱を乗り切り、回復の期間で十分に成功することができるだろう。

翻訳元:How businesses can use COVID-19 recovery phase as an opportunity to build agility

記事パートナー
アジア各国のスタートアップシーンを世界に発信するオンラインメディア
執筆者
滝口凜太郎 / Rintaro TAKIGUCHI
Researcher&Writer
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