私たちの自動車の未来が見えてきた。かつてはライフスタイルの一部と考えられていた電気自動車(EV)は、一転して、シンガポールの持続可能な発展に向けた国家的な取り組みである「2030年グリーンプラン」の中で、必要不可欠なものとして位置づけられている。
EVの導入は、より環境に優しく、クリーンで、エミッションフリーな未来を後押しするのだ。
電気自動車を選択することは、排気ガスによる有害な大気汚染を減らすことにつながる。電気自動車がグリッドから充電されると、温室効果ガスが排出されるが、これは通常のディーゼル車から排出される二酸化炭素よりもはるかに少ない量だ。二酸化炭素の排出を最小限に抑えることで、環境を浄化し、資源とエネルギーの節約を実現する。
有害な排気ガスの削減は、私たちの健康にも有益だ。空気の質が良くなれば、健康被害や公害関連のコストも減る。また、電気自動車はガソリン車やディーゼル車に比べて音が小さいため、騒音公害の低減にもつながる。
自動車業界のように長い歴史を持つ業界では、電気自動車に関して、これほどまでに業界のリーダーたちが激しく対立することはめったにない。しかし、電気自動車の将来性については、トヨタ自動車とフォルクスワーゲングループ(VW)の2大企業が正反対の立場をとっている。
フォルクスワーゲン・グループは、電気自動車に対して強硬な態度で臨み、迅速かつ効果的な対応の必要性を強調している。一方、トヨタは一貫して電気自動車の将来に冷や水を浴びせている。トヨタは、ハイブリッド車への投資を続けているのだ。しかし、通常のハイブリッド車は、プラグインハイブリッド車とは異なり、充電ができず、電力は化石燃料に頼らざるを得ない。
Motoristは、シンガポールに本社を置く自動車プラットフォームで、アプリのユーザー数は11万5,000人以上、つまりシンガポールの自動車人口の8%に相当する。Motoristは、透明性の高い取引プロセス(購入、売却、保険)、パーソナライズされたスマートなリマインダーと通知を通して、大衆の自動車所有を簡素化したいと考えている。現在、10人に8人のユーザーが、道路税の更新時期や交通違反の罰金の支払い時期などの通知を受けて行動している。
Motoristは、シンガポールのアプリユーザー約3,400人を対象に、シンガポールの省エネ戦略に関するアンケート調査を実施した。同社が行った調査では、調査対象となったユーザーの73%以上が、電気自動車の利用を促進する政府の試みに関心を示した。さらに、2022年1月にEVの最低追加登録料5,000シンガポールドルが廃止された後、65%以上の回答者がEVの導入に関心を示したのである。
この世論調査では、非EVユーザーがEVへの移行に熱心であることも明らかになり、関心のある回答者は68.1%にのぼった。一方で、残りの人は価格や航続距離、充電の煩わしさなどを理由に不安を感じながらも、将来的にはEVを視野に入れていると答えている。
生産者にしても消費者にしても、早すぎる移行には欠点がある。しかし、お互いの立場を考えれば、早急に移行を検討すべきだろう。このように、自動車業界はここ数十年にないほどの技術革新を遂げようとしているのだ。
表題画像:Photo by Andrew Roberts on Unsplash (改変して使用)