2021年6月22日(火)、Facebookは新機能としてECに関する興味深いアップデートを発表した。なお、同機能は同社のブログ「Facebook Newsroom」にて公開されたものだ。
Facebookは2020年のCOVID-19によるロックダウンがオンラインショッピングを消費者にとってより一層魅力的なものにしたとした上で、アプリ上でのショッピングをユーザーにとってより容易なものにしたいと考えているのである。
「Statista」によると、2020年のEコマースの売上高は上昇しており、世界のECにおける売上高は2019年の3兆3,500億ドルから大きく膨れ上がり、2020年には4兆8,900億ドルに達するという。ITジャイアントであるFacebookは、この類を見ない売上高の上昇を利用するため、2020年5月19日から「Facebook Shops」を展開している。同社によれば現在、毎月3億人が120万の店舗(Shops)を訪れているようだ。 一方で、FacebookはECの躍進をここで止めようとはしていない。
ITジャイアントであるFacebookは、オンラインショッピングの体験を現実的なものにするために拡張現実(AR)と人工知能(AI)に多額の投資を行っている。同社は「買い物客が新しい商品を見つけるのを支援しようとしており、AR体験では購入前に商品を視覚化することをサポートします」と説明している。
ソーシャルメディアプラットフォームとしてFacebookは、ショッピングの体験は視覚的な発見から始まると考えており、ARやAIといった革新は意味がある。
ARとはコンピュータで生成された画像をカメラを通して現実の世界と連動させることができる視覚技術だ。この技術は「注文したものと届いたものが違う」という問題を解決する可能性を秘めている。この問題は「TechCabal」がアフリカにおけるECの成長を妨げる要因のひとつだと指摘している。
Facebookの新機能を利用すると買い物客は自宅でドレスを試着してから購入することができるようになる。 またAIは買い物客の好みに応じて新たな商品を発見できるようサポートする。Facebookによると、買い物客が欲しい商品をタップした際に似たような商品を勧めるという。 AIは店舗におけるスタッフとしての役割を果たし、買い物客が好むものに応じてより多くの選択肢を提供する。買い物客はたった一回タップするだけで関連した選択肢を得ることができるのだ。
これらの新機能はあくまでもショッピングの体験を向上させるものであるが、Facebookはカメラを通してユーザーからより多くのデータを収集することが可能になり、ユーザーの好みに関するより具体的なデータを得ることができるようになった。
なお「Facebook Shops」は近々WhatsAppにも登場する予定だ。この新たなアップデートは、ユーザーがメッセージアプリをオンラインストアとして利用できるようになるということを意味する。
ただし、この新機能は全世界のWhatsappユーザーに提供されるわけではない。Facebookはどの国で新機能を利用できるようになるのかについて特に示さなかったものの、「まもなく一部の国の企業に対して、WhatsAppにてオンラインストアを展開するオプションを提供します 。」と述べている。
この新機能がメッセージアプリ上でどのように機能するかは明らかになっていない。 InstagramやFacebook上では、広告やストーリーを通じてビジネスページ上のオンラインストアを見つけることができる。売り手が提供する商品のコレクションが表示され、利用者はそれを見て注文する。
WhatsAppは全世界に20億人のユーザーがいると言われているが、リーチ可能な範囲は既に互いを知り合っている人に限られている。新機能の実装は、同社がメッセージングアプリでの収益化を推し進める手段である可能性がある。
2020年12月、WhatsAppは更新されたプライバシーポリシーを受け入れるよう、ユーザーに最後通告をしている。このポリシーはまだ有効であるが、Facebookはユーザーに対してい受け入れを強制していない。
これは、ポリシーを復活させ、「WhatsApp」にターゲット広告を導入するための巧妙なやり方の可能性もあるのだ。
翻訳元:https://techpoint.africa/2021/06/25/facebook-ecommerce-update/
表題画像:Photo by Laura Chouette on Unsplash (改変して使用)