利益はインパクトよりも重要か?

知らず知らずのうちに、利益と倫理の間にある一線を越えてしまう起業家も少なくない。しかし、利益がそのインパクト以上に重要になることがあり得るだろうか?倫理か現金か、どちらかを選択するのではなく、ただ倫理を第一に考えた上でのサービス提供が重要である。
マーケティング

我々は、ビジネスにおいて現金こそが王様であるとすぐに教えられる。利益と収益、そして収益の拡大が全てであると。確かに、ビジネスにおいて現金が重要であることは否定できないが、私はそのビジネスをどのように行うかという価値観が最も重要な考慮事項であると考える。

倫理よりもお金が優先されるべきではないということだ。

もちろんこれは、誰もが知っていること、当たり前のことのように聞こえるかもしれない。しかし実際には、知らず知らずのうちに利益と倫理の間にある一線を超えているかもしれない起業家が数多くいる。あまりにも多くのケースでその一線が消え去り、ビジネスとしてモデル化されているのを見慣れているからだ。

これに対する唯一のソリューションは、我々が、ビジネスオーナーとして、他の人を助けるということ以上に現金を重要視してしまう可能性について正直な会話をすることだろう。

収益のための商品やサービスは、常に本質的に役に立つものだ。しかし、利益がそのインパクト以上に重要になることがあり得るだろうか?

今日の「第一人者」指向の業界で見てきた例を通して考えてみると、次の3つのシナリオは、多くの人が考えているよりも頻繁に起こるハプニングと言えるだろう...特にコーチング業界におけるシナリオは。

しかし、それらのシナリオを評価することで、自分が自身の人生やビジネスにおいて倫理観を第一に生きているかどうかを判断する良い機会となるだろう。

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経験無しにコーチングサービスを提供するということ

残念なことに、多くのコーチングプログラムでは、「達人」たちが実際には自分で学んだことのない戦略や原則についてレッスンをしている。これは、実際に一からビジネスを作り上げたことのないコーチが、他の場所で学んだことから(自分の経験からではなく)、ビジネスブートキャンプを開くという例に見られる。

たとえ意欲的なコーチがビジネスを始める方法について世界のすべての教育コンテンツを研究したとしても、実世界の経験から得られる洞察力なしでプログラムに学生やクライアントを招待することは、倫理よりも利益を大切にしている例の一つとなるだろう。

次の2つの質問について考えてほしい。心からあなたを信頼し、サービスやプロダクトを購入する生徒のことをあなた自身が心から大切に思って、助けることができるだろうか?それとも、気密性の高いマーケティング戦略やPR活動のおかげで、彼らがサービスを利用してくれるということをあなたは確信しているだけだろうか?もし後者であれば、それは、実際に彼らを助けることのないコンテンツを提供していることと同義であり、あなたは人々の時間とお金を無駄にしていることになる。

これは長期的に見ると、あなた自身にとっても害あることだ - 気持ちのこもったポジティブな口コミを受け取ることは少なくなるだろうし、生徒たちはあなたが実際にどれだけの助けを提供していたかということについて正直な感想を述べるだろう。

他の人が考えたビジネスモデルやコンテンツのコピー&ペースト

また、最近は何でもかんでもパブリックに展開されるため、既に誰か他の人がやっていることを完全にモデルにしてしまう傾向がある。誰かが同じようなものを立ち上げているのを見てようやくクリエイティブなビジネスのアイデアを得たなどと言うように、自分がどのようにビジネスやコンテンツを作り出しているかを省みなければ、それが本当に自分自身がやっていることなのか分からない。

これは、同業界の他のプレイヤーに対して公平でない。例えば、あなたがユニークなマスターマインドのコンセプトを持つ全く新しいコースモジュールを考え出し、ビジネスとしてローンチした時に、その後すぐのタイミングで他の誰かがそのビジネスモデルを模倣した何らかのサービスを始動したとする。ビジネスモデルやコンテンツのコピー&ペーストとは、このような例を指す。

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人々が信憑性や本物の放つエネルギーのようなものを感じられるというのは、事実だ。たとえ誰かのモデルやコンテンツが素晴らしいと思ったとしても、それは決してコピーする理由にならない。彼らの発想法から学び、しかしそこから、全てがあなたのアイデアである製品を作り上げるべきだ。

無料での価値提供とバランスを図るということ

最後に、自分がどれだけの頻度で無料で価値を提供しているかを考えてみてほしい。あなたと一緒の時間を予約したい人のために、スケジュールを開いたままにしておくべきというアドバイスをしているわけでは決してない。しかし、バランスを取ることは重要である。値札の付けられないタイプの提供価値を探すべき時もあるのだ。私は、ビジネスの倫理は他の人を助けることにあると強く信じている。あなたにとって、他者を助けることは利益を上げること以上に重要ではないのだろうか?

これらは、不快な質問の数々に思えるかもしれない。しかしながら、最終的に儲けを出せるのは、人を助ける個人や企業だ。

倫理か現金か、どちらかを選択する必要はない。ただ倫理を第一に考え、他者を助けることを前面に、そして中心に据え置き、その上で人々が愛する製品やサービスを作成することだ。

翻訳元:Does profit matter more than impact?

記事パートナー
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執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
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