Qlikのレポートによると、Z世代はテクノロジーを取り巻くプライバシーの問題についてより強い警戒心を抱いているようだ。
YouGovが実施したQlikの新しい調査によると、シンガポールの消費者の多くは、事実に基づくデータやテクノロジーよりも、感情や経験、直感に基づいて大きな意思決定を行っているようである。
しかし、小さな意思決定の場合はその限りでない。
目的地までの最速ルートを選ぶ(81%)、映画のチケットを予約する(67%)、次の休暇の旅程表を作成する(55%)といった些細な意思決定において、消費者はテクノロジーをより信頼する傾向がある。しかしこれは、テクノロジーに頼った方が楽で、そしてこの意思決定自体が生活に大きな影響を与えないと分かっているからかもしれない。
そのため当然のことながら、デートプランや適切なキャリアパスを選択するという大きな決断・判断をする際には、ロボットよりも人間を信頼する傾向がある。
最近ではモバイルフィットネスアプリが急増しているが、その多くは「バーチャルな栄養士やフィットネスコーチ」を活用して、ユーザーが効果的にワークアウトできるようにサポートしている。
しかし報告書によると、個人の半数以上がモバイルアプリよりも現実世界の人間の言うことを信頼するという。
Qlikの別の報告書には、プライバシー問題への懸念が高まっていることを示すデータが並んでいる。
Z世代の約51%が、オンライン企業が自分たちのデータをどのように扱っているかについて警戒していると答えている。
この数字はミレニアル世代(42%)やジェネレーションX(48%)に比べれば比較的高いが、ベビーブーマー(56%)よりは低い。
Qlik社のASEANインド・韓国担当マネージングディレクターであるSuganthi Shivkumar氏は、この傾向を、Z世代が幼い頃から経験してきたインターネットへのアクセスのしやすさと一致すると考えている。
ミレニアル世代とは異なり、この世代は早くからテクノロジーの恩恵を十分に受けているため、「目新しさに魅力を感じにくく、その潜在的な影響に警戒心を抱く」傾向が強い。
「各世代は前世代よりもデータやテクノロジーに頼り、そして信頼している」と彼女は語る。
「しかしながら驚くべきことに、Z世代はこの流れに逆らっており、年配のベビーブーマーと似た考えを持っている。これはテクノロジーに対する疲労感の表れかもしれないし、技術全般に対するより悲観的な見方の表れかもしれない。Z世代はデジタルネイティブであり、コンピュータやインターネットに囲まれて育ってきた。デジタル接続の経験が多いことで、目新しさに魅力を感じず、逆に、その潜在的な影響に警戒心を抱くようになったのかもしれない」
しかし、信頼の問題が解決できれば、データとテクノロジーは消費者の生活にはるかに大きな影響を与え得る。
例えば、Qlikのレポートでは、今後5年以内にほぼ半数(48%)が統合型ボディセンサーでバイタルサインを測定し、異常があれば医師に知らせることができるようになるとしている。
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また、3分の1以上(35%)の人々が、自身の貯蓄計画に基づいて支出を制限したり優先順位をつけたりすることをアプリに頼るようになり、3分の1弱(30%)の人々は、データとテクノロジーを使って自身の次の仕事を確保するだろうと答えている。
「企業が”AIに対するブラックボックス的なアプローチ”を排除し、データがどのように収集され、オススメ商品を提示する際にどのようにそれらのデータが使用されているかを消費者に示して初めて、消費者はより大きな意思決定を行う際にもデータを信頼し、活用するようになるだろう」とShivkumar氏は結論づけている。
Image Credit: Mathieu Bigard
翻訳元: Between data and gut feeling, which one do Singaporean customers trust to make decisions?