NetflixかAmazonか? ~急成長するアジアのストリーミング市場とは~

新型コロナウイルスの影響で順調に加入者を増やし続けているオンラインのストリーミング業界。NetflixやAmazonなどが優勢だが、不確実性が激しい状況において、永続的に順調に続けられるビジネスは無いと言える。同業界の企業が今後も生き残り続けるためのポイントについて解説する。
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新型コロナウイルスの影響で人々が室内で過ごす時間が増加している中、オンライン・ストリーミングがどんどん盛り上がってきている。世界のOTT(Over-the-top)メディアサービスは、ここ数週間で加入者数が急増しており、中でもNetflixは好調である。Netfilxは今年の1月~3月の間に1,600万人の新規加入者を獲得したことを公表している。

このデータを見ると新型コロナウイルスの影響によるものが大きいと思われがちだが、実際には、パンデミックが発生する前に東南アジア全域では、ユーザー数が大規模に急増していた。

Dataxisのレポートによると、東南アジアの加入者数は2022年までに620万人に達すると予測されている。

一方、景気低迷の中、OTTサービスプロバイダーは、いかにしてイノベーションを起こし、収益を増やしていくかを模索することになるだろう。すべての鍵を握るのは顧客との関係である。

OTTサービスプロバイダーは前近代的な考え方を捨て、顧客に価値を提供することに焦点を当てた新しいアプローチを取り入れる必要がある。そしてゲームチェンジを起こし続けることで顧客との継続的な関係を維持する。このようなマインドセットを持ち、アップセルとクロスセルの両方を効果的に組み合わせ、収益最大化を図る必要があるだろう。

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不確実性の時代に備える

パンデミックが大流行する中、インターネットは室内での生活を余儀なくされている人たちのライフラインになりつつある。従来型のテレビは、オンデマンド・エンターテインメントに取って代わられ、アジアのOTTプロバイダは着実に伸びつつある。しかし、この状況が永続的に続くわけではない。

アジアのOTTストリーミングサービスは、このような不確実な時代だからこそ常に将来への備えをしておく必要があるだろう

Amazon、Netflix、Apple、Disneyなどのグローバルプレイヤーは、じわじわアジア市場に参入してきている。地域全体での競争が激化し続ける中、従来のケーブル配信モデルが弱体化され、M&Aを繰り返すOTT企業が増えると予想される。これにより競争はさらに激化するだろう。

ニーズへの対応

アジア全域のOTTプラットフォームがますます複雑化する中、サービスプロバイダは収益性の課題に直面することになるだろう。

COVID-19が収束するのは時間の問題であり、そうなったときには、如何に顧客ニーズに対応し続けられるか?が重要となる。

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ロックダウン期間中だけではなく、長期的な目線でメンバーシップを維持してもらうよう消費者を誘導する必要性がある。これを理解することが、ストリーミング・プラットフォームの今後の成功を左右することになる。ロックダウン期間が終わった瞬間、大規模なチャーン(離脱)が発生することは分かり切っているからだ。

成功して生き残るためには、積極的なアプローチを取り入れ、新しいサービスやユーザーを自社のプラットフォームにとどめておくための特別なリテンション・オファーなどで、ニーズに応じた対応を素早く取る必要があるだろう。

アジア市場に適応するには?

アジアで成功を収めるためには、顧客の支払いやコンテンツに対する考え方を深く理解することが重要である。また、継続的に学習する考え方を採用し、他地域でうまくいっているモデルをコピーする誘惑に駆られないようにすることも不可欠である。

Evergentのような企業がプロダクトマーケットフィットを構築するまでの時間を短縮することに成功しているのは、このニーズの捉え方や継続的に学習し続ける能力の賜物である。また、複雑な収益化モデルやバックオフィス・プロセスの簡素化にも着手しており、より効率的な運用が可能になっている。

これらの改善を加えていければ、顧客体験は劇的に向上する。顧客が接続されたサービスのあらゆる側面をデジタルで管理できるようにすることで、優れた顧客体験を提供し、パーソナライズされたサービスを提供できるようになり、成功する可能性が高まるのである。

未知なる市場で前進するには

従来のテレビは、高い自由度を求めるデジタル消費者にとって、あまりにも制限的であったため、支持を失ってしまった。顧客の期待は劇的に進化している。消費者は、好きなものを、好きな場所で、好きなデバイスで見たいと思っている。

もし企業がその消費者ニーズを提供できなくなれば、他のOTTサービスプロバイダーの中からニーズを満たせるものを探すことになるだろう。

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OTTストリーミングは、特定の市場セグメントをターゲットとすることができる分、ローカリゼーションとニッチ戦略の重要性が増す。特定セグメントに向けて、市場投入までの時間、製品の俊敏性、シームレスな展開は、ますますデジタル化が進む世界で成功するための秘訣である。

業界の統合が予想されているが、競争が激化する市場で際立つのは、特定の地域向けに最大の価値を提供できるプラットフォームになるだろう。

翻訳元:An age of uncertainty: Why streaming services need to adapt to survive in Asia

記事パートナー
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執筆者
松尾知明 / Tomoaki Matsuo
中小企業診断士 / Web Writer
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