May 5, 2020
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Insight

代替ストロー:ちょこっとできるエコな選択

プラスチックによる環境破壊が叫ばれる昨今、注目の高まっている環境に配慮した"ストロー"の最新情報を紹介する。
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この記事は翻訳転載であり、配信元または著者の許諾を得て配信しています。
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プラスチッククライシスとは?

人間の経済発展と利便性への固執から、大量のプラスチックが生産され、そのプラごみが海に流出した結果「プラスチッククライシス」が世界的に大きな課題として台頭した。海洋プラスチックごみ問題とも呼ばれるこの課題は、あらゆる角度から環境破壊を深刻化させる。

2018年には、3.59億トンのプラスチックが生産されており、これらの3分の1が使い捨てプラスチック(シングルユースプラスチック)であり、総生産の10%以下のみがリサイクルされて再使用されている。リサイクルされないプラスチックは、燃焼処分されており、温室効果ガス増加に起因している。処分されなかった年間800万トンのプラスチックゴミが海に流れ込んでいるとされており、現在、海中には1億5000万トンが存在している。今後も増加すると予想されている。現在のペースで増加した場合、2050年には、プラスチックゴミの数が魚の数を上回るとされている。そのため現在とりわけ大きな犠牲となっているのが魚や海鳥といった海洋生物たちである。実際に海洋プラスチックゴミにより、700種類の海洋生物が悪影響を受けており、1億頭以上の生物がプラスチックゴミが原因で死んでいると推測されている。さらに、マイクロプラスチックを誤飲した海洋生物を食することで、人間の体にもマイクロプラスチックが蓄積されることになる。実際に、オーストラリアで行われた実験では、日本人を含む被験者の糞便からマイクロプラスチックが検出された。このように、海洋生物や自然を犠牲にするだけでは終わらず、最終的には人類の健康を脅かし、また経済発展をも蝕む結果へと繋がるため、大きな課題としてグローバル規模でその対処が叫ばれている。

プラスチッククライシスに対するソリューションとして現在は、主に大きく2つの現実的な手法が取られている。一つは、環境破壊に繋がらないプラスチックの開発・導入。もう一つは、プラスチック以外の代替製品の導入である。

生分解性プラスチックとは?

環境破壊に繋がらないプラスチックの一例として、多くの企業で生分解性プラスチックが開発・導入されている。従来のプラスチック同様の性状と機能を維持しつつ、使用後は自然界の微生物などの働きによって生分解され、最終的には水と二酸化炭素に完全に分解されるプラスチックである。海洋プラごみや焼却による温室効果ガスの排出量を抑えることができる製品として注目されている。

生分解性プラスチック市場は、2026年末までに60億ドルにまで拡大すると予想されている。しかし、従来のプラスチックと比較して高コストのためコスト面の課題をどう解決するかがカギとなる。イスラエル発スタートアップ「3PLW」は、従来コストのかかるサトウキビや小麦から抽出されるでんぷんを利用してポリ乳酸由来生分解性プラスチックを製造していたが、飲食店などから出る有機廃棄物から製造することで20%以上製造コストを抑えることに成功した。

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違い

生分解性プラスチックは使用後に微生物によって分解されて水と二酸化炭素に分解されるプラスチックであり、生産方法によって微生物生産型化学合成型天然高分子利用型に分類される。生分解性プラスチックに適合するか否かは、使用後の生分解性の有無に基づき決定される。

類似のプラスチックとして、バイオマスプラスチックが挙げられる。バイオマスプラスチックとは、再生可能資源であるバイオマスを使用して作られたプラスチックであり、これは使用後の機能ではなく、製造原料によって定義される。植物をはじめとするバイオマスは空気中の二酸化炭素を吸収して成長するため、それを原料としたバイオマスプラスチックは、使用後に焼却処分した際に発生する二酸化炭素も元の空気に戻るだけであり、地球温暖化ガスとしてカウントされない。バイオマスプラスチックを推進することでCO2削減と枯渇する化石燃料の保護に繋がる。

石油由来の生分解性プラスチックも存在するため、生分解性プラスチック=バイオマスと一概に言うことはできない。またバイオマスプラスチックの中にも、ポリウレタン、天然ゴムのように生分解性を有していないものも存在する。

このように、環境破壊に繋がらないプラスチックの開発と導入が活発に行われるなか、同時にプラスチック自体を排除する動きも見て取れる。

各国の取り組み

上記の表から見て取れるが、世界各国で従来のプラスチックストローに代わる代替ストローという形式のソリューションが様々考案・導入されている。今回のインサイトでは、私たちが日常生活の中で行える小さな行動変化の一例として、代替ストローについてもう少し詳しく見ていきたいと思う。

代替ストローというチョイス

従来のプラスチック製ストローに代わる紙ストローや竹ストロー、ステンレスストローなどが代替ストローとして挙げられる。スターバックスやマクドナルド、マリオットホテルなどがプラスチックストローを廃止するとの声明を発表している。紙ストローや竹ストローは、コスト面や耐久性に問題を抱えているため、変わった素材でストローを製造するスタートアップも出現している。

草ストロー

ベトナムの若手起業家によって考案されたレピロニアと呼ばれる草で作られたストロー。草で作られているため分解スピードも早く完全生分解性な点が特長。また、紙ストローに比べて耐久性が高い。

海藻ストロー

アメリカ発スタートアップ「LOLIWARE」は海藻で作られた食べられるストローを開発販売。

サトウキビストロー

台湾のスタートアップ「JU TIAN CLEANTECH」はサトウキビストローを製造販売する。

日本では、「4Nature」が生分解性サトウキビストローを販売している。当社は、トレーサビリティやサスティナビリティの考えが背景にあるスペシャリティコーヒーを扱う店舗を増やす「TOKYO 100cafe Project」に取り組んでいる。使用後のストローをボランティアが回収して堆肥にする活動も行っている。このように、サステイナビリティへの取り組みや商品にストーリー性を持たせることでブランディングを行い競合差別化を図る取り組みが日本の飲食店でも徐々に広がりつつある。

マイストロー

アメリカ発スタートアップ「FinalStraw」は、シリコンとメタル素材で作られたポータブルストローを販売する。折りたたむことで鍵ケース大のケースに収納して持ち運ぶことができる。

実際に草ストローを使ってみた

ベトナムのホーチミン郊外で製造される草ストロー。上述のように、レピロニアと呼ばれるカヤツリグサ科の植物から作られている。茎を適切な長さに切断し、空洞を水や塩水で洗浄後、日光乾燥を行う。その後、ナノシルバー抗菌や赤外線殺菌などを行うシンプルな製造工程である。小さな村で手作業で製造されているだけでなく、原料となる草に回復期間を与えるため、1日の製造可能本数に制限がある点が課題と言えるものの、使い勝手が良く耐久性にも優れるため、今回実際に使用してみた。

使用した感想

多少草の香りがするものの、使用時に特に気になる点はなく機能面でも全く問題なく使用できた。紙ストローのようにふやけることもなかったため、カフェやレストランでの長時間使用にも適している。草のみを原材料とするため、使用後に家畜の飼料や農場の肥料として利用することで持続可能な社会構築への貢献が期待できる。

従来は、資源採取→生産→廃棄といった線型経済がスタンダードであったが、資源の採取量と廃棄物を可能な限り削減し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)を構築することで環境保護と経済的利益の両立を図る取り組みがEUを中心に行われている。草ストローは循環型経済との親和性が高い製品であり、今後も動向に注目していきたい。

私たちにできる小さな行動変化

プラスチッククライシスは、世界中の消費者が不都合な真実から目を背けたことで深刻化してきた課題の一つと言える。そのため、全ての消費者がその深刻さを理解し、個々人レベルでの意識と行動の小さな変化が今後のカギになるだろう。プラスチックストローを使うか、代替ストローを使うかという取るに足らない日常のチョイスではあるが、この小さな行動変化こそが今後の環境問題への大きなソリューションに繋がるだろう。

日本は環境保護の分野で世界から大きく後れを取っており、アメリカと並ぶプラスチック大国とさえ呼ばれる。技術と経済の発展した豊かな国であるからこそ、先陣を切ってこの課題に向き合って行く必要があると考えられる。利便性の面で他国の追随を許さない日本ではあるが、そこに固執する姿勢を少し変化させ、よりサステイナブルな経済と社会の在り方を模索すべきなのかもしれない。その一例として、上述の循環型経済への転換が挙げられる。実際に循環型経済には、EU内で循環市場を完結させる参入障壁としての役割もあり、日本企業が排除されないためにもEU内の循環型ビジネスモデルに対応しなければならない。

繰り返すが、プラスチッククライシスは世界規模の大きな課題である。冒頭の軽い説明では網羅できていないその危険性や将来への懸念等、まだまだ山積している。今回は代替ストローというチョイスにフォーカスを当てたが、他にもソリューションは日常レベルのものだけでも数多く考えられる。これらについてまた後日、インサイトという形で詳しく見ていきたいと思う。

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