デジタル時代になって企業が顧客と接する方法は大きく変化した。 この傾向は、パンデミックやECの台頭によって高まり加速している。
顧客は、店舗に直接足を運ぶのではなく、バーチャルなやり取りをするようになり、それによってカスタマージャーニーは変化している。
競争力を維持するためには、強力なソーシャルメディアの構築から新しいカスタマーサービスの導入まで、変化するテクノロジーの状況に対応した強力なカスタマーエンゲージメント戦略の構築が不可欠だ。
製品やサービスのスピードや使いやすさに大きな期待を寄せているような、既約的(Hyperconnected)な現代の消費者にとって、パーソナライズは、ポジティブなユーザーエクスペリエンスの鍵となる。実際に、顧客がパーソナライズされた体験をすると、売上が20%増加するという調査結果もあるほどだ。
人工知能は、こうしたパーソナライズされたバーチャルなインタラクションを、大規模に促進する上で重要な役割を果たす。AIと機械学習を組み合わせることで、企業は、ソーシャルデータや履歴データ、行動データを収集・分析して、顧客の正確な姿を把握することができる。そして、顧客のニーズや関心をよりよく満たすために体験をカスタマイズすることが可能になるのだ。
感情移入できるコンテンツの作成
行動のセグメンテーション
チャットボットによる顧客サービス
意味のあるエンゲージメント
今回は、よりパーソナライズされたユーザー体験を通じて、顧客のエンゲージメントとリテンションを高めることができるAIツールの例を紹介する。
カスタマージャーニーのどの段階においても、明確かつ一貫性のあるコミュニケーションが不可欠だ。 顧客が、提供されているものについて騙された、あるいは混乱したと感じることは最も避けたいことである。
魅力的なコンテンツを通じてユーザーとの感情的なつながりを確立することは、顧客の関心を引き、長期的には顧客のロイヤルティを獲得するための鍵となる。ストーリーを語る場合は、一貫性を持たせ、適切なトーンと声を意識することが大切だ。
ハーバード・ビジネス・レビューによると、生涯価値の観点から見て、感情的に結びつきのある顧客は、単に満足度の高い顧客の2倍以上の価値があるとされている。
Clevertapのemotion editorのようなツールは、正しいメッセージを伝えるための感情的に説得力のあるコンテンツを作成するのに最適だ。emotion editorは、メッセージで伝えられている主要な感情を分析し、驚き、喜び、信頼、期待、FOMOなど、特定の文脈に対して顧客がどのように感じたり反応したりするかについてのインサイトの提供やそれを改善する方法を提案してくれる。
行動セグメンテーションは、顧客それぞれに対して、真にユニークな体験を提供するための優れた方法である。好みのカテゴリーやブランド、過去の注文、行動パターンなど、ユーザーの履歴や好みを正確に把握することで、顧客の旅をより効率的なものにすることができる。
デジタルコンシューマーは、プッシュ通知やEメールキャンペーン、SMS、アプリ内レコメンデーションなどの形で実行されるカスタマージャーニー全体を通して、このようなパーソナライゼーションを期待している。 アルゴリズムが顧客のニーズを予測することで、顧客自身が商品やサービスを探す必要がほぼなくなるのだ。
2020年にMITが実施した1,004人のビジネスリーダーを対象とする調査では、現在展開されているAIのアプリケーションとしてチャットボットによるカスタマーサービスが第1位に選ばれたという。
AIを活用したチャットボットは、企業が顧客の流れを管理する上で、24時間365日優れたカスタマーサービスを提供することのできる費用対効果の高いソリューションである。顧客はいつでも簡単な質問に対する回答を得ることができ、生身のエージェントはより複雑なケースにリソースを割くことができるのだ。
チャットボットのベースとなるAIは、機械学習によって常にシステムを更新している。
チャットボットは、その企業の統合されたデータベースにアクセスすることで、よりパーソナライズされたユーザー体験を顧客に提供することができる。 一般的に、顧客は好みの言語を選択することができ、音声アシスタントの場合はアクセントの選択も可能である。
2020年は、実店舗がデジタル化に移行したり、すでにオンラインで運営している店舗が顧客エンゲージメント戦略を見直したりと、ユーザーエクスペリエンスが大きく変化した年となった。
このようなデジタル化の流れの中では、顧客と企業のオンラインかつインタラクティブなやり取りを可能にする、より革新的なソリューションが求められている。
カスタマー・エンゲージメント戦略を成功させるには、意味のあるエンゲージメントを通じ、顧客との長期的な関係を築くことが必要だ。 AI技術は、現代の消費者のニーズや要望に応える、新しい時代のカスタマーサービスへの道を切り開いているのである。
翻訳元:3 ways AI is transforming the user experience
表題画像:Photo by Agefis on Unsplash (改変して使用)