バーレーンのフィンテックエコシステムに関するMilkenレポートから7つのポイント

大きな経済的成長を見せるバーレーン王国。デジタル化プロセスも進み、金融テクノロジー領域を始めとした様々なセクターにおける技術発展も著しい。同国の第四次産業革命について、Milkenレポートで主張されたキーポイントを7つ取り上げ、見ていく。
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バーレーンが地域のフィンテックヒエラルキーのトップに躍り出たことは、「バーレーンと第四次産業革命」と名付けられた新しいレポートにおいて再び強調された。

報告書をまとめたMilken研究所のリサーチャーは、入念な計画といくつか大胆な規制改革さえあれば、バーレーンが世界規模でその地位を拡大することも十分にあり得ると強調している。

しかしレポートが指摘しているように、いくつか課題がある。とはいえ、それらの課題というのは、政府とエコシステムの手中に収まるものであり、まとめて解決できるだろう。

今日の記事では、Milkenレポートで強調された最も重要な問題点と発展事項について簡単に見ていきたいと思う。

Milkenレポートから見られるキーポイント

#1 バーレーンは正しい軌道に乗っている

Milkenの分析によると、バーレーンはテクノロジーとイノベーションのグローバルハブになるための正しい軌道に乗っているようだ。大規模なフィンテックプログラムを展開しているGCCの近隣諸国の中で際立つ存在になるために、バーレーンは過去数年間に渡って、戦略的決断をいくつも下してきた。

過去数年間の影響力ある決断としては、以下のようなものが挙げられる:

・より多くのセクターにおいて、100%外資系企業の受け入れ。

・急速に発展する今日のビジネス環境においても、要件の変化に対応することができる、大幅に改善された新しい破産法を制定。詳細はこちら

・規制の枠組みの積極的な変更による、大規模なグローバル投資。

・インフラと通信技術分野における、賞賛すべき数々の改善。

・バーレーンにおいて、Amazonによる地域データハブの立ち上げを許可。詳細については、過去記事を参照:バーレーンでのAWSの立ち上げが革新的なローカルスタートアップの成長にとってどのように重要であるか

#2 零細企業が経済成長に貢献

Milkenの研究者は、「企業の成長は、従業員10人以下の零細企業に偏っている」と指摘している。それに比べて、大企業は平均して130人の雇用を生み出すことができる。一方、新規参入した零細企業では、平均3人程度の雇用を創出している。

報告書は、これらの零細企業が大きく成長するよう育成・支援することで、雇用シーン、ひいては経済全体において大きな益が生まれるだろうと付け加えている。

#3 人材への投資を継続する

過去10年間の成長は称賛に値するものであり、バーレーンの民間部門ではますます多くの技術者が必要とされている。バーレーン当局は既にトレーニングプログラムに適切な投資を行っているが、さらなる投資を継続・加速することで、バーレーンはより大きなリターンを期待できる。

#4 デジタルトランスフォーメーションへの注力はすでに成果を上げている

バーレーンEconomic Vision2030のもと、王国はビジネスとアントレプレナーシップエコシステムのデジタル化にますます力を入れている。デジタル経済で新規事業を立ち上げることは、その他多くの選択肢の中でも費用対効果に優れているが、既存の企業が大規模なデジタルトランスフォーメーションを迅速に実行することは必ずしも容易ではない。特にバーレーンに多く存在する小規模企業にとっては、そのような変革には非常に大きなコストがかかる可能性がある。

金融サービス部門のようなセクターでは、M&Aなどの戦略によってこの問題を回避することが比較的容易である。しかしながら、Milkenのレポートは、実行可能な代替手段がない場合には、中小企業は従来通りのオペレーションを継続すべきだと主張している。

#5 CBB FinTech Sandboxは革命的だった

バーレーン中央銀行は2017年5月、直接の監督下において、フィンテックスタートアップが安全な環境で新しい商品をテストできるよう、「規制サンドボックス」を立ち上げた。この動きは、金融テクノロジー領域におけるイノベーションの新しい波の道筋を作り出すことにつながり、望ましい結果をもたらしたと言える。

#6 CBBのオープンバンキングの取り組みも大きな進展

2019年6月、CBBはオープンバンキング・ソリューションを実装するために、他のグローバルな金融ハブと一連の新しいパートナーシップを締結した。言うまでもなく、この動きは、金融情報へのアクセスをより簡単に、より速く、そしてより顧客のニーズにマッチしたものにしたため、非常に実りあるものとなった。

またCBBは、暗号通貨やデジタル資産の規制方針をタイムリーに立案すると同時に、ガバナンス、ライセンス、資本要件、リスク管理などの問題にも対応するなど、先進的な歩みを進めている。

#7 テレコム分野の大きな進歩

Milkenの報告書は、バーレーンがICTイノベーションの分野において、地域的な規模のみならず世界的にも最先端を走ってきたことに言及し、今日では世界176カ国中31位に位置していることを強調している。これは、政府によって通信部門の競争が開放されてからまだ約20年しか経っていないことを考えると、素晴らしい成長と言える。

ところで、社会経済局によるグローバル・インデックスにおいて、バーレーンが2017年の国連国際電気通信連合ICT開発指数で4位(193カ国中)に指名されたことを知っているだろうか。

また、保険分野や健康分野など他の様々な分野における印象的な成長についても、レポートでは言及されている。

更なる詳細に関しては、Milken Instituteの公式ポータルでレポート全文を参照

翻訳元:7 key points from the Milken report about Bahrain’s FinTech ecosystem

記事パートナー
バーレーンの起業家・大企業・投資家などが集うコミュニティ
執筆者
武田彩花 / Ayaka Takeda
Contents Writer
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