スタートアップの失敗を減らすための5つの方法とは?

スタートアップ企業の92%が最初の3年間で廃業すると言われる。本記事では、ベンチャー・ビルダーの視点から、スタートアップ企業が失敗する上位5つの理由とその対処法について解説する。
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スタートアップ企業の92%が最初の3年間で廃業すると言われる。しかも驚くべきことに、上位5つの理由が全ての失敗の87%を占めている。

ベンチャー・ビルダーは、これらの失敗ポイントの一つ一つに対処する方法論を適用することで、ベンチャーポートフォリオの生存率を劇的に向上させることができる。つまり、「失敗」を定型化することで、スタートアップの創業後3年間の死亡率を92%から約50%にまで低下させることができる。

ベンチャー・ビルダーは、アーリーステージ投資家の中でも特別な存在である。ベンチャー・ビルダーは、単に投資するのではなく、創業者と一緒にスタートアップを積極的に構築する。ベンチャー・ビルダーは、新しいベンチャーを体系的に生み出すことに特化した組織であり、ベンチャーの成長と成功を支援している。

例えば、創業者へのメンターシップの提供、資金調達、ソフトウェア開発、ユーザーデザイン、マーケティングなど、創業後間もないスタートアップの生存に必要となるあらゆるサービスを提供している。

以降では、スタートアップが失敗する5つの大きな理由と、ベンチャー・ビルダーがこれらについてどのように対処しているかについて解説する。

誰も欲しがらないものを作っている(失敗の36%)

ベンチャー・ビルダーが新規創業者と共有しなければならない最初の目標は「ユーザーパネル」の構築である。つまり創業者が解決しようとしている問題を理解している10~15人のグループを形成することである。多くの創業者はスタートアップにおけるユーザーフィードバックの真の価値を十分に理解していない。

創業者が解決する価値のある真の問題に取り組んでいるかどうか、顧客が真の問題だと感じているかどうか、そしてその問題を解決してもらうためにお金を払うほど重要な問題であるかどうかを検証することが不可欠である。ユーザーパネルは、創業者と製品チームに頻繁にフィードバックを提供する役割を果たす。

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採用不振(失敗の18%)

ベンチャー・ビルダーは、新規事業を開発するための人材採用をサポートする。ベンチャー・ビルダーが必要なスタッフを供給することによって、創業者は信頼できるスタッフを得られる。

先行き不透明なアーリーステージのスタートアップの場合、正規雇用以外の手段でリソースを確保することの方が経済的となることの方が多い。

営業・マーケティングの失敗(失敗の13%)

マーケティング・販売面でのスタートアップにとっての主なリスクは、会社のスケールアップのタイミングを見誤ることである。製品が完成するまで待つのではなく、MVP(Minimum Viable Product)を作成したらすぐに市場に出すべきである。一方、再現性のある販売プロセスが確立される前のスケールアップを志向する場合、企業の疲弊やマネジメント体制の破綻に繋がるため、その決断は慎重にならなければならない。ベンチャー・ビルダーによるメンタリングは、企業がこれらの間違いを回避できるように支援することを目的としている。

適切な共同創業者がいない(失敗の12%)

ほとんどの共同創業者はこれまで一緒に仕事をした経験が無いまま創業することが多く、ただでさえプレッシャーの高いスタートアップ経営を更に難しい状況に追いやる。ベンチャー・ビルダーは、そのような創業者にとって良いパートナーとなり、プレッシャーを軽減することができる。ソロの起業家や2人組のファウンダーには、ベンチャー・ビルダーのようなアドバイザー兼パートナーが必要と言える。

顧客ではなく投資家を追いかけている(失敗の8%)

創業者は、時として事業に取り組むことよりも投資を求めることに多くの時間を費やしがちになる。これが失敗の原因となる。ベンチャービルダーは、最初の数年間、進捗状況を確認することを条件に、資金調達のための明確な道筋を提供してくれる。また、以降のフェーズでの資金調達先の紹介もサポートしてくれる。

単純な問題かもしれないが、上記の5つの理由が87%の失敗を占める。

この報告は、2009年に設立された英国のテックベンチャービルダー、Novaの調査に基づいている。Novaは起業家とパートナーシップを組み、ヘルスケア、FinTech、EdTechどの分野でアイデアを成功させ、スケーラブルなテック系スタートアップへと成長させることを目的としている。

Novaは、起業家に指導、指導、資金提供を行っている。同社はPre-Seed段階で投資を行い、20名以上の起業家メンターと100名以上のデザイナー、ソフトウェアエンジニア、マーケティング担当者からなるチームを通じ、アイデアから製品、市場へと起業家を導いている。

Novaは、サポートするスタートアップ企業の株式保有ビジネスパートナーとなる。同社のスタートアップの成功率は、業界平均の5倍以上である。さらに、同社のポートフォリオの価値は前年比83%で成長しており、これまでに4件のExit実績がある。

Novaは現在、アジアにも進出している。Novaは現在、ASEAN市場でのスタートアップ支援を行うプロフェッショナルを募集中である。

翻訳元:5 ways for venture builders to reduce startup failures

‍表題画像:Photo by Arif Riyanto on Unsplash (改変して使用)

記事パートナー
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執筆者
松尾知明 / Tomoaki Matsuo
中小企業診断士 / Web Writer
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